妊婦の腸内細菌の状態が子癇前症や胎児の免疫にも影響することが判明! (2019年最新研究)

ニュース/レビュー

公開日:2019年7月11日、最終更新日:2019年7月20日

今回は子癇前症(しかんぜんしょう;妊娠中に高血圧やタンパク尿を特徴とする疾患)のリスクが繊維の多い食事にすることによって軽減される可能性があるという研究発表がありました。

オーストラリアのシドニー大学がその研究結果を論文に発表し、またそのレビュー記事(英文)を大学サイトにリリースしました。今回はそのレビュー記事を翻訳しましたのでご紹介します。(翻訳のプロではないので読みづらかったらすみません m(_ _)m )

この発表された論文はオープンアクセスですので、どなたでも無料で論文の全文が閲覧できます!(英語ですが・・・😅 )
→ 最近はGoogle翻訳性能が良くなって読みやすい日本語に和訳をしてくれますので(完璧ではないですが)ご活用下さい。(Google翻訳はこちら

ニュースタイトル「子癇前症のリスクが健康的な高繊維食によって軽減される可能性があります」

腸内細菌に関連する妊娠転帰と乳児免疫

新しい研究は、腸内細菌が妊娠の転帰に影響を与える可能性があることを示唆しており、植物ベースの高繊維食を推奨します。

↓ ニュース本文はここから ↓

一般的に食物繊維が豊富なヘルシーダイエットがいいとされていますが、新しい研究によると妊娠中は母子の健康を促進するということでもっと重要かもしれません。植物由来の繊維は腸内細菌によって免疫系に影響を与える因子に分解されます。

シドニー大学のCharles Perkins Center、Deakin大学、Monash大学、James Cook大学、およびオーストラリア国立大学のBarwon Infant Studyの研究者は、妊娠中の腸内細菌の代謝産物の役割を調査するために協力しました。

研究責任者のRalph Nanan教授は、「本物の食物、主に植物を食べること、そして食べ過ぎないこと」という簡単な助言が現代のとある最も深刻な状況にとって最も効果的な基本の予防戦略かもしれないと述べました。

「母親の腸内細菌と食事は健康な妊娠にとって極めて重要であるように見えます。」とシドニー大学医学部 Charles Perkins CenterのRalph Nanan教授は言います。「健康な妊娠を促進するためには、母親の腸内細菌と食事が非常に重要です。

Nature Communications 誌 発表されたこの研究は、ヒトにおいて主に繊維の発酵によって腸で生産される酢酸塩(アセテート;短鎖脂肪酸の一種)の量の減少が、よくみられる深刻な妊娠関連病の 子癇前症 (しかんぜんしょう)に関わっていることを発見しました。

 子癇前症 妊婦さんの約10%に発症し、高血圧やタンパク尿、および母親の重度の腫脹が特徴です。また子宮内の胎児の免疫の発達を妨げます。そして、成長してからのアレルギー自己免疫疾患の高い発症率との関連をいくつかの証拠が示唆しています。

現在の研究は、 子癇前症 胎児の免疫臓器として重要な胸腺の発達に影響を及ぼしていることを発見しました。これは胸骨のすぐ後ろに位置しています。

子癇前症の妊娠中の胎児は、健康な妊娠中の子供より胸腺がずっと小さいことがわかりました。

胸腺がふつう作り出す細胞はT細胞(胸腺由来細胞)と呼び、特にアレルギーや糖尿病などの自己免疫疾患の予防と関係しますが、出産後4年でさえ子癇前症後の乳児では数が少ないままでした。

胎児の免疫系の発生におけるアセテートのメカニズムは、アセテートが胎児胸腺の発達およびT細胞発生において中心であることを示したマウスのいくつかの実験においてさらに研究されました。

まとめると、これらの結果は妊娠中に腸内細菌の特定の代謝産物を促進することが、健康な妊娠を維持し、後年のアレルギーおよび自己免疫状態を予防するのに効果的な方法であり得ることを示しました。

西洋の食事は繊維が非常に少なくすごく加工された食品によってどんどん占められていて、それは部分的にアレルギーと自己免疫症の急速な増加を説明するかもしれません。

ーーー 翻訳ここまで ーーー


引用ニュース & 原著論文

🔵 英語ニュース:Preeclampsia risk may be reduced by a healthy high-fibre diet)11 July 2019

🔵 原著論文 :Decreased maternal serum acetate and impaired fetal thymic and regulatory T cell development in preeclampsia (Nature Communications,  2019 )

Seigoの追記

上記のレビューには書いたありませんでしたが、原著論文をみるとアセテート(酢酸塩、短鎖脂肪酸の一種)は血清中の濃度を測っているようです。

腸内細菌から出てくるアセテートが血清中に入り込み、そして胎児に影響を及ぼすというルートを考えているのでしょう。

母の腸内細菌が子供の免疫系に影響するルート
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母の腸内細菌からアセテート放出
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血液中にアセテートが移動
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胎児のアセテート濃度と相関
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アセテート濃度が低ければ胸腺サイズが小
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Tregの産生減少 → 自己免疫疾患になりやすい
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その影響は4歳まで続く

だんだん母が腸内細菌を整えることの大切さが明らかになってきました。

先日の報告では母体のプロゲステロンがビフィズス菌を増やし出差に良い影響をあたえるという記事を書きましたので、ご興味にある方はどうぞ ↓


 

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