米国陸軍が神経ガス”サリン”を無力化するウイルス作成に成功!? (2020年最新論文)

サリンは恐ろしい神経ガスですが、なんと無毒化してくれるウイルスを米国陸軍が作ってしまいました。まずはネズミでテストして成功したみたいです。

論文が発表され、その研究を解説するレビューが米国物理学協会のニュースサイト「Inside Science」にプレスリリースされました。今回ははそれを翻訳してご紹介します。（翻訳のプロではないので読みづらかったらすみません。）

遺伝子組み換えウイルスは、神経ガスや農薬の致命的な影響からマウスを守ります

初期段階の研究では、ウイルスがネタティブな副作用なしでげっ歯類を保護できることが示唆されています

英文執筆者：Charles Q. Choi (貢献者)

（Inside Science）-新しい遺伝子治療の1回の注射は、サリンやその他の致命的な化学兵器の影響からマウスを数か月間保護しました。 同様の毒素にさらされた。

(Inside Science) – 注射１回だけの新しい遺伝子治療で、サリンや他の致死性の化学兵器の影響からマウスを何ヵ月も守りました。これは戦場にいる兵士や民間人だけでなく、似たような毒に日常的に晒される農場労働者を保護するのにも役立ちます。

サリン：テロ攻撃やシリア内戦などの紛争で使われた無色無臭の化合物は、神経ガスの一種であり、既知の化学兵器の中で最も有毒で急速に作用します。神経系を害し、激しい筋肉のけいれんを引き起こし、肺を麻痺させて窒息死を引き起こします。

神経ガスは非常に早く体を侵すので解毒剤を投与して死を防ぐ時間がほとんどないため、治療が特に難しいです。これは神経ガスの理想的な治療は、暴露されにかなり以前から犠牲者の防御を開始する必要があることを示唆しています。

酵素の中には、神経ガスを探し出し、分解できるものがいくつかあります。科学者はそういう酵素をコードする遺伝子を、病気を引き起こす作用のないウイルス（AAV8）に入れて実験しました。その後、研究者はウイルスをマウスに注射しました。この遺伝子治療による毒性の兆候はなく、8つの致死量のサリンと似た神経ガスからげっ歯類を完全に守ることがわかりましたと研究の主著者で米国陸軍化学防衛研究所の生化学者でメリーランド州アバディーン性能試験場のNageswararao Chilukuri氏は言いました。この保護作用は最大５ヵ月間続きました。


サリンは、有機リン酸エステルという化学物質のファミリーに属し、農薬としても使用されています。将来、研究者は軍隊や医療関係者、農場労働者、および危険な有機リン酸エステルの危険にさらされている人々を保護できることを期待し、サルなどの大型動物でこのウイルスの実験をする予定です。将来の研究では、こうした治療に使う遺伝子組み換えウイルスが長期的に安全であることも示さなければならない、とチルクリ氏は述べました。

ーーー　翻訳ここまで　ーーー

引用ニュース & 原著論文

🔵 英語ニュース：Genetically Engineered Virus Protects Mice Against Deadly Effects of Nerve Gas and Pesticides　（Inside Science, American Institute of Physics）JANUARY 22, 2020

🔵 原著論文 :Gene therapy delivering a paraoxonase 1 variant offers long-term prophylactic protection against nerve agents in mice.（Science Translational Medicine, 2020 ）

Seigoの追記

要点まとめ
🔵 ウイルスベクター：AAV8（アデノ随伴ウイルス8）
🔵 組み込まれた酵素の遺伝子：PON1-IF11（パラオキソナーゼ１変異体IF-11）
🔵 次の神経剤に耐性を持つ： Sarin(サリン), Soman, Tabun and Cyclosarin
🔵 有効期間：最大５ヵ月（１回の注射のみ）

ウイルスは今 中国で問題となっていますが（新型コロナウイルス）、使い方によってウイルスは役に立つ道具にもなります。

また記事中にありましたが、サリンが農薬としても使われているということが驚きでした。

この論文ではサリンを無毒化するためにウイルスを開発していますが（生物兵器としてサリンを使って自国の兵士には問題がないように開発されたウイルスということ？）、そんなことより、サリンなんか地球上から消してしまえば一番早い解決策だと思いますが・・・

核兵器やサリン、そして有害ウイルスは早く地球上から無くしてしまいたいものです。