アジアの医療の問題点-糖尿病の死亡リスクは中年の女性が一番高い!? (100万人追跡結果 )

ニュース/レビュー

今回は100万人以上の大規模コホート研究がアジアで行われ、その結果、糖尿病が特に中年の女性の命を脅かす可能性があるというの報告です。

この報告は論文に発表され、またそのレビュー記事(英文)が米国ヴァンダービルト大学のサイトにリリースされました。今回はそのレビュー記事を翻訳しましたのでご紹介します。(翻訳のプロではないので読みづらかったらすみません m(_ _)m )

この発表された論文はオープンアクセスですので、どなたでも無料で論文の全文が閲覧できます!(英語ですが・・・😅 )
→ 最近はGoogle翻訳性能が良くなって読みやすい日本語に和訳をしてくれますので(完璧ではないですが)ご活用下さい。(Google翻訳はこちら

ニュースタイトル「アジアで増えている糖尿病は特に中年の女性の命を脅かす可能性があります」

アジア女性のイメージ画像(出典:Honey Kochphon OnshaweeによるPixabayからの画像)


アジアでは糖尿病が大流行で、特に女性で中年の人々の間で早死の危険性が劇的に高まっていることをファンデルビルト(Vanderbilt)大学が率いる多国籍研究グループが見つけました。

この研究グループは、アジアの人々に特化した糖尿病管理プログラムを実施することが急務であると、2019年4月19日のアメリカ医師会の機関紙、「JAMAネットワークオープン」誌(“JAMA Network Open”)に報告しました。

同研究の主幹でファンデルビルト疫学センター所長(director of the Vanderbilt Epidemiology Center)の鄭偉(Wei Zheng)博士は、「糖尿病患者は早死にする危険性がかなり高い病気ですが、我々の研究から、糖尿病に関連する危険性はこれまでの米国およびヨーロッパで行われた研究結果よりもはるかに高いことが判明しました」と述べています。

中国とインドは世界で最も糖尿病が負担となっている国です。アジア全体では2億3000万人以上の人々が糖尿病を患っています。アジアでの肥満の増加と西洋化したライフスタイルの急速な普及から、その数字は2040年までに3億5,500万人を超えると予想されています。

このファンデルビルト大学の研究チームは、中国本土からバングラデッシュまでアジアコホート連合(Asia Cohort Consortium)に加盟する複数の国における22例の有望な研究結果を集めて、100万人以上個人を平均12.6年間追跡しました。

アジアと米国の研究者によるこの研究は、アジアの集団での全死亡率および原因別死亡率に対する糖尿病の影響について信頼性のある最大規模の調査です。

糖尿病が原因での死亡リスクは、他のすべてを原因とする死亡リスクの約2倍に相当していました。死亡の相対リスクが最も高いのは糖尿病そのものが直接原因になるもので、続いて高いのは腎臓病、冠状動脈性心臓病および虚血性脳卒中の順でした。

糖尿病に関連するあらゆる原因がもたらす死亡リスクが特に高かったのは、女性で糖尿病を中年期でかかった患者でした。驚くべきことに糖尿病自体による死亡の相対リスクは、過体重の人々よりも低体重の人々ではるかに高かったことでした。

この結果は、特にヨーロッパの祖先の人々よりも比較的 肥満レベルが低く、インスリン感受性がより高く、糖尿病を発症する危険がより高い、アジア系アメリカ人を含む米国の特定の人種および民族グループにその関連が顕著に表れました。

これが糖尿病を発症した後に早死のリスクを増加させるかどうかはまだ確認に至ってはいないと、ファンデルビルト大学医学部教授(the Anne Potter Wilson Professor)の鄭偉博士は語っています。

アジアのイメージ画像(出典:by John.D./写真AC)


加えてこの研究でアジアにおける糖尿病患者の異常に高い早死のリスクは、糖尿病治療へのアクセスの欠如によるものと思われると述べています。

多くのアジアの患者、特に女性と低体重の患者にはインシュリンや他の抗糖尿病薬の医療サービスまたは医療知識の欠如で血糖コントロールがうまくできていないと思われる、と結論付けています。

これはアメリカ合衆国でも国家としての問題です。「先進西欧諸国でも、糖尿病患者のかなりの割合特に医療サービスが行き届かない層は最適な治療を受けておらず、推奨された治療を実行していない」と同研究者らは述べています。

引用ニュース&原著論文

🔵 英語ニュース:Asia’s diabetes epidemic preferentially kills women, the middle-aged: study

🔵 原著論文(オープンアクセス;全文が無料でご覧になれます) : Association of Diabetes With All-Cause and Cause-Specific Mortality in Asia (JAMA Netw Open. 2019;2(4):e192696 )

Seigoの追記

この調査は日本を含むアジア地域の人(中国本土、韓国、シンガポール、台湾、インド、バングラデシュ)合計百万人以上(1,002,551人)を追跡調査した結果のようです。

調査の内容は、参加者の年齢性別教育レベル肥満度指数喫煙状況による糖尿病 – 死亡率関連性、および糖尿病とアジアにおける全原因および原因別死亡率との関連性です。

糖尿病以外では、腎臓病や冠状動脈性心臓病および虚血性脳卒中による死亡リスクの増加が見られたそうです。

そして糖尿病に関してはアジア全体で患者数が増えており、男性および高齢患者よりも女性および若い患者の増加が特に目立ちました。特に欧米諸国と違うところは、中年の女性に糖尿病が多く、太っている人よりも体重の低い方で糖尿病の死亡リスクが高いことがわかりました。

この論文はオープンアクセスでどなたでも全文が無料でご覧になれますのでぜひ目を通して、分析力のある方はぜひトライしてもらいたいものです。

🔵 原著論文 : Association of Diabetes With All-Cause and Cause-Specific Mortality in Asia (JAMA Netw Open. 2019;2(4):e192696 )

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なぜ糖尿病が増えるのか?

日本でもそうだったように食事の西洋化が一番の原因かも知れません。

いままでグルテンの多い小麦粉で作ったパンなどをご主食で食べたり、ウシ成長ホルモン入りの牛乳を飲んだり、精製した砂糖や人工甘味料を多く摂ったり、農薬が多く溶け込んだ野菜を食べたりとたくさんのことが要因となり、それが問題視されないままこれからも長く続いてきそうなところが、この問題の根深さを物語っています。

なぜ糖尿病で死亡するのか?

糖尿病は正しい知識のもとで、インシュリンをコントロールしたり食事制限をすれば死の病とはなり得ません。

しかし最近米国でニュースがありましたが、医療保険が高すぎて娘に糖尿病治療を施すことができず、死亡させてしまったという悲しいニュースがありました。

アジアの人たちは糖尿病治療の医療費を払えるかという問題と、正しい治療情報にアクセスできるかという両方の問題があるようです。

アジアの人たちを助けられるのは地理的に言っても、日本が先頭に立ってアジアの健康維持を担っていく役目があるのではないでしょうか?

糖尿病に関する書籍

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