イミダクロプリドとは? ヒトへの影響はないと言われているがその代謝物に毒性あり!? ほんの微量でも昆虫に影響あり (2019年最新論文)

ニュース/レビュー

今回は「ほんのちょっとのネオニコチノイドでも昆虫が敵を見分ける能力を害する」という研究報告です。

カナダのサスカチワン大学がその調査結果を論文発表し、またそのレビュー記事(英文)を大学サイトに発表しました。今回はそのレビュー記事を翻訳しましたのでご紹介します。

翻訳のプロではないので和訳した文章が読みづらかったらどうもすみません 😅

ニュースタイトル「ごく微量のネオニコチノイド系農薬が昆虫の天敵発見能力を損なう」

ほんの微量のネオニコチノイドで影響を受けるバッタ(イメージ画像の出典:Roos RojasによるPixabayからの画像)


カナダ・サスカトゥーン:飛ぶ能力をもつ昆虫がごく微量のネオニコチノイド農薬の影響によって、天敵を発見する能力や、障害物を回避する能力を損なう可能性がある、とサスカチュワン大学による新しい研究が示しています。

2019年4月10日

ジャーナル NeuroToxicology(神経毒性学)誌に掲載された論文によりますと、この広く使用されている農薬のほんのわずかに残存している量でも、飛んでいる昆虫の動きを感知する能力、つまり生存に欠かせないスキルに大きな影響を与える可能性があります。

微量のネオニコチノイドその代謝産物(殺虫剤が分解し始めた後に存在する微量の元素)で処理してから1時間以内の飛ぶ虫は衝突を避けるために向きを変えたり、滑空(glide)したり、止まったりしませんでした。

動物の行動神経学の専門家でサスカチワン大学の芸術科学部のジャック・グレー副部長は、「私たちの発見は、非常に少量の農薬あるいはその代謝産物が、イナゴ、バッタ、ミツバチなどの飛ぶ虫が生きるために必要な動きを感知するシステムに深刻な悪影響を与える可能性があることを示唆しています」 として、

「それらは環境中に存在し、昆虫はそれらにさらされる可能性がありますが、(農薬の)代謝産物の毒性は一般的にはテストされていません。結果からその試験がなされるべきです」と述べています。

ネオニコチノイド系農薬〔またはネオニクスNeonics)〕は、世界で最も広く使用されている殺虫剤で、神経毒です。欧州連合(EU)はミツバチなどの花粉媒介者への影響を懸念して、いくつかのネオニクスの使用を制限し、カナダでも使用を制限する提案がありました。

ネオニコチノイドはさまざまな化合物に分解され、環境中に微量で存在していますが、この量では通常毒性試験は行われません。

ネオニコチノイド系殺虫剤の「イミダクロプリド」の微量元素に曝露されたバッタは、それらの視野内で物体の動きを検出することができなかった。やや高い量で投与されたとき、イナゴはまっすぐ飛ぶことができなかったか、まったく離陸することができませんでした。

イミダクロプリドの構造(出典:PubChem by NEUROtikerOwn work, Public Domain, Link)〔画像はクリック/タップすると拡大できます〕


ジャック・グレー副部長とレイチェル・パーキンソン(Rachel Parkinson)氏はカナダのサスカチュワン大学の研究室で、微量のネオニコの虫への影響を研究しています。

微量に残ったネオニコチノイドイミダクロプリドにさらされたバッタは、視界に物体の動きを感知することができませんでした。やや高い量で投与された場合、イナゴはまっすぐ飛ぶことができなかったか、まったく離陸できませんでした。

サスカチワン大学生物学科の研究者によるこの調査結果は、飛ぶ混虫に対する微量のネオニコチノイドの影響に関するより広範な研究プログラムの一部です。

電気生理学を用いたイナゴの神経テストで、サスカチュワン大学の生物学者たちは、処理後のイナゴの動作検知ニューロンがあまり敏感ではないことがわかりました。情報を素早く処理し伝える能力とそのための飛びながら素早く対応する能力も悪化していました。

バッタ(イメージ画像の出典:sialaによるPixabayからの画像)


この研究チームは、特別に設計した風のトンネルを使って、バッタがシミュレーションで近づいてくる物体を避けて飛ぶ能力 ー やぶや木などの障害物や天敵を避けるために欠かせないスキル ー を測定しました。

飛ぶ昆虫にとっては、進路に大きな昆虫や鳥などの天敵を見て衝突を避けられるように視力が優れていることが生きるためには極めて重要なのです。

研究チームは、微量のネオニコチノイドがミツバチの回避飛行と飛行行動を混乱させることと飛行の安定と速度や高度のコントロール、距離の計算に関わる神経力学についての研究を間もなく開始する予定です。

博士課程生物学の学生、レイチェル・パーキンソン氏は「ミツバチやその他の飛ぶ昆虫は、視覚的動作を処理するために同じような神経機構を使っていて、動作を感知する能力は敵を避けるだけでなく、安定した飛行を維持するためにも重要です」と述べています。

引用ニュース & 原著論文

🔵 英語ニュース:USask research shows tiny traces of neonicotinoid pesticides impair insects’ ability to spot predators)Apr 10, 2019

🔵 英語ニュース(上記で抜けている文章を補った):Tiny traces of neonicotinoid pesticides impair insects’ ability to spot predatorsSciencedaily.com

🔵 原著論文 :Neural conduction, visual motion detection, and insect flight behaviour are disrupted by low doses of imidacloprid and its metabolitesNeuroToxicology   2019 )

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Seigoの追記

この論文の言いたいこと

ネオニコチノイドは昆虫を殺すための殺虫剤であり、その作用は脳の神経系を麻痺させることにあります。

なのでこの論文のタイトルにある「天敵発見能力を損なう」というのは頭が麻痺しているのですから当り前だといえます。

では何が言いたかったのかと考えてみますと、ネオニコチノイドの残留量は非常に低いのにそれでもまだ昆虫が異常行動を起こすので、なぜかを調べたかったのではないかと思います。

そして調べてみると、ネオニコチノイド(ここではイミダクロプリド)がというよりもその代謝産物が悪さをしていたことが分かったという報告ではないかと思います。

→ ということは例えネオニコチノイドが検出されないから安全だとは言えなくなってくるということです。

よって農薬を使っていた農場で、ある時から無農薬栽培に変わったとしても、そしてたとえネオニコチノイドは検出されなくても、その代謝産物は残っていて悪さをする可能性があることを警告してくれた論文となります。

イミダクロプリドが水道水の塩素で300倍以上になり人にも毒に!

先日に記事にしましたが、今回取り上げられたイミダクロプリドが水道水に含まれる塩素と結びつくと昆虫だけではなく私たち脊椎動物にも毒性になり、その毒性が300倍以上になる副生成物が出来上がってしまうことが分かってきました。

この副生成物はがんや先天性欠損症のリスクも増加させる可能性があるとのことです。 詳しくは別記事を参照して下さい ↓

⭐️ ⭐️ ⭐️

ここで取り上げられたネオニコチノイド系殺虫剤の「イミダクロプリド」について日本語のウィキペディアには載っていませんでしたが、英語版にはありましたので、その冒頭部分の説明を抜粋して、その翻訳したものを以下で紹介します。

「イミダクロプリド」とは?(米国ウィキペディアより)

イミダクロプリドの構造(出典:Wikimedia Commons, By NEUROtiker, Link


イミダクロプリドは、昆虫の神経毒として作用する全身性殺虫剤であり、昆虫の中枢神経系に作用するネオニコチノイドと呼ばれる化学物質のクラスに属します。

化学物質は、昆虫の神経系における刺激の伝達を妨げることによって機能します。具体的には、ニコチン作動性ニューロン経路を遮断するということです。ニコチン性アセチルコリン受容体をブロックすることで、イミダクロプリドはアセチルコリンが神経同士がインパルスを伝えなくして、結果昆虫の麻痺や最終的には死に至るということです。

イミダクロプリドは哺乳動物のニューロン受容よりも昆虫のニューロン受容体にはるかに強く結合するので、この殺虫剤は哺乳動物よりも昆虫に対してより有毒である[2]

ーーー 米国のウィキペディアの翻訳はここまで ーーー

米国ではイミダクロプリドは使用が許可されているので、上記の記述はかなり甘く書かれている(批判的な内容を書けばクレームがつきやすいので)と考えられます。

次にイミダクロプリドの使用が禁止されているEU加盟国のフランスのウィキペディアを日本語に翻訳して示します。(Google翻訳で訳しましたので読みづらくてすみません 😅)

EUで禁止されている「イミダクロプリド」の記述(フランス・ウィキペディアより)

イミダクロプリドは、ある農薬の家族にネオニコチノイド(殺虫剤)、世界で最も使用され、1990年より農業で使用さていました(およびフランスでは1994年から)。

すべてのネオニコチノイドと同様に、この農薬は「全身性」製品です。つまり、植物の体全体に拡散します(したがって、花の蜜と花粉に低用量で存在します。ごく最近になって、土壌や水、植物、花粉、蜜、空気など、すべての環境区画が汚染される可能性があるように見えました(10)。イミダクロプリド(または他のネオニコチノイド)の大量かつ予防的使用のため、これらの分子は昆虫に対して強力な神経毒性を示します。例えば、イミダクロプリドは50%の致死量に基づき、DDTよりもミツバチに対して7000倍毒性が高い(11)。ショウジョウバエでは、生存と再生に対するイミダクロプリドの影響は依然としてより何百万倍低いレベルで致死濃度50%に達します(12)(13)。 ネオニコチノイドはこれらの植物を消費する昆虫の神経系を標的にします(8)

フランスで禁止

イミダクロプリドはフランスで2018年9月1日から禁止されている(34)。5つの禁止ネオニコチノイドは、アセタミプリドクロチアニジン、イミダクロプリド、チアクロプリド、及びチアメトキサムである。(35)

ーーー フランスのウィキペディアの翻訳はここまで ーーー


ウィキペディアの記述にも偏りが見られる

米国や日本はネオニコチノイドの使用がOKの国、フランスは禁止している国です。

やはりウィキペディアの記述もフランスが一番詳しく、そして恐い話がたくさん載ってました 😅

背筋が凍った記述はここです。

この農薬は「全身性」製品です。つまり、植物の体全体に拡散します。

つまり農薬として使った場合、私たちの食べる野菜にスミズミにこのネオニコチノイドが浸透するということですね。野菜を食べるということは、私たちはネオニコチノイドを確実に食べているというわけですよね 😱

上記の記述では昆虫を殺すための殺虫剤ということなので、バッタなどの昆虫が行動がおかしくなるのは、むしろ当り前だということです。フランス版のウィキペディアには花の蜜や花粉にも農薬が入り込むと書いてあるので、ハチが減るのも当然のことなのかも知れません。

日本もフランスのように早く禁止すれば環境汚染を減らし、虫たちの生態系を乱すことなく、また私たちもより健康でいられるのではないでしょうか・・・

これほどの強い農薬を使うことは私たち人間にも良くありませんし、なんといっても地球環境に良くありません。このまま農薬散布を放置していれば自然は人間にキバをむく日がくるのではないでしょうか?

そんなことにはならないように、このサイトでは地球を守るための情報を発信していきます。
Seigo

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