市販の牛乳ではなく生の牛乳が含んでいるラクトフェリンはSARSに対して抗ウイルス効果をもつことが判明!【科学的根拠・論文引用あり】

ニュース/レビュー

今回は母乳などに含まれるラクトフェリンが、新型コロナなどのウイルス感染の防御になるかについての、タイの医学情報サイト(Thailand Medical News)の記事を翻訳してご紹介します。(翻訳のプロではないので読みづらかったらすみません。

母乳と初乳に含まれるラクトフェリン(タンパク質)が色々なウイルスからの防御に役立つかもしれません

ウイルス感染症は風邪やインフルエンザ、新型コロナなどの病気の主な原因であり重症化すると死に至ることもあります。

ラクトフェリン という乳などの外分泌液に含まれるたんぱく質が、ヒトの臨床試験で 強力な抗ウイルス活性 があることがわかっています。さまざまなメカニズムを通してウイルスのライフサイクルのいくつかのポイントで攻撃します(論文1〜4;以下に参考文献のリストあり)。

ラクトフェリンは体内で作られますが、サプリなどで摂取しても体の防御を強化できます論文5)。

ラクトフェリンは、ウイルスによる病気のリスクを減らしたり、重症化になりにくくしてくれるかもしれません。

細菌などの感染性の病原体とは違って、ウイルスは自ら成長し増殖できないので、生き延びるために宿主を乗っ取らなければなりません。また、ウイルスは非常に小さくて、細菌やカビなどよりもはるかに小さいです(書籍6オープンアクセス:専門書のチャプタ45がすべて無料で読めます!)。

ウイルスは大体遺伝物質とタンパク質の殻でできています。宿主を見つけると侵入し、ウイルスの新しいコピーを作っては他の細胞に感染します。

まず最初に、ウイルスは気道内や消化器系から侵入することが多いです。ウイルスはある特定の表面を認識できる表面タンパク質を持ちます。これを使って宿主の細胞にくっついて侵入します。

細胞に入ったら、ウイルスは細胞を制御して遺伝物質とタンパク質のコピーを作り、新しいウイルスが出来上がります。

ラクトフェリンは、ウイルスの侵入から成長までのステップのいくつかを妨げることで防御をサポートします。

ラクトフェリンは初乳に最も多い

イメージ画像(出典:Marco MassimoによるPixabayからの画像)


ラクトフェリンは牛乳、涙や唾液などの体の分泌物に含まれ免疫系細胞によっても作られます(4)。

自然では特に初乳に最も多いです。初乳とは、赤ちゃんが生まれた後の最初の母親が与える母乳のことです。免疫システムが出来上がる前の弱い時に赤ちゃんを感染から守る驚異的な力を持っています。

成人においても、感染から守る重要な成分です。
粘液、唾液、などの分泌物中のラクトフェリンは、病原菌が口腔鼻腔、気道、消化器から侵入するのを防ぎます。

ラクトフェリンの重要な特徴の1つは、防御できるウイルスの種類が多いことです。インフルエンザウイルスから、HIVウイルス、B型&C型肝炎ウイルスまで、さまざまなウイルスに強い抗ウイルス活性を示します(4)。

ラクトフェリンのウイルス感染を防御する方法は、ウイルスが細胞に結合するのを防ぐことです(1-3,7)。 ウイルスが細胞にくっついても侵入できなければ、病気になりません。

タンパク質ラクトフェリンは、

-まずウイルスに直接くっつき、ウイルスの表面タンパク質が細胞膜表面の結合部位(受容体;レセプター)を認識しないようにします。

-ウイルスの標的となる細胞の外膜の表面部位にも結合します。

例えば、細胞表面にあるヘパラン硫酸は、さまざまなウイルスの一般的な標的です。

ラクトフェリンがヘパラン硫酸を含む構造にくっついて、ウイルスが細胞を認識して侵入するのを防ぐことができることが色々な研究から示されています。

これまでに、ラクトフェリンは、動物実験や前臨床研究などで、多くの種類のウイルスから保護するのに役立つことが示されています(1〜4、7、8、10〜12)。

ラクトフェリンが対応するウイルスのリスト

– 一風邪のさまざまな種類のウイルス(4)
インフルエンザAのいくつかの株やインフルエンザのさまざまな種類のウイルス(2009年に世界的な大発生を引き起こしたH1N1サブタイプも含む)(4、11)
– 胃腸炎(胃インフルエンザ)を起こすさまざまな種類のウイルス(4)
SARS型コロナウイルス(7)
– 単純ヘルペスウイルス、(4、12)
エイズ ヒト免疫不全ウイルス(HIV)(1、2、4)
– B型肝炎ウイルス(1、3、8)
– C型肝炎ウイルス(1、2、8)
– サイトメガロウイルス(CMV)(1、4)
– ポリオウイルス(4、8)
– 呼吸器合胞体ウイルス(RSV)(1,11)
– ハンタウイルス(1,11)
– デングウイルス デング熱(7、8)
– エンテロウイルス 無菌性髄膜炎など(2、8)
– エコーウイルス 無菌性髄膜炎など(1、7、8)
– コックサッキーウイルス 手足口病など(10)
– エプシュタインバーウイルス(EBV) キス病など(12)

ラクトフェリンは、間接的にも抗ウイルスとして働きます。免疫を活性化することで体がウイルスと戦うのを助けます。

ナチュラルキラー細胞(NK細胞)を活性化させたり増やします。この免疫細胞は、ウイルスに感染した細胞など異常な細胞を認識して排除するために装備されています。ウイルスが体内で広がるのを抑えます。

また、インターフェロンというシグナル伝達タンパク質などの他の抗ウイルス成分を作るように刺激します(2,4)インターフェロンの働きは、ウイルスの存在を周囲の細胞に知らせ、ウイルスの成長と拡散を防ぐことです。

ラクトフェリンはウイルスがすでに細胞内にいても、ウイルスが増えないようにして重症を予防する可能性が示されています。

ですからラクトフェリンを摂ると、ウイルスによる病気の発生率と重症度を減らすことができます。

研究では、ラクトフェリンを服用する健常な女性は、風邪のような症状や胃腸炎の症状の発症が減ったということです。

他の臨床研究では、ラクトフェリンはロタウイルスやノロウイルスによるウイルス性胃腸炎の発生率と重症化を下げました。

100 mgのラクトフェリンを週6〜7日服用する人は、週1回だけ服用した人と比べて、ウイルス性胃腸炎の発生率が約4倍減少しました(4)

SARSとラクトフェリン

アジアで起こったSARSの流行は深刻な急性呼吸器症候群を起こし、2003年には700人以上が死亡しました。

これと同じ仲間のSARS-CoV-2によるCOVID-19は、まだ新しすぎて詳しく調査できていませんが、SARSおよびMERSなどのコロナウイルスと多くの共通点があります。

タンパク質ラクトフェリンは、少なくとも2つのやり方でSARSコロナウイルスから守るのに役立つ可能性を示しています。

2011年の研究では、ラクトフェリンSARSウイルスが標的細胞の表面にあるヘパラン硫酸化合物へのウイルスの結合を防ぐことにより、侵入阻止に効果的であることが示されました(7)。

非常に多くのウイルスで有効なワクチンや薬がないということを考えれば、ラクトフェリンはウイルス性疾患に対する防御において有望な新しいツールかも知れません。

SARS-CoV-2へのラクトフェリンの有効性の証拠はまだありませんので、さらに多くの研究を実施する必要はあります。

参考文献

1. Berlutti F, Pantanella F, Natalizi T, et al. Antiviral properties of lactoferrin–a natural immunity molecule. Molecules. 2011Aug 16;16(8):6992-7018.

2. Drago-Serrano ME, Campos-Rodriguez R, Carrero JC, et al. Lactoferrin: Balancing Ups and Downs of Inflammation Due to Microbial Infections. Int J Mol Sci. 2017 Mar 1;18(3).

3. Moreno-Exposito L, Illescas-Montes R, Melguizo-Rodriguez L, et al. Multifunctional capacity and therapeutic potential of lactoferrin. Life Sci. 2018 Feb 15;195:61-4.

4. Wakabayashi H, Oda H, Yamauchi K, et al. Lactoferrin for prevention of common viral infections. J Infect Chemother. 2014 Nov;20(11):666-71.

5. Zhang Y, Lima CF, Rodrigues LR. Anticancer effects of lactoferrin: underlying mechanisms and future trends in cancer therapy. Nutr Rev. 2014 Dec;72(12):763-73.

6. Available at: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK8149/. Accessed May 23, 2020.

7. Lang J, Yang N, Deng J, et al. Inhibition of SARS pseudovirus cell entry by lactoferrin binding to heparan sulfate proteoglycans. PLoS One. 2011;6(8):e23710.

8. Chen JM, Fan YC, Lin JW, et al. Bovine Lactoferrin Inhibits Dengue Virus Infectivity by Interacting with Heparan Sulfate, Low-Density Lipoprotein Receptor, and DC-SIGN. Int J Mol Sci. 2017 Sep 12;18(9).

9. Kuhara T, Yamauchi K, Tamura Y, et al. Oral administration of lactoferrin increases NK cell activity in mice via increased production of IL-18 and type I IFN in the small intestine. J Interferon Cytokine Res. 2006 Jul;26(7):489-99.

10. Pietrantoni A, Di Biase AM, Tinari A, et al. Bovine lactoferrin inhibits adenovirus infection by interacting with viral structural polypeptides. Antimicrob Agents Chemother. 2003 Aug;47(8):2688-91.

11.Scala MC, Sala M, Pietrantoni A, et al. Lactoferrin-derived Peptides Active towards Influenza: Identification of Three Potent Tetrapeptide Inhibitors. Sci Rep. 2017 Sep 6;7(1):10593.

12.Zheng Y, Zhang W, Ye Q, et al. Inhibition of Epstein-Barr virus infection by lactoferrin. J Innate Immun. 2012;4(4):387-98.

13.Oda H, Nakano M, Wakabayashi H, et al. Questionnaire survey on the subjective effects of a lactoferrin supplement. Jpn J Complement Altern Med. 2012;9(2):121-8.

14.Available at: https://www.cdc.gov/sars/about/fs-sars.html. Accessed May 23, 2020.

Read also : https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32151562/

ーーー 翻訳ここまで ーーー


引用ニュース

🔵 英語ニュース:MUST READ! Immune System: Natural Protein Found In Mother’s Milk and Colostrum Called Lactoferrin Could Help Protect Against Various Viruses (Thailand Medical News) May 23, 2020

Seigoの追記

ラクトフェリン赤い色の糖タンパク質です。鉄と非常にくっつきやすいのでという意味のラクトという意味のフェリンで命名されました。抗ウイルス、抗炎症、免疫力アップの他にも腸に鉄を供給してくれる働きもあります。病原菌から鉄を奪って殺したりしますが、善玉菌は増やしてくれるようですね。ラクトフェリンはたんぱく質なので当然熱に弱いので、市販の牛乳からは摂れませんアメリカではヘルシースーパーで生の牛乳を売っているところもあって、初乳(コロストラム)も見かけたことがあります。それを飲んでたら風邪知らずなんでしょうけどね。

上記のレビューで驚くのは、やはりラクトフェリンもウイルスの表面タンパク質をくるんで感染させなくする(受容体にくっつきにくく)する作用があることです! これは海藻と同じですね。外国の方は日本人のように海藻を分解できる酵素を持っていないので、生の牛乳を飲めれば(手に入れるルートを知っている方は少ないと思いますが)一番いいのでしょうね!

生の牛乳についての記事はこちら ➡️(2017年10月16日2017年10月20日


私がロサンゼルスで良く飲んでいた生の牛乳はこんな感じでした。   牛乳は大人が飲むとラクトースの分解ができなくてお腹がゴロゴロしてしまうことがおおいですが、生の牛乳はラクトースを分解する菌が入っているので消化を助けてくれるのですよね。牛乳に菌が入っているって驚かれると思いますが、自然のものとはそういうものです。母乳にも菌が入っていて、赤ちゃんの腸内細菌の形成を助けてくれます。それでも私が生の牛乳や生の「生クリーム」をたくさん食べるときは、ラクトースは多少なりとも残留しているので、ラクトースの分解酵素サプリをとっていましたが。そこさえ気をつければ牛乳は最高の食材だと思います。日本で手に入らないから〜

*コロストラムもラクトフェリンも牛乳アレルギーの方はご使用をお控えください。

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