ベッドの新品マットレスが臭いのは発がん性物質が出ているから!? (2019年最新研究)

ニュース/レビュー

今回はマットレスから出る高レベルの揮発性有機化合物についてアメリカ化学会のプレスリリースを翻訳しましたのでご紹介します。

マットレスから発せられる発がん性物質が子供に影響を与える可能性を報告しておりますので注意してご覧下さい。

ニュースタイトル「マットレスが睡眠中に高レベルのVOCを放出する可能性」

マットレスからなんの化学物質が出ているかご存知ですか?(出典:congerdesignによるPixabayからの画像)


家具や塗料、電子機器など、何百もの家庭用品が揮発性有機化合物VOC, volatile organic compounds)を放出しています。VOCは高レベルでは健康上のリスクをもたらす可能性があります。

現在、アメリカ化学会の Environmental Science&Technology 誌に報告した研究者たちは、シミュレートした睡眠条件下で数種類のポリウレタン製マットレスから放出されるガス状化合物の放出率を測定したところ、子供や乳児にとって心配なレベルのVOC量だとわかりました。しかし、これまでのところ健康への悪影響の証拠はありません。

高レベルのVOCにさらされると、目や鼻、のどの刺激、頭痛、そしてある成分ではさえも引き起こす可能性があります。

寝ている間、寝室の換気が悪く(ドアを閉め来た密封状態)鼻や口は化合物を放出するマットレスや寝具に近いので、人々はより多くのVOCを吸ってしまうようです。

Yael Dubowski氏らは、乳児(infants, 生まれたばかり)用や幼児(toddler, よちよち歩く頃)用、そして若年(youth)用の8種類のポリウレタン製マットレスから出る数種のVOCの量を測定し、それらを化合物のリスクレベルと比較したいと考えていました。また研究者たちは、温度や湿度、そして二酸化炭素濃度(マットレスだけと比べると数時間マットレスの上に横たわるときにいずれも増加する)が排出量にどのように影響するかを調査したいと考えていました。

チームはポリウレタン製マットレスを連続フローチャンバーに入れ、流出する空気を集め、ガスクロマトグラフィー – 質量分析で18種類のVOCの量を分析しました。彼らは乳児用マットレスにのみ放出される難燃性化合物を除いて、8つのマットレスが全く同じ量のVOCを放出することを発見しました。

体温をシミュレートするために温度を上昇させると、マットレスはより多くのVOCを放出しました。チームは、成人、乳児、および子供が吸入するVOCの量を推定したところ、ほとんどがこれらの化合物の量はがんおよびがん以外のリスク基準レベルをはるかに下回っていたことがわかりました。

しかし、乳児(infants)や幼児(young children)にとっては、いくつかの化合物(例えばアセトアルデヒドホルムアルデヒドベンゼンの吸入は心配なレベルかもしれません。研究者は慢性的な健康への影響に関する更なる研究の必要性を強調しています。

引用ニュース&原著論文

🔵 英語ニュース:Mattresses could emit higher levels of VOCs during sleep)July 10, 2019

🔵 原著論文:Volatile Organic Compound Emissions from Polyurethane Mattresses under Variable Environmental Conditions (Environmental Science & Technology,  2019 )

Seigoの追記

上記のレビューの最後にやはりポリウレタン製のマットレスにはアセトアルデヒドホルムアルデヒドベンゼンなどの発がん性物質が放出されているようですね。


私はマットレスは購入したらまず梱包のビニールを外し、すぐに使用しないで、最低2週間くらい誰もいない部屋に放置して有害物質を飛ばしてから使用します。

また論文では寝室のエアコンが循環型である重要性も指摘しておりました(原著論文の要旨を参照)。つまり米国のエアコンのように全室一体型だと空気が家全体に循環し行き渡りますが、日本の家のように密閉型(部屋それぞれにエアコンがあって、空気交換があまりなされない場合)だとマットレスから出た揮発性有機化合物VOCがその部屋だけに留まって出て行かないことが考えられますので、日本の家屋は十分な換気を心がけた方が良いかと思います(昼間は窓を開けるなど)。

一般的には、新築の匂いが良いだの新車の匂いが好きだのとよく聞きますが、それは危険信号だと言うことを知らなければなりません。その状態こそVOCの宝庫だからです。大人の場合は脳に入ってもそんなに影響は出ないかも知れませんが、子供の場合、特に生まれたばかりだと、まだ脳細胞が分裂して発達中ですので、VOCが入りますと発達障害を起こす可能性が高いかもしれません(自閉症やADHD、小児性がんの原因になったりする可能性)。

とにかく今回の研究論文から分かるように、アセトアルデヒドホルムアルデヒドベンゼンなどのような発がん性物質が新品のポリウレタン製の素材から放出されることに十分に注意を払う必要があるでしょう。早く安全な自然素材で作った家具や車の内装ができるといいですね。

 

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