プラスチック汚染が地球の酸素の10%を産生してる海洋細菌に影響を与える可能性がある!? (2019年最新研究)

ニュース/レビュー

このサイトでは土壌細菌や腸内細菌のニュースが数多く出ておりましたが、今回はついに「海の細菌」の話題です。

地球の酸素の10%を作り出している一種類の細菌「光合成細菌」がプラスチック汚染によって影響をうけているという間接的な証拠を、オーストラリアのシドニーにあるマッコーリー大学の研究者たちが見出しました。

その研究から論文とプレスリリースが発表されました。今回はそれを上手くまとめてあるEcoWatchからのレビュー記事(英文)を翻訳しましたのでご紹介します。(翻訳のプロではないので読みづらかったらすみません。

また発表された論文はオープンアクセスですので、どなたも無料で全文が閲覧できます。リンクを以下のレビュー記事の後に貼っておきます。
→ 最近はGoogle翻訳の性能が良くなってスムーズな日本語に翻訳してくれるようになってきました。(時々変ですが)ご活用下さい。(Google翻訳のページはこちら

プラスチック汚染は地球の酸素の10%を生み出す海洋細菌に悪影響を与える

海洋のごみ(出典:by m**************m/写真AC)

英文執筆者:Olivia Rosane

海のプラスチックが海の生き物に害を与えることはよく知られていますが、毎年海に入る800万トンのプラスチックで私たちは息も苦しくなってしまうのでしょうか?

Communications Biology で2019年5月14日(火)に発表された新しい研究の気がかりな意味は、プラスチック汚染が地球の酸素の10%を産生する海洋細菌に悪影響を及ぼす可能性が判明したことです。

プラスチック汚染から出る化学物質の暴露が、プロクロロコッカス属(ピコプランクトン)という海で最も多い光合成細菌の増殖や光合成反応、そして酸素生成を阻害することを私たちは発見しました。」筆頭筆者でマッコーリー大学のDr. Sasha Tetuは大学のプレスリリースで述べました。

検査は実験室で行われたので、今のところ海でプラスチックが細菌に害を与えているかまだわかっていません。

「現在プラスチック汚染が微生物に海で同じ影響を与えているかどうか調査したいです。」とDr. Tetuは言いました。

この研究は、重要な細菌に対してプラスチックの可能性のある影響を調べた最初のものです。またこの研究は酸素を産生することに加えて海洋食物網(Marine food web)の重要な要素です。

調査方法

プロクロロコッカス属の光合成細菌の電子顕微鏡写真(出典:Wikimedia Commons, by Luke Thompson from Chisholm Lab and Nikki Watson from Whitehead, MIT – flickr, CC0, Link


研究者は海の深さの違うところでよくいる2種類のプロクロロコッカス株を調査しました。

彼らは菌株をポリ袋やPVC マットから溶け出た化学物質にさらしました。この化学物質は遺伝子の発現を変えるだけでなく細菌の増殖や産生する酸素量を弱めるという顕著な影響を与えました。

「この研究はプラスチック汚染の新たな予期せぬ危険を明らかにしました」と論文の共著者で、マッコーリー大学のリサ・ムーア(Lisa Moore)研究員はインデペンデント誌(The Independent)で語りました。

The researchers pointed to the importance of better understanding how plastic pollution impacts smaller organisms at the base of the food web.

研究者はプラスチック汚染が食物網(= 網目構造になった食物連鎖)の底辺にいるより小さな生き物にどう影響を与えるかをよりよく理解することの重要性を指摘しました。

「プラスチック汚染は海鳥やカメなどの大きい生き物で知られている以上に生態系に広く影響しているかもしれないことを私たちのデータは示します」Tetu博士は大学のプレスリリースで言いました。「もし私たちが本当に海洋環境におけるプラスチック汚染の完全な影響を理解し、それを軽減する方法を見つけるなら、光合成細菌などのキーとなる微生物群への影響を考慮する必要があります。」

ムーア氏はインデペンデント誌に、プラスチックがいずれこれらの細菌とそれに依存する環境にどのような影響を及ぼすかについて語りました。

「もしプラスチック廃棄物の管理が放置されたままなら、プロクロロコッカスは場所によって減ってしまうかもしれず、プロクロロコッカスを食べる他の生き物に影響するかもしれません」とムーア氏は言いました。

「一部のプロクロロコッカスはプラスチックの近くに存在してすでに影響を受けている可能性があります。しかし地球規模でプロクロロコッカスに影響を与えるのに十分なプラスチックが海に蓄積するまでには数十年かかるでしょう。」

もしプラスチック汚染が現在のペースで放置されたまなら、2050年までに海に魚よりもプラスチックの方が多くなってしまうでしょう。

ーーー 翻訳ここまで ーーー


引用ニュース & 原著論文

🔵 引用レビュー:Plastic Pollution Harms Ocean Bacteria That Produce 10 Percent of Earth’s Oxygen (EcoWatch)May. 15, 2019

🔵 オーストラリア マッコーリー大学のプレスリリース:It’s not just fish, plastic pollution harms the bacteria that help us breathe.Macquarie University)15 May 2019

🔵 原著論文(オープンアクセス:全文が無料でご覧になれます):Plastic leachates impair growth and oxygen production in Prochlorococcus, the ocean’s most abundant photosynthetic bacteria(Communications Biology, 2019)
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海洋プラゴミ&光合成細菌に関係する書籍

Seigoの追記

私たちが呼吸する酸素の10%は、海にいるたった1種類の細菌から来ているそうですね。

それがプロクロロコッカス属の光合成細菌です。

上の写真では大きく見えますが、大きさはたったの0.6µmしかありません。(6mmの1万分の1)

地球にはもともと二酸化炭素がたくさんあって酸素がほとんどなかったのに、こういう光合成細菌が発達したおかげで、地球の二酸化炭素が減り、酸素が大気中の20%になるまで増えたのでしょう。

そういう大切な海洋の細菌がどのように増減するかをウォッチしていくことは、これから大切になっていくことでしょう。

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