アスタキサンチン最新情報:強い抗酸化作用によりホモシステインによる神経毒性を打ち消す効果あり(論文2報まとめ)
最近はテレビでも聞くようになった「アスタキサンチン」ですが、それに関連する最新論文が今月に「2報」発表されましたので、簡単にその要点をまとめてみました。
アスタキサンチンのことは全く知らない方にもできるだけわかりやすいように書きました。
この記事のもくじ
アスタキサンチンとは?
赤橙色のカロテノイド色素で、抗酸化作用の強い物質です。エビやカニや鮭、藻などに含まれています。
抗酸化の強さはビタミンCの6000倍、ビタミンEの1000倍、βーカロテンの5倍と言われています。
目や脳、筋肉、皮膚、腎臓、腸、免疫、抗炎症、ストレスなど幅広く研究も行われております。
多くの研究者はこれまでアスタキサンチンは虚血性脳卒中、くも膜下出血(SAH)、アルツハイマー病(AD)およびパーキンソン病(PD)などの急性傷害および慢性の神経変性の両方で新規な神経保護効果を発揮することを実証しています。
論文1:アスタキサンチンは酸化ストレスとアポトーシスを減らすことによって酵母の寿命を延ばす
<インドのポンディシェリー大学の研究>Saccharomyces cerevisiae (出芽酵母いわゆるパン酵母)は酸化ストレスやプログラム細胞死、老化の研究によく使われます。
この研究では天然のアスタキサンチンの抗酸化や抗アポトーシス、抗老化の活性をS. cerevisiaeで調べました。
酸化に弱い株(sod1Δ、sod2Δ、cta1Δ、ctt1Δ、tsa1Δ)を、①アスタキサンチンで処理して、②過酸化水素を入れ酸化ストレスを与えました。
[ 結果の要約 ]
アスタキサンチンを与えた結果:
変化 | 物質レベルの変化 |
生存率が20~40%↑ | ー |
酸化ストレスが回避された | ROS(活性酸素種)レベル↓ |
抗酸化作用 ↑ | グルタチオン(抗酸化のトリペプチド) |
老化の原因とされる酸化された脂質が減った | 脂質過酸化↓ |
酸化ストレスによる細胞死から守られた | スーパーオキシドディスムターゼ活性↑ |
[ 結論 ]
アスタキサンチンが酸化のストレスと細胞死を減らすことにより、酵母の寿命を伸ばすことを示唆。
[ 引用 – 論文1 ]
Astaxanthin enhances the longevity of Saccharomyces cerevisiae by decreasing oxidative stress and apoptosis (要約のみご覧になれます;本文は有料)
FEMS Yeast Research, foy113, Published: 12 October 2018
論文2:アスタキサンチンによってラットの海馬ニューロンのホモシステイン誘発神経毒性の改善:ミトコンドリア機能障害およびシグナリングクロストークの証拠
[ ホモシステインのとは?& 研究の目的 ]• ホモシステインはメチオニン(必須アミノ酸)が代謝されると途中でできるアミノ酸です。
• 血中のホモシステインが高いことは循環器系などの生活習慣病の指標になるかもしれません。
• 血中のホモシステインが高いと酸化によるダメージを起こし、神経疾患のリスクも上がります。
• アスタキサンチンはいろんな実験モデルで強い抗酸化活性が示されています。
• この研究ではホモシステインが起こす神経毒性からアスタキサンチンが守ってくれるか調べました。
[ 実験方法 ] ・ラットのニューロンを1~10mMのホモシステインまたは0.5~10μMのアスタキサンチンで24時間処理しました。
・併用処理のために、ニューロンを0.5-5μMのアスタキサンチンで2時間前処理し、8mMのホモシステインで24時間共処理しました。
[ 結果の要約 ]
アスタキサンチンは細胞死(アポトーシス)を防ぐことで神経毒性を軽減しました。
・Bel-2ファミリーを調整し、ミトコンドリア透過性遷移孔(MPTP)を開口を促すことでミトコンドリアの機能障害(ホモシステインが引き起こす)を効果的にブロックしました。
・また透過性遷移孔を開ける調節で細胞内の活性酸素(ROS)や超酸化物(スーパーオキシドアニオン:マイナス電子還元を受けた酸素が中性で解離すると生じる陰イオン)の放出を阻害して酸化ダメージを軽減しました。
・MAPKおよびPI3K / AKT経路も正常化しました。
つまり
・ミトコンドリア機能障害
・活性酸素による酸化ダメージ
・MAPKおよびPI3K / AKT経路の調節を阻害
をアスタキサンチンが防いで神経毒性やアポトーシスを改善させました。
[結論] ホモシステインによる神経毒性をアスタキサンチンが軽減する可能性があります。このベネフィットを人に適応されることが期待されます。
[ 引用 – 論文2 ]
Reversal of homocysteine-induced neurotoxicity in rat hippocampal neurons by astaxanthin: evidences for mitochondrial dysfunction and signaling crosstalk.
Cell Death Discovery, Vol 5, Article number: 50 (2018), Published: 22 October 2018
Seigoの追記
ホモシステインが増えると顔のシワが増える
自分の話ですみませんが、私は以前に血液検査でホモシステインの濃度が上昇していることが発見されました(2017年9月21日の記事)。当時ほうれい線が濃くなりはじめ、顔に違和感があったことを覚えています(顔の老化がホモシステインによって進んでいたようです。)
原因は老化ではなく葉酸を代謝する酵素がうまく働いていないせいだった
調べてみますと、葉酸を代謝する酵素があまり機能していないことがわかり、それは遺伝子検査でも証明されました。その対策としてメチル化した葉酸のサプリをとりはじめ、ホモシステインは正常値に戻りひとまず老化の加速は止めりました 😀
最新論文からわかったホモシステインのさらに怖い点
今回チェックした最新の論文を読みますと、ホモシステインの怖いところがさらに分かってきたことが分かります。それは、🔴 ホモシステインは酸化的損傷を誘発する
🔴 ホモシステインは脳で神経毒として働く
🔴 ホモシステインはミトコンドリアに働きかけて機能不全を起こす
このことを聞きまして、メチル化葉酸のサプリを飲んでいるだけではちょっと不安なので、さらにホモシステインによるダメージから守る対策もとっていこうと考えるようになりました。
今回紹介されたアスタキサンチンのような強い抗酸化物質も予防として摂っておくと安全ですね。
皆さんの参考になるかも知れないので、アスタキサンチンのサプリ情報を下に貼っておきます。
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20余年アメリカで遺伝子治療&幹細胞の研究者をやってきました。
特に遺伝病の間違った遺伝子をピンポイントで修復し、元に戻す技術開発です。
理学博士(Ph.D. )
アメリカ生活で学んだアンチエイジングなど健康に関する知識をシェアしたいと思います。
巷の情報もご紹介、時にはブッた斬ったりしてしまうかもしれません。
またポイントなどの節約術や生活に便利なガジェット(スマホやアプリの紹介)も記事にしますので参考になれば嬉しいです。
皆さん、ご一緒に「究極のヘルシーライフ」を楽しみましょう♪
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