食べログの掲載拒否する方法がない理由/ユーザーも気づかない「標準」カテの秘密

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新しい場所を訪れてお店の探すときに、「食べログ」などのグルメサイトの星の数(評価)を信頼して、飲食店を選ぶことはないのでしょうか?

しかしそのお店の評価がお金のやりとりで操作されているとしたらどうでしょうか?

「食べログ」やその代理店が飲食店に圧力をかけ、会費を払わないと星の評価を下げるとほのめかしたり、会費を払わないと評価が下げられてしまったりということが、約3年も前からあったようです。

そして先月、公正取引委員会が重い腰を上げ、ようやくグルメサイトなどの調査が始まりました。

その詳細をニュースサイトやWBSのニュース(2019年10月15日放送)から情報を集めてみましたので、ここで紹介させていただきます。

公正取引委員会が食べログなどを調査

公正取引委員会が複数の飲食店に調査書を送りました。その対象となったグルメサイトは食べログぐるなびホットペッパーグルメなどが含まれています。

そこにはお店の評価や点数などで、不利な扱いを受けたことがあるかなどの50以上の質問がありました。

街の人にうかがった調査によると、食べログの場合、星の数(評価)をチェックして、3.5以上だと「行く」と決めるとおっしゃっている方も見受けられました。

食べログカカクコムグループが運営し、2005年にサービスを開始したグルメサイトです。

カカクコムと同じグループの「価格.com」が月間PV数(閲覧数)が約5億PVに対して、食べログはその4倍の約20億PVを超える超人気サイトに成長しています(カカクコムの2019年10月のレポートより)。

最大の特徴は一般のユーザーが店を5つ星で評価できることです。

あるお店のオーナーの不満

WBSでは吉祥寺のあるレストランを訪れ、食べログのシステムに不満を持っているオーナーさんを取材しました。(番組ではレストランとオーナさんの実名も公表していました。よってTwitterなどの匿名の情報よりは信頼できる情報となります。)

ハーブを使った味付けで人気となり、食べログの評価は3.8と高いものでした。

ある日、食べログの本部から連絡があり、「月々のページビュー(閲覧数)がこれくらいあるので、もっと訪問者から客を引っ張って来れるように有料プランがある」といわれました。

しかし有料会員になることにオーナーは断わりました。しかしその後、点数がすぐに3.8から3.4まで落とされてしまいました。

〔※点数の変更は、食べログは毎月第1火曜日と第3火曜日の原則月2回更新を行っています〕

番組スタッフの質問:(店数が落ちたのは)点数の低い口コミが増えたからではないか?

オーナー:それはないです。口コミが80数件から60件台まで落ちているので、うちを高評価してもらっているのを全部削られたようなもの。また常連客からの口コミも削除されていた。

そしてオーナーが食べログ本部に問い合わせたところ、

食べログ:「採点方式を変えたからではないか? それで点数が下がったというのはある」

と応えたという。次に食べログにオーナーがこう尋ねている。

オーナー:口コミの数件が20件くらい減ったのはどういうことか?

食べログ:サイトを利用する客に新しい情報を届けるために削除したんだと思います。

さらに続けてオーナーは尋ねた。

オーナー:うちよりはるかに古い店の口コミが減っていないがどういうことか?

食べログ:それも私のほうではわかりません。

食べログの有料会員に加入しているお店の不満

実は食べログには店側が有料会員となり様々なサービスを店が利用できる仕組みがあります。

たとえばサイト上でネット予約のシステムが利用可能になる他、客に検索されやすくなるサービスなど、価格は月1万〜10万円の4段階あります。

しかし最も重要な口コミには、点数の評価には一切影響しないと食べログ側は言及しています。

しかし有料会員に入っている店舗からは次のような不満がでています。

食べログの営業代理店*から「料金プラン見直し」の提案を受けた飲食店があります。

飲食店の店長:営業代理店から「今度2万5000円のコースがなくなり、3.6の点数を維持したいのであれば5万円のコースにした方がいい」という話だったと思います。

料金プランで店数が変わるような印象を受け、食べログに対して店長は不信感をもったそうです。

〔※ 有料プランの新規会員登録は食べログに直接申し込まなくてはいけないが、それ以降は食べログとは別の営業代理店と契約を結ぶ場合がある。〕

食べログがコメントをホームページで公表

10月10日にカカクコムがホームページにニュースリリースを発表しました。

有料サービスで店の評価点数が変動することは一切ないとした上で、点数のつけ方については「各ユーザーの影響度によって重み付けされた評価をベースに算出しております。各ユーザーの影響度は食べログでの各種実績などから算出しております。」

食べログの店数は単純な平均点ではないということになります。

食べログへの投稿回数によって店数に与える影響は上下すると言っています。

さらに「不正な点数操作を防ぐため(点数算出方法の)詳細は非公開とさせていただいています」とのこと。

有料会員に入らない飲食店は不利?

ある飲食店コンサルタントによるコメント:

「(グルメサイトの)影響力が強くなると飲食店はサイトに載せざるを得ない状況になります。そうなりますと、クーポンや価格競争も生まれ、広告費がかさんで客単価が下がるという形になりますので、安定した経営が続けられない店が増え、外食産業全体に影響を及ぼす時代になろうかと思います。」

食べログの掲載拒否をする方法がない理由

2016年6月に最高裁の表現に自由に関する判決が出ていて、店側はグルメサイトに掲載されたコメントを削除できないばかりではなく、お店全体の情報も削除することはできない(掲載拒否ができない)という法的な判決がでています。

このようにお店側には大変腹立たしい状態になっております。

つい先日にはツィッターで食べログユーザーを拒否する張り紙がお店の前に掲示されているのが拡散されました。

ユーザは知らない「標準」カテゴリーのランキング

経営者からのTwitterで多い批判は「有料会員になるのを断ったら店の点数下げられた」というもので、それに対しての食べログの主張は、

🔴 飲食店向け有料サービスを含む食べログとの何らかのお取引によって、お店の点数ランキングが変動するということは一切ございません。

🔴 点数は各ユーザーの影響度によって算出され、単なる平均点ではない。算出方法は不正な点数操作を防ぐため公開できない。

といった主張がある一方で、有料サービスについては、

🔴 店舗会員向け集客サービス(有料)をご契約いただいたお店は「標準(会員店舗優先)」検索結果における優先表示などの食べログサイト内での露出機会をさらに増やすことができる。なお「標準(会員店舗優先)」検索結果は、ユーザーによる評価(点数)によって並び順が決まる「ランキング」ではございません。

つまり有料サービスを使った店舗は優先的に上位に表示される仕組みなのである。しかもこれが食べログサイトに訪れると初期設定になっていて、次のようにユーザーには気づかないうちに上記の「標準(会員店舗優先)」が表示されているものを自動的に閲覧ことになるのです。

東京・日本橋」エリアを食べログで調べたときの最初のスマホの画面。「標準」のカテゴリに自動的に誘導されます(初期設定となっている)。〔画像をクリック/タップすると拡大できます。〕


 

口コミサイトである(とユーザーには認識されている)にも関わらず、ユーザーが普通に食べログで検索したときは有料サービスに加入した店舗が優先に上位表示される「標準(会員店舗優先)」のカテゴリーページが開くようになっていることを、ほとんどのユーザーは知りません。

これは問題ではないでしょうか?

食べログの責任を逃れる巧妙な方法?

それでも食べログの逃げ道はあるのかもしれません。

有料会員に圧力をかけたのは営業代理店だとして、食べログはしていないとする方法です。

ただし上記で紹介した有料会員でない吉祥寺の店舗の場合は、営業代理店が入ることはなく、食べログが直接交渉することになるので、この問題がどうなるのかが今後のポイントかも知れません。

公正取引委員会はこれをどうみるのでしょうか?

参考資料

🔵 WBS [テレビ東京] 2019年10月15日

🔵【前編】食べログはなぜ何年も炎上し続けるのか? [中嶋よしふみ,ITmedia] 2019年10月17日

 

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