ビタミンB12欠乏症の原因は大腸菌の種類が関係していた!? 別の細菌なら不足なし (2019年米国基礎研究)

ニュース/レビュー

今回はビタミンB12が足りなくなったの時の危険性についての研究報告がありました。

ライス大学のプレスリリースを翻訳しましたのでご紹介します。

ニュースタイトル「米国ライス大学はビタミンB12欠乏症の危険性を強調」

ライス大学の生物科学者は、地球で最も単純な動物の1つである線虫を用いて、ビタミンB12が少なすぎる食事と2種類の致命的な病原体による感染のリスクの増加との間に、初めて直接的な関連を見出しました。

C. elegans(シーエレガンス)と呼ばれる1ミリメートルの長さの線虫は、その単純さにも関わらず、人間と共通した制限があります。それはビタミンB12を生合成できないため、食事から摂取する必要があるという点です。PLOS Geneticsに発表された研究において、ライス大学の生化学者及びがん研究者であるNatasha Kirienkoは、ビタミンB12欠乏食がどのように線虫の健康を害するかを細胞レベルで解明、すなわち、分岐鎖アミノ酸 (BCAA)の代謝能力が減するためであると明らかにしました。BCAAの代謝能の低下は、部分的に代謝されたBCAA副産物がミトコンドリアへダメージを与えるために害となることが示されました。

研究者らは線虫にビタミンB12を十分含む餌と欠乏させた餌を与えて健康状態を解析しました。米国の成人人口の少なくとも10%が、ビタミンB12欠乏餌群と同様に食事で摂取するビタミンB12が不足しており、そのリスクは年齢と共に高まるものです。

線虫の実際の写真(出典:Wikipedia Commons, Kbradnamさん(Original text: Donated by Zeynep F. Altun), Link )


「我々は食事がもたらす影響と、ある種の食品が病原体に対してだけでなく、熱やフリーラジカルといった様々なストレッサーに対し劇的に抵抗力を高めることを、線虫を用いて研究しました」とライス大学の生化学助教でありガン予防学者のKirienko氏は語っています。

本研究の主任研究者であり共著者であるKirienko氏によると、ビタミンB12の作用は予期せぬものであったそうで、P. aeruginosa の病因のメカニズムを調べる目的で設計された研究においてその効果が見出されたのだということです。P. aeruginosa 感染は、線虫・ヒトどちらにも致命的になりうるもので、疾病管理センターによると毎年約51,000人の米国の入院患者に感染がみとめられています。

彼女の研究室では、世界中の何千もの研究室と同様に病気・薬・毒素・その他の工程が、人間や動物に与える影響を研究するためのモデル生物として線虫を使います。そして多くの線虫研究室ではモデル生物として用いられる大腸菌をエサとして線虫に与えています。

「大腸菌OP50株をHT115株に切り替えたところ、線虫のストレス耐性が劇的に変化することが見出されました」
Kirienko氏によると、ストレスと病原体抵抗性の生化学的メカニズムを特定するのに約2年かかったそうです。共著者Alexey RevtovichとRyan Leeはこの研究チームの一員です。

ビタミンB12 (シアノコバラミン)の構造(出典:Wikimeida Commons, By Alsosaid1987Own work, CC BY-SA 4.0, Link


Revtovich氏はこう述べています。「OP50株とHT115株の環境からのビタミンB12獲得能の違いが、この2種類のエサの違いのポイントでした。HT115株はビタミンB12を吸収するのに必要なタンパク質をOP50株のおよそ8倍も多く作っているため、非常に効率がいいことがわかったのです」

何回もの実験で結果を確実にした上、この効果をもたらす他のメカニズムを除外していきました。更には、HT115株をエサとしている線虫は、別の致命的なヒト病原体である Enterococcus faecalis による感染に抵抗する能力を持っていることを発見しました。

ライス大学の学生Lee氏は、世界中の線虫を用いている研究室は、エサの違いが実験結果へ影響を与える可能性に注意を払う必要があることを示した、と述べています。
「OP50株をエサとしている研究室もあれば、HT115株、あるいは他の株を用いているところもあるでしょう。こうしたエサの違いが代謝の大きな違いを生じさせ、その結果、研究結果の実質的な不確実性を与えている恐れが大きくなりました」

Kirienko氏は、州全体の癌研究を支援するために2007年に承認された州投票イニシアチブであるテキサス州癌予防研究所(CPRIT)からの募集助成金を得て、2015年にライス大学の教員に加わりました。今日までに、CPRITはその学術研究、予防および製品開発研究プログラムを通じて、テキサスの研究者、機関および組織に22億ドルの助成金を授与しています。

「本研究はミトコンドリアの状態に注目している点で関連性があります。今回のケースでは、ミトコンドリアの状態を改善することで感染への抵抗力を高めました。CPRITに関しては、これとは逆、つまり、がん細胞のミトコンドリアを攻撃することでがん細胞を殺すという目的があります。がん細胞に対して、また別の標的を見出せたという点で非常に重要な成果なのです」

引用ニュース & 原著論文

🔵 英語ニュース:Rice U. study highlights danger of vitamin B12 deficiencyRice University

🔵 引用原著論文 :Interplay between mitochondria and diet mediates pathogen and stress resistance in Caenorhabditis elegans (PLOS Genetics 2019 )

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Seigoの追記

この研究の重要なところは、実験をして正しい結果を出すためには(実験動物の)食事にも注意を払う必要があるということですね。

大腸菌にはビタミンB12を吸収する能力の高いものと、そうでない菌がいるわけで8倍も違うんですね。

ビタミンB12が足りないとミトコンダリアがダメージを受けて元気が無くなってしまうということです。

またしっかりとビタミンB12が供給されていると線虫は、別の致命的なヒト病原体による感染に抵抗性をもつと言うことですから、このような病原菌に対する抵抗性もいろいろな生物でも大切な栄養である可能性は高いです。

ビタミンB12が足りないとBCAA(分岐鎖アミノ酸)の代謝が下がってしまうそうですね。

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ということは、ビタミンB12は多くの人が足りてない場合が多いので、ビタミンB12を意識して摂るようにすれば免疫力が上がるばかりか、マッチョにもなれるということでしょうか 😅

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