科学者らが有害化学物質PFASを生活用品から削減することを要請(2019年論文より)
ニュース/レビュー
執筆日:2019年11月21日、更新日:2021年3月8日
ファーストフードで使われる容器やダイバーが使う潜水具には防水性(または撥水性;はすいせい=水をはじく性質)を高めるために有機フッ素化合物(PFAS)が使われている場合が多いですが、この毒性が米国で問題になっていることが報告されています。これは2年前から一般に知られはじめましたが、日本ではこのような情報は完全にブロックされているので、今回は以前の記事の復刻版を掲載します。
ーーー 2019年11月21日の記事:ここから ーーー
スウェーデンのストックホルム大学が発表した論文で、プレスリリース(英文)がイェール大学のサイトに掲載されました。今回はそのレビュー記事を翻訳しましたのでご紹介します。(翻訳のプロではないので読みづらかったらすみません。)この記事のもくじ
サーフパンツから手術用ドレープまで:消費財に含まれているPFASのような有害な化学物質を減らすための新しい体制および非必須製品の段階的廃止
英文執筆者:Stella Papadopoulou
製造業者が化学物質は 社会の衛生・安全、そして社会機能の面からしますと、真に必要不可欠な場合にのみ付加することにすれば、必要がなく有害の可能性さえある化学物質が人にさらされることを大幅に減少できる可能性があります。これが、英国王立化学会の刊行している査読論文 Environmental Science: Processes & Impacts(環境科学: プロセス&インパクト)誌に掲載された研究の結論です。本研究では、化学物質が実際に特定の用途において本当に必要とされているかどうかを判断するために「必須用途」の概念に基づく枠組みを研究者が提案しています。彼らは、PFAS(ペルフルオロアルキル物質およびポリフルオロアルキル物質)として知られる合成化学物質のクラスに関する概念を示しています。
PFASは、撥水(はっすい;布・紙などが表面で水をはじくこと)性および防汚性を含むそれらの独特の特性により多くの消費財に使用されています。しかし、これらの化学物質は長期間分解されず、水や土壌に浸透し、人間や野生生物に悪影響を及ぼす可能性があるため、これらの化学物質について懸念を表明する科学者や医療専門家が増えています。特定のPFAS曝露にリンクした人への健康上の問題には、 腎臓がん および 精巣がん 、 肝機能不全 、 甲状腺機能低下症 、 高コレステロール 、 潰瘍性大腸炎 、出生時体重および体格の縮小、 肥満 、ならびに ワクチンに対する免疫効果の低下 が含まれます。
この研究では、PFASの多くの用途で「必須ではない」と分類しています。例えば、防水サーフパンツを持つのはいいことかもしれませんが、この場合 撥水性は必要ではないことを研究では指摘しています。その分析に「必須用途の枠組み」(Essential Use Framework)で分析される他の製品には、パーソナルケア製品と化粧品、撥水性があってシミがつかない繊維、食品用器具材料、医療機器、医薬品、研究用品、スキーワックスなどがあります。消火剤の泡などは、健康と安全性の観点から必要不可欠と考えられる場合もありますが、PFASに代わる機能的な代替品が開発されています。
「我々の望みはこのアプローチが製造業者や小売業者、およびエンドユーザーに情報を提供し、PFASの使用を廃止して代替することを検討できるようになることです。」とこの研究の責任者であり、高フッ素化化学物質の発生源と暴露経路の解析を専門とする世界有数の研究者である、ストックホルム大学のIan Cousins教授は言及しました。「出発点は、主に市場機会によって推進されるPFASの複数の非必須使用の段階的な廃止です。」
この記事では、一部の小売業者と製造業者が、製品でのPFASの使用を段階的に廃止するための自主的な措置を既に取っていることに注目しています。 それは「必須用途の枠組み」は他の懸念のある化学物質にも適用できることを示唆しています。
ーーー 翻訳ここまで ーーー
引用ニュース & 原著論文
🔵 英語ニュース:From surfer shorts to surgical drapes: New framework to reduce harmful chemicals like PFAS added to consumer goods, phase out non-essentials(Stockholm University)June 17, 2019🔵 原著論文: The concept of essential use for determining when uses of PFASs can be phased out.(Environmental Science: Processes & Impacts, 2019 )
Seigoの追記
色鮮やかなサーフパンツやダイバーが使う潜水服までPFASが使用されているとは知りませんでした。それらはどうせ濡れるものなので、考えてみたら撥水性(水をはじく効果)などは必ずしも必要ないですね。潜水服ならむしろ保温性などの機能が伸びてくれた方がダイバーは嬉しいのではないでしょうか?
また潜水服のような体にピッタリつけるような製品に、毒性のある化学物質が塗布してあるとは気持ちが悪いですね。早く日本の製品にも規制が始まってほしいものです。
執筆日:2020年2月12日、更新日:2021年3月4日
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執筆日:2019年11月2日、更新日:2021年3月5日
(更新内容:毒物の新しい立体構造が手に入りましたので入れ換えました。また追記を加えました。)
これまで日本では環境ホルモンの情報はウソだとする風潮がありますが、先日ご紹介した論文で環境ホルモンは「黒」だと証明されました。それは環...
執筆日:2019年11月15日、更新日:2021年3月24日
ファーストフードで使われる容器やダイバーが使う潜水具には防水性(または撥水性;はすいせい=水をはじく性質)を高めるために有機フッ素化合物(PFAS)が使われている場合が多いですが、この毒性が米国で問題になっていることが報告され...
20余年アメリカで遺伝子治療&幹細胞の研究者をやってきました。
特に遺伝病の間違った遺伝子をピンポイントで修復し、元に戻す技術開発です。
理学博士(Ph.D. )
アメリカ生活で学んだアンチエイジングなど健康に関する知識をシェアしたいと思います。
巷の情報もご紹介、時にはブッた斬ったりしてしまうかもしれません。
またポイントなどの節約術や生活に便利なガジェット(スマホやアプリの紹介)も記事にしますので参考になれば嬉しいです。
皆さん、ご一緒に「究極のヘルシーライフ」を楽しみましょう♪
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