PM2.5の発生を防ぐ新しい方法! 薪ストーブより97%減少 (2019年最新報告)

ニュース/レビュー

ペレットストーブが薪ストーブに比べて劇的にPM2.5の発生を防ぐという報告がありました。

しかもその性能はガスストーブの性能に迫るとのことです。

ノースカロライナ州立大学の最新研究をプレスリリースしましたので、それを翻訳したものをご紹介します。

またこの原著論文は全文が閲覧可能です。(下にリンクを貼っておきます)

ニュースタイトル「ペレットストーブは汚染物質排出を90%削減、ガスストーブの性能に迫る」

プレスリリースからの写真(出典:North Carolina State University


ノースカロライナ州立大学(North Carolina State University)の研究者が行った研究によると、圧縮木質ペレットを燃料とする調理用コンロが新設計により、健康問題や気候変動をもたらす大気汚染のさまざまな汚染物質が90%台まで削減されます。この調査結果は、(この写真にあるように)研究者がルワンダの居住者と協力してストーブの性能をテストして行った実地調査から得られたものです。

ノースカロライナ州立大学環境工学准教授でこの研究の責任者であるアンディ・グリーショップ(Andy Grieshop)氏は、「我々は、これらの新しい、ペレット燃料のストーブを評価したいと考え、フィールド評価を実施した経験からして、クリーンクッキング同盟(Clean Cooking Alliance)と気候とクリーンエア連合(Climate and Clean Air Coalition)からこの研究資金を確保しました」と述べています。

グリーショップ氏は、「開発途上国向けに、よりクリーンな調理用コンロを開発しようという試みは数多くあって、実験室でのテストはよく行われていましたが、実地にテストした場合のパフォーマンスは期待に沿うものではありませんでした」として、「しかし、ペレット燃料ストーブはこの分野に適していることがわかりました。汚染物質排出に大幅な削減が見られたのです。」

ペレット燃料ストーブは、ペレットを効率的に燃焼させる電池式ファンによって、汚染物質の排出を削減します。ストーブには、バッテリーを充電するためのソーラーパネルが付いているので、壁にバッテリー充電器を繋ぐ電源がない場所でも長期使用が可能になります。

ペレットストーブ(出典:Wikimedia Commons, By GUNTAMATIC Heiztechnik GmbH – www.guntamatic.com, CC BY-SA 3.0, Link )


研究者らはルワンダの住民からの協力を得て、人々が食べ物を調理するのにそれを、農村部で一般的な、① 薪を燃やして行う場合、② 都市部で一般的な伝統的な木炭燃焼コンロを使用して行う場合、③ この新設計ペレット燃料コンロを使用して行う場合、それぞれの場合の大気放出を監視しました

研究者らは、微粒子状物質PM, particulate matter)と一酸化炭素(その両方が健康上のリスクをもたらす)、および気候変動の主な原因であるブラックカーボンを含む、さまざまな大気汚染物質をテストしました。全世界のブラックカーボン排出量の大部分は、家庭での暖房および調理によるものです。

グリーショップ氏は、「ほとんどの場合、ペレット燃焼ストーブを使用することで、全面的に汚染物質レベルが90%以上削減されたことがわかりました」と述べています。

例えば、研究者らは、ペレット燃料ストーブからのPM排出量の平均削減量は、薪燃焼の場合と比較して97%木炭の調理用コンロ使用の場合と比較して89%であることを見出しました。このペレット燃料ストーブはまた、一酸化炭素の排出に関する国際標準化機構(ISO)の最高基準であるTier 5に適合した最初の調理用ストーブでもあります。

ストーブはまた、世界保健機関(WHO)によって設定された一酸化炭素の厳しい排出量目標を達成しましたが、それらはPM排出量目標をわずかに下回りました。「ISO規格はラボテストを念頭に置いて開発されたものであり、これらの結果は現場で得られたものであり、これは驚くべきことです」とGrieshop氏は言います。

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グリーショップ氏は、「これらの排気ガス削減に関して我々が発見した唯一の例外は、ペレットストーブが不適切に使用された場合でした」として、「例えば、製造業者が示唆するように、人々が灯油の代わりに薪や他の燃料を使って火を起こした場合、その排気ガス放出量は、59例のペレットストーブ研究テストから得たその平均値よりおよそ10%多いことが判明しました。しかしながら、ペレットストーブの性能はこの最低値を以てしても、木材や木炭の調理試験で得られた最高の性能に匹敵するものでした。」と述べています。

これらの結果は有望ですが、真の課題は、ペレット燃料ストーブのコンセプトを低所得地域の数百万または数十億の人々の要求を満たすように拡大できるか否かにかかっています。ペレット燃料ストーブが大気汚染の低減にどれほど効果的であるかを示すテスト結果は最新のものですが、新品の調理用ストーブを導入するという概念は全然斬新ではありません。ありきたりなことです。

グリーショップ氏は、「我々がテストしたストーブは、必要な木質燃料ペレットの販売で収益を得ている会社から、本質的に無料で提供されていました」として、「もののついでですが、我々はペレットの価格はルワンダで調理に使用される木炭のコストに匹敵することを知りました。しかころ、燃料ペレットは木材の加工工程から発生する廃棄物のおがくずを使って作られます。それが一体どれほどの(膨大な)規模なのかを誰も知りません。」

「ルワンダで使用中のペレット供給ガス化炉のストーブは、ガスストーブに迫る性能を表す」と題する論文が Environmental Science&Technology (環境の科学と技術) 誌に掲載されました。この論文のファーストオーサー(研究の実行者)は、元ノースカロライナ州立大学のポスドック研究員で、現在米国環境保護庁(U.S. Environmental Protection Agency)に所属しているワイアットチャンピオン(Wyatt Champion)氏です。

引用ニュース & 原著論文

🔵 英語ニュース:Field Study Finds Pellet-Fed Stoves Cut Pollutant Emissions 90%, Nearing Gas-Stove Performance

🔵 原著論文 :Pellet-Fed Gasifier Stoves Approach Gas-Stove Like Performance during in-Home Use in Rwanda (Environmental Science & Technology, 2019 )

Seigoの追記

キャンプでもペレットストーブやペレット調理機を目にするようになりましたが、PM2.5の排出量を気にしたことはありませんでした。

この論文ではペレットストーブがどのくらいPM2.5を抑えるのに有効か示していました。
専用ストーブを使ったPM排出量の削減率はスゴイですね。
・薪燃焼の場合と比較して97%減
・木炭の調理用コンロ使用の場合と比較して89%減

木材を燃やすとPM2.5が大変なことに(ペレットと比較)

原著論文のアブストラクトに見やすい図がありましたので、それに日本語を加えてみました。


これを見ると「木材」を燃やすこと(通常の薪ストーブ)はPM2.5もCO2(二酸化炭素)の発生量も多いことがわかります。(グラフの右上に黄色く「Wood」と書かれている)

一方、「ペレット」PM2.5の発生量は少なくCO2発生量もLPG(ガス)よりも低くプロットされています。(左下に「Pellet」と書いてある)

この図は大気汚染の参考データになるので取り上げさせていただきました。

PM2.5がほとんど出ないペレットストーブとはどういうもの?

論文ではルワンダのほぼすべての家庭が調理のために「固形燃料」を燃やしており問題になっていますが、ルワンダのある民間会社は、強制ドラフト式のペレット供給型セミガシファイアクックストーブ(semigasifier cookstoves)を販売しているとあります。

おそらくこの強制ドラフト式というのがPM2.5を発生を防ぐのに有効なのではないかと考えられます。(その写真はなかったので、上記にWikipediaからの写真を添付しました。)

日本でPM2.5を抑えてくれるドラム式ストーブが売っているかどうかは確認できませんでしたが、ネットで売られているペレットストーブを参考までにリンクを載せておきました。

ネットから手に入るペレットスト—ブ関連商品

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