ある種のビフィズス菌がアルツハイマー型認知症に改善の光《人の研究で/学会リポート》
これまでビフィズス菌によるアルツハイマー病に認知機能の改善が見られた研究は、マウスというねずみのような小動物で確認されていました。
それが今回は「人でも」効果がある事が確認されましたので、森永乳業はこの成果を学会(2018年3月15日~18日)に発表しましたので、その報告をここでレポートさせていただきます。
研究の要点
乳酸菌の一種であるビフィズス菌 A1(Bifidobacterium breve A1)が、認知症を発症する前段階である軽度認知障害の疑いのある方の認知機能が改善しました。
この改善効果はミニメンタルステート検査という方法(以下で説明します)によって確認されました。
これまでアルツハイマーのモデルマウスで、ビフィズス菌A1による認知機能の改善や脳内の過剰な免疫反応・炎症が抑えられる事がすでにマウスで認められていましたが、今回はそれを人でも効果があったことを確認した報告になっております。
マウスの研究に関しては別のページでレビューしましたのでそちらをご覧下さい。
対象者
軽度認知障害(MMSEスコア22~26)の可能性があるとされる高齢者27人
方法
ビフィズス菌A1が100億個入ったカプセルを1日2錠服用
摂取前、8週後、16週後、24週後 MMSEにより認知機能を評価
MMSEとは
ミニメンタルステート検査(Mini Mental State Examination)の略で
11個の質問に答えてもらうものです。
質問内容は「今日は何曜日?」「ここは何県?」3つの物の名前を復唱、100から順に7を引くなど(ミニメンタルステート検査、ウィキペディア)、記憶力、計算力、言語的能力、図形的能力、見当識を見るテストです。
30点が満点10点未満 高度な認知低下
20点未満 中等度な認知低下
24点以上 正常
この研究では22~26点を軽度認知障害の疑いのある方としました。
結果
図 「ビフィズス菌 A1」摂取による MMSE スコアの変化(*、**は摂取前と比較して有意差あり)
摂取前 24.38週後 26.1
16週後 26.5
24週後 27
摂取前に比べ、全て有意にスコアが上がりました。
8週後から軽度認知障害ではないスコアの26点以上になっています。
さらに時間が経つごとにスコアは上がっています。
つまりビフィズス菌A1は認知機能が改善することが期待できるということになります。
第2の脳と言われるくらい腸と脳は密接な関わりがあります。
腸内環境を整えることで脳の機能もアップするのかもしれませんね。
森永乳業のビフィズス菌A1のさらなる検証に期待したいです。
Seigo参考資料
➡ プレスリリース:~日本農芸化学会 2018年度大会発表内容の報告~
「ビフィズス菌A1(Bifidobacterium breve A1)」が軽度認知障害が疑われる方の認知機能を改善する可能性
➡ ニュース記事:アルツハイマー型認知症の発症抑制に光 「ビフィズス菌A1」実験で成果
20余年アメリカで遺伝子治療&幹細胞の研究者をやってきました。
特に遺伝病の間違った遺伝子をピンポイントで修復し、元に戻す技術開発です。
理学博士(Ph.D. )
アメリカ生活で学んだアンチエイジングなど健康に関する知識をシェアしたいと思います。
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