大豆で筋肉がつくには何g必要? 寝たきりでも筋肉量を増やす方法【ガッテン6月5日】

テレビ速報

NHK ガッテン!「心臓病予防&筋力アップ!健康長寿をかなえるスーパーフード!?」2019年6月5日をまとめてみました。

講師:二川健 教授(徳島大学宇宙栄養研究センター長)


入院患者の筋力低下を防げ!

イメージ画像(出典:by acworks/写真AC)


徳島大学宇宙栄養研究センターの二川健教授は4年前に病院で入院中でほとんど動けない27人の患者さんの食事で1つのテストを行いましたあ。

一部の患者さんにだけ大豆の粉末を食事に混ぜて30日間与えたのです。その量は1日で大豆20g分(大豆タンパク質8g分)です。

すると驚くべき結果が出ました。

ほとんど動けなかったはずの患者さんの筋力が40%もアップしたのです!(平均2.37kgf アップ)

この二川教授の研究は2015年に発表されました(論文はオープンアクセスなので全文がご覧になれます):

Effects of dietary soy protein on skeletal muscle volume and strength in humans with various physical activities. 【 論文(PDF書類) 】
J Med Invest. 2015;62(3-4):177-83. doi: 10.2152/jmi.62.177.
Hashimoto R, Sakai A, ・・・ Terao J, Nikawa T.

この論文の結論は以下のようになっていました。
「大豆タンパク質の補給は、荷降ろしや身体の静止に関係する骨格筋萎縮を予防する効果的な食品です。」

この大豆による筋力のアップは非常に重要で、特に脳梗塞や骨折で入院される患者さんが、1ヵ月間寝たきりで筋肉がどんどん細くなってリハビリがとても大変なってしまいます。

その間、大豆をとって筋力が減らなければリハビリもすぐに開始できます。

しかし徳島大学の場合でも寝たきりの人の実験では3割近くの人に筋肉を増やす効果があまり見られなかったのです。大豆の実験はまだこれから進めていくところです。

寝たきりではなく健常者の方でガッテン!が実験

イメージ画像(出典:DrSJSによるPixabayからの画像 )


20〜70代の健常者54人に煎り大豆を1日20g(大豆タンパク質約8g)2週間食べてもらいジャンプ力や背筋力などを測定しました。

 結果 
筋力は54人中37人がアップ(約69%↑
背筋力: 76.0kg → 83.9kg
ジャンプ力: 30.2cm → 32.4cm


大豆タンパク質8gとはどれくらいの量か?

大豆と豆乳(出典:bigfatcatによるPixabayからの画像)


煎り大豆は20粒くらい(大豆プロテイン8g相当)ですが、煎り大豆は食べづらいので、その他の大豆製品の大豆プロテイン量も次に示しておきます。

納豆、1パック(大豆プロテイン8.3g相当)
冷や奴、半丁(8.0g
豆乳、コップ1杯(7.2g)
赤だし味噌汁、一杯(4.2g)
枝豆、10ふさくらい(6.0g)
厚揚げ、約5x5x3cm(8.0g

宇宙飛行士の筋力低下を防ぐ方法を17年間研究

宇宙空間では、地上で常にかかり続ける重力の負荷がほとんどありません。

そのため寝たきりのような人の筋力の低下がその何十倍もの速さで進みます。

二川先生は筋肉の内部でどんな変化が起こっているかマウスを使って詳しく調べました。

その結果、運動しない状態になると現れ、筋肉の修復を邪魔し始める特殊な物質があることを発見しました。

その物質が「ユビキチンリガーゼ(Cbl-b)」でした。

さらに二川先生はユビキチンリガーゼ(Cbl-b)を抑え込む方法を17年かけて研究し、ついに大豆がその働きをブロックすることを突き止めました。

大切なのは大豆タンパク質がもつ構造で、それがユビキチンリガーゼがターゲットとしていたIRS-1分子だったのです。IRS-1壊れた筋肉を修復する機能を持っていますが、運動をしない状態ですとユビキチンリガーゼIRS-1結合して筋肉修復反応をブロックしてしまうのです。

なにも運動してない時や宇宙空間にいる時は、このユビキチンリガーゼが活性化してしまって筋肉は修復されずにどんどん減っていきますが、大豆タンパク質はIRS-1の結合部にソックリの構造を持っているため、大豆をたくさん食べていればIRS-1ブロックされずに筋肉を修復・再生し続けることがわかったのです(つまり運動しなくても筋肉を増やせることがわかった)。

大豆タンパク質が全部分解してしまうと、すべてアミノ酸になってしまいますが(お肉や魚の筋肉からきたアミノ酸と区別がつかなくなってしまいますが)、最近の研究ではアミノ酸に分解される前の状態でもタンパク質が体内に取り込まれる場合があることが分かってきました。上記の大豆によるユビキチンリガーゼブロックも、この完全に分解されない大豆タンパク質によるものだと考えられます。

二川先生からの注意点:大豆だけ取っていれば筋肉が増えるわけではない

お魚やお肉のタンパク質をとることも重要で、筋肉の作るもとになるアミノ酸を供給してくれます。

大豆だけ食べていれば必ずしもいいわけではない。

大豆タンパク質を8gではなく25g摂った場合は心疾患にも良い影響がでる

FDA (アメリカ食品医薬品局)ヘルスクレイム(ここはある食品が体に良いのか悪いのかを数万人規模で調査を実行し報告する機関)からの調査によりますと、

大豆タンパク質を(上記の8gではなくその3倍以上の)25gを摂り続けた場合、心疾患が減少するという報告がありました。

家森幸男先生による世界の長寿調査

ガッテン!のナレーション:世界中の国が共同で設立した国連組織の1つWHO(世界保健機関)。地球上から”病を根絶する”のを目的に作られました。

1983年、ここで人類史上初となるプロジェクトが始動します。

我々は何を食べれば夢の健康と長寿を手にできるのか? その答えを探すため初めての大調査が行われることになったのです。そのリーダーを任されたのがなんと日本人。

心臓病の専門家である家森幸男(やもりゆきお)先生(当時45歳)。

世界には様々な伝統や文化を持つ多様な民族が点在しています。家森先生は特に長生きの生活を詳しく調べれば、長寿を支える秘密がわかるのではないかと考えました。

調査地点は64の国と地域。どんな秘境にも自ら足を運び、各地の様々なオススメ長寿食を口にしてきました。

たとえば黒海沿岸のジョージアで百歳以上の長老たちが毎朝口にしていたのがヨーグルト(カスピ海ヨーグルトブームを作った)。他にもたくさんの長寿食を発見してきたのです。

では、その国の人たちが普段何をどれくらい食べているのかその実態を正確に調べるために家森先生は他に誰もマネのできないすごい研究を行いました。なんと世界64の国と地域に住む1万7000人以上から尿を集め、その分析から食事と健康状態に関わる膨大なデータを得たのです。

家森先生は24時間分の尿を正確に集められる専用の装置まで開発しました。

集めたビックデータから寿命を左右する要因を慎重に分析しました。その結果浮かび上がった長寿食こそが・・・

家森先生「一般的に多くの人が食べれるもので考えますとね、実は大豆なんです。これを食べていると心臓死(心臓疾患)を少なくなります。したがって寿命が長くなるのです」

 大豆による心臓疾患を減らす効果 
実は大豆には食べ物に含まれる脂質の吸収を妨げる働きがあります。その結果、動脈硬化や心疾患が減ると考えられているのです。

※ 番組で紹介されたグラフでは大豆を摂取量が多いほど、死亡数が減少している様子が出され、一番死亡数の少ない場所は、日本の「名護」、次に台北(台湾)、太田(日本)、別府上海(中国)、そして富山と続いた。(一番大豆の摂取量が多いところは富山でした)

Seigoの追記

大豆だけではなく、徳島の先生はお肉やお魚もバランスよく食べないと筋肉量は増えないと申しておりました。

大豆は日本の自給率は7%であとは輸入に頼っています。米国の大豆の90%以上は遺伝子組み換え食品(GMO)でありますので輸入品にはお気をつけ下さい。

国内産だからといってもGMOの場合がありますので「遺伝子組み換えでない」という表示をお確かめ下さい。

有機の大豆をスーパーで見つけるのは大変ですが、ネットで見つかりましたので、そのリンクを貼っておきます。
 

 

 

 

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