今まで捨てていたカカオ豆の殻にサイトカインストームを抑える物質が見つかった!?【ワシントン州立大学の研究】

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原著論文のサマリーを見ますと、サイトカインストームを起こした(LPSで刺激された)マクロファージによる炎症誘発性サイトカイン産生が、カカオの殻からの抽出物で抑えられるそうです。

今問題となっている新型コロナの重症化患者さんにまさに必要な物質ではないでしょうか?

これはワシントン州立大学の研究で去年プレスリリース(英文)がデマしたので、それを翻訳したものをここでご紹介します。(翻訳のプロではないので読みづらかったらすみません m(_ _)m )

カカオ豆の殻に含まれるフェノール類はマウス細胞の肥満状態を解消する可能性がある

カカオ(出典:ally jによるPixabayからの画像)


イリノイ州 – 科学者たちはチョコレートを好きになる理由をさらに発見したかもしれません。

イリノイ大学の研究者による新しい研究は、カカオ豆の殻の中の3つのフェノール化合物マウスの脂肪と免疫細胞に強力な効果を及ぼし、肥満に関連する慢性炎症とインスリン抵抗性を好転させる可能性があると示唆しています。

食品科学の客員研究員であるMiguel Rebollo-Hernanz氏とElvira Gonzalez de Mejia氏は、カカオの殻にはココアやコーヒー、そして緑茶にも含まれる3種類の有益な生理活性物質が高濃度で含まれていることを発見しました 。

この研究の主執筆者であるRebollo-Hernanz氏は、これらの化合物を含む水性抽出物を作成し、脂肪細胞と呼ばれる白い細胞とマクロファージと呼ばれる免疫細胞に対するその効果をテストしました。彼はまた、コンピューターモデリングとバイオインフォマティック技術を用いて、各フェノール類が個々に細胞に及ぼす影響を調べました。

「この研究の目的は、カカオ殻の生理活性化合物がマクロファージ(炎症細胞)に対して有効であるかどうかを調べることで、炎症のバイオマーカーを無効または減少させることでした。」「我々は、抽出物中のフェノール類が脂肪細胞のミトコンドリアへの損傷をブロックまたは減少させ、インスリン抵抗性を妨げるかどうかを見たかったのです。」

脂肪とグルコースを燃焼させてエネルギーを生成する細胞内の電池と同様に、体内で高濃度の脂肪やグルコース、またはひどい炎症が生じた時ミトコンドリアが損傷を受ける可能性がある、とde Mejiaは述べました。

結果

イメージ画像(出典:Photo by Louis Reed on Unsplash)


科学者が脂肪細胞を水性抽出物または3種類のフェノール化合物で処理すると、細胞内の損傷したミトコンドリアが修復され脂肪細胞に蓄積される脂肪が減少し炎症を阻止し細胞のインスリン感受性を回復したとRebollo-Hernanz氏は述べました。

科学者たちは最近彼らの調査結果を Molecular Nutrition and Food Research 誌に掲載された論文で報告しました。

脂肪細胞があまりにも多くの脂肪を蓄積すると、それらはマクロファージの増殖を促進します。これは脂肪細胞とマクロファージが相互作用して脂肪組織に炎症を引き起こす毒素を放出してしまう毒性サイクルを開始するとde Mejia氏は述べた。

時間が経つにつれて、この慢性的な炎症は細胞のブドウ糖吸収能力を損ない、血中のブドウ糖レベルが上昇するにつれてインスリン抵抗性とおそらく2型糖尿病を引き起こします。

マクロファージと脂肪細胞が中毒性の踊りを始めるときに体内で起こる炎症過程を再現するために、Rebollo-Hernanz氏はマクロファージが培養された溶液中で脂肪細胞を成長させました。

「溶液中のこれらの炎症状態が脂肪細胞のミトコンドリアに酸化ダメージを増やしてしまうのを観察した時に次のことを発見しました」と彼は続けました。
「溶液中で成長した脂肪細胞にはミトコンドリアはほとんど存在せず、これらの細胞に存在していたミトコンドリアは損傷を受けていた」ことを彼は見つけたのです。

しかしながら、科学者が脂肪細胞を抽出物中のフェノール類で処理すると脂肪細胞は褐変と呼ばれる過程を経て、白色脂肪細胞からベージュ脂肪細胞と呼ばれる別の形態に分化した、すなわち転換しました。

ベージュ脂肪細胞は、より多くのミトコンドリア強化された脂肪燃焼効率を持つ特殊な形態の脂肪組織です。

「我々はこの抽出物がミトコンドリアとその機能を維持し、炎症プロセスを調節し、そして脂肪細胞のインスリンに対する感受性を維持することができることを観察しました」とRebollo-Hernanz氏は述べました。「これらのフェノール類がこのエキスの主役と仮定すれば、それらを摂取することで脂肪組織のミトコンドリア機能障害を予防できると言えます。」

年間約70万トンのカカオの殻が捨てられている

イメージ画像(出典:Julia NighによるPixabayからの画像)


カカオ殻はチョコレート製造中にカカオ豆が焙煎されたときに発生する副産物です。責任を持って処分しないと年間約70万トンの殻が廃棄され、環境汚染を引き起こす、とde Mejiaは述べた。

カカオ生産者に将来見込みのある別の収入源を提供するチャンスを与えることに加えて、栄養素を抽出するために殻を加工することは現在カカオ殻の廃棄物によって生成される環境毒性物質を減らすだろう、とde Mejia氏は言いました。

カカオ豆の殻からの抽出物(フェノール化合物)を食品や飲料に加えることで製品の栄養価を高めることができると彼女は述べました。

 

ーーー 翻訳ここまで ーーー


引用ニュース & 引用文献

🔵 英語ニュースStudy: Phenols in cocoa bean shells may reverse obesity-related problems in mouse cells (University of Illinois at Urbana-Champaign) Jun 20, 2019

🔵 原著論文: Cocoa Shell Aqueous Phenolic Extract Preserves Mitochondrial Function and Insulin Sensitivity by Attenuating Inflammation between Macrophages and Adipocytes In Vitro.
Mol Nutr Food Res. 2019 May;63(10):e1801413. doi: 10.1002/mnfr.201801413. Epub 2019 May 3.
Miguel Rebollo‐Hernanz, Qiaozhi Zhang, Yolanda Aguilera, Maria A. Martín‐Cabrejas, Elvira Gonzalez de Mejia

ベージュ・褐色脂肪細胞の関連書籍

Seigoの追記

このイリノイ大学の研究者はスゴイですね。

これまで捨てていたカカオ豆の殻から次のような驚きの効果のある物質を抽出してしまったのですから。

カカオの殻から抽出された3種類のフェノール類の作用

🔵 LPSで刺激されたマクロファージの炎症誘発性サイトカイン産生が低下する(サイトカインストームを抑える可能性

🔵 腫瘍壊死因子-αを減少させ(67%)、アディポネクチン分泌を促進する(12.3倍)

🔵 肥満に関連する慢性炎症を抑える

🔵 インスリン抵抗性を好転させる

🔵 脂肪の蓄積によりダメージを受けたミトコンドリアを修復する

🔵 脂肪細胞の脂肪が減少する

🔵 白色脂肪細胞がベージュ脂肪細胞(ミトコンドリアを多く脂肪燃焼効率が良い)へ転換する

今まで捨てていたカカオの殻約70万トンを即刻回収して、新型コロナの患者救済に役立ててほしいものです。

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