トマトに防虫ネットや農薬は必要なし!? マリーゴールドの自然のリモネンで虫除け成功! (2019年最新論文)

ニュース/レビュー

今回はささやかなマリーゴールドが壊滅的なトマト害虫を駆逐する方法についての報告です。

ニューカッスル大学の最新研究がプレスリリースされましたので、それを翻訳したものをご紹介します。

ニュースタイトル「控えめなマリーゴールドが問題のあるトマト害虫に打ち勝つ」

マリーゴールド(出典:photosforyouによるPixabayからの画像)


科学者たちが、破壊的な害を及ぼすコナジラミからトマト系植物を守るためにマリーゴールドがもっている天然の武器を初めて明らかにしました。

ニューカッスル大学の自然環境科学部(Newcastle University’s School of Natural and Environmental Science)の研究者たちは、世界中の園芸家が何世代に渡って目にしている事実 ― 即ち、マリーゴールドがトマトコナジラミを撃退すること ― を証明するための研究を行いました。

彼らの調査結果は今日のPLOS ONE(プロスワン)誌に掲載されましたが、マリーゴールドが発散するリモネンが、トマトにコナジラミを寄せ付けない役割を担う主要な構成要素であると確認しました。昆虫はリモネン忌避剤の匂いを嗅ぐと、その強力な化学物質によって動きが鈍化します。

大規模な活用

マリーゴールドとハチ(出典:Myriam ZillesによるPixabayからの画像)


この調査結果は、農薬に代わるより安全で安価な代替品を開発するための道を開く可能性を秘めています。

リモネンコナジラミを殺すことなく撃退するので、化学物質を使用することへの抵抗感なく、そしてこの研究から、農産物の品質に影響を及ぼさないことが判明しました。コナジラミを退治するには、トマト畑にマリーゴールドが散在させて植えるか、トマトの葉の間にリモネンの鉢をぶら下げて香りがトマトの葉に広がるようにすることです。

実際、コリントッシュ博士(Dr. Colin Tosh)とニオールコンボイ氏(Niall Conboy)が率いる研究チームは、リモネンを発散してコナジラミを混乱させるために、温室に吊るす代わりに、純粋なリモネンを含む芳香剤に似た製品を開発することが可能であることを示しました。

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ニューカッスル大学博士課程の学生ニオール氏は 「私たちはマリーゴールドがトマトをコナジラミから保護するのに有効であることについて多くの園芸家から話を聞きましたが、科学的にテストされた例はありませんでした」として、

「私たちは、マリーゴールドから最も豊富に放出された化学物質はリモネンであることを発見しました。リモネンは安価で、無害で、特にそれを作物に使用しなければほのかな香りがするだけで、農薬を使用する場合よりも危険性がはるかに低いことに興奮しました」と続け、さらに。

「ほとんどの農薬は作物に散布されていますこれは標的となる害虫を殺すだけでなく、害虫の天敵を含むすべてを完全に殺します」と述べています。

リモネンは、かんきつ類の皮に含まれる油分の約90%を占め、一般には家庭用芳香剤や蚊忌避剤に含まれています。

トシュ博士は、「トマトの近くにマリーゴールドを植えるか、純粋なリモネンを容器にいれて使用することによって、リモネンや屋外で幅広く使用することが出来ます。リモネンを使用することのもう一つの重要な利点は、それがミツバチに安全であるだけでなく、マリーゴールドは受粉に不可欠であるミツバチに蜜を提供しているということです。

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「殺虫剤の使用を減らし、より多くの動植物の多様性を農業や園芸システムに取り入れることができる、この代替的なコナジラミ防除方法は歓迎すべきものです。」

この研究者達は2つの大型温室での試験を実施しました。最初の実験はフランスのマリーゴールドを使って行いましたが、これは忌避効果が働き、マリーゴールドはトマトの植物からコナジラミを遠ざけるのに効果的な仲間の植物であることを立証しました。

2回目の実験では、チームは植物から放出された気体状および揮発性の化学物質を分析できるようにするための装置を使用しました。これにより、彼らはどの化学物質がマリーゴールドから放出されたのかを特定することができました。彼らはまた、コナジラミが嫌う他の種類の植物とのマリーゴールドが混在しても忌避効果に増減はないと確認しました。それは、コナジラミを撃退できるコナジラミの非宿主植物はマリーゴールドだけではないことを意味します。

悪名高い害虫

コナジラミ(出典:Wikimedia Commons, パブリック・ドメイン, Link


コナジラミ成虫は、植物の樹液を食べる小さな蛾のような昆虫です。それらは、多数の植物ウイルスの伝染および植物上でのカビの成長を促進することにより、一連の作物に深刻な農作物の損失を引き起こすものです。

トシ博士は、「植物が成虫と幼虫の両方に直接摂食されると、非常に高い割合でハニーデュー(蜜)が分泌されます。葉を覆うハニーデューの分泌は、植物の光合成能力を低下させ、その果実は市場に出すことができなくなります。」と述べています。

さらなる研究は、トマトの3つの主要な害虫―コナジラミ、クモダニおよびアザミウマを撃退する3つの機能を併せ持ったコンパニオンプランツ(共に栄える植物)を開発することに焦点を合わせます。

長期的に研究者たちは、農薬に代わるものとしてコンパニオンプランツに焦点を当て、園芸のさまざまな問題に対処したガイドの発行を目指しています。

※ ニューカッスル大学によるYouTubeの広報 ↓


引用ニュース & 原著論文

🔵 英語ニュース:How the humble marigold outsmarts a devastating tomato pest(  )6 March 2019

🔵 原著論文:Companion planting with French marigolds protects tomato plants from glasshouse whiteflies through the emission of airborne limonene (PLOS ONE (2019) )

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Seigoの追記

トマトの害虫を取り除くために、農薬ではなく、別の植物の忌避物質(リモネン)を利用するとは素晴らしいアイディアですね。

しかもそのリモネンという物質は害虫を寄せ付けないだけで殺してはいないそうなのです。

農薬を使わないので私たちが農薬を体に取り込む心配もなくなりますし、農家の方への健康被害もなくなります。

さらに素晴らしいことは他の昆虫、例えばミツバチなどにも害はなく、花粉を集める作業は変わりなく行えるそうです。

こういう忌避物質が農薬の代わりにどんどん出てくるといいですね 😄

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