5G論文レビュー第3弾 – ミリ波ではなくsub6について – 脳腫瘍のリスクが高いグループは携帯電話の使い始めた年齢が早かったことを示す論文

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5Gを表す語に「ミリ波」と「sub6 (サブシックス)」がありますが、今回 iPhone12 (日本) に採用された帯域はsub6ですので、そちらの周波数で発表されている研究論文を調べてみました。

ミリ波については前回の第2弾の記事でたくさん論文を紹介しましたが、それは6〜100GHzの範囲で調べたものなので、sub6の電波領域(6GHz未満の周波数)は含まれておりませんでした。( sub66 GHzまでの意味なのでSub6と呼ばれています。)

今回はその問題となる6 GHzより低い周波数の論文とレビュー記事をまとめてみました。特に携帯電話 ~0.9Ghz〔0.9GHz(900MHz)前後の周波数帯〕や2.4GHz(Wi-Fiの1つの周波数)の論文を中心に集めました。

携帯電話の使い始める年齢が早いほど脳腫瘍のリスク上がるという結果は、こちらのセクションに書かれています(すぐに論文が見たい人用のリンク)。

2.4GHz – ラットの子供が学習能力と運動機能の低下を確認 😔

電磁波のスペクトル(スガツネ工業さんからの図)にデータを加えました(右下)。


– この研究の目的は、妊娠中のラットの子孫の空間学習と運動機能に対するWi-Fi EMF(ElectroMagnetic Field, 電磁場)と身体活動の影響を調べること

– 40匹のAlbino-Wistar妊娠ラットをランダムに4つのグループ(EMF、身体活動、2.4GHZ EMFと身体活動および対照グループの組み合わせ)に分けた

– 生後56日後の雄の子孫の空間学習を評価するために、モリス水迷路(MWM)が使用され、運動機能を調べるためにオープンフィールド試験を実行した

– Wi-FiモデムのEMFに曝露されたラットは 空間学習の障害 さらに 運動機能の低下 を引き起こすことを明らかにした

文献:Physical activity as an option to reduce adverse effect of EMF exposure during pregnancy
Int J Dev Neurosci. 2018 Dec;71:10-17. doi: 10.1016/j.ijdevneu.2018.07.009.

2.45GHz – ラットの脳細胞の細胞死を促進 😱

– ラットに2.45GHzの電磁波を4時間/日、45日間照射し、行動および酸化ストレスパラメーターを調査

– 不安、学習および記憶の行動試験は38日目から開始

– 2.45GHzで 記憶力の低下 不安行動 が見られた

スーパーオキシドジスムターゼやカタラーゼの活性が低下、グルタチオンレベルも低下、抗酸化防御の低下を認める

– 逆に脳の脂質過酸化レベルの上昇した

アポトーシス(細胞死)のマーカ である カスパーゼ3が脳で増加

ニューロンの樹状突起の分岐および交差の数の減少を示し、ニューロンのシグナル伝達に影響した

seigoの補足:2.45GHzは電子レンジが使っているマイクロ波と同じ周波数です。Wi-Fiは2.4GHzなのでほとんど同じ周波数です。

文献:Rats exposed to 2.45GHz of non-ionizing radiation exhibit behavioral changes with increased brain expression of apoptotic caspase 3(2.45GHzの非電離放射線に曝露されたラットは、アポトーシスカスパーゼ3の脳発現の増加に伴う行動変化を示します)
Pathophysiology. 2018 Mar;25(1):19-30. doi: 10.1016/j.pathophys.2017.11.001. Epub 2017 Nov 14.

次はニュージーランドの研究者が発表した900GHz(日本ではソフトバンクが使うプラチナバンドと呼ばれる帯域で、電波が回り込むのスマホには便利な特徴をもつ)に関する研究レビューです。

0.9GHz(900MHz)前後の周波数帯 – 携帯電話の使用で10代の脳腫瘍のリスク増加 😱

この調査では、ニュージーランドの若者がアクティブな携帯電話やコードレス電話を通常どのように、どの程度使用しているかを調査し、脳腫瘍のリスクに関連してこれがどのように影響するかを検討した

調査方法
ニュージーランドのウェリントン地方から平均年齢12.3歳(範囲10.3〜13.7歳)の373人の7年生と8年生の学校の生徒を募集。参加者はアンケートに回答し、通常の身体から電話までのテキストメッセージの距離を測定。主な露出測定基準には、身体に近いアクティブな携帯電話で費やされた自己申告時間、両方の電話タイプでの推定時間と通話数、SMSテキストメッセージの推定および実際の範囲、使用された携帯電話機能、およびテキストメッセージが含まれてた。

結果
携帯電話とコードレス電話の両方が学生の約90%によって使用されていた。参加者の3分の1は、すでに7年以上コードレス電話を使用していた。

結論
携帯電話はテキストメッセージを介した娯楽や社会的交流に非常に人気がありましたが、コードレス電話は通話に最も人気あり。報告された割合でそれらの使用が続けられた場合、インターホン(次に紹介する論文)とハーデルグループの研究(次の次に紹介する論文)の結果に基づいて、多くの人が10代半ばまでに特定の脳腫瘍のリスクが高くなる可能性あり。

文献(オープンアクセス;論文の全文が無料で読めます):New Zealand adolescents’ cellphone and cordless phone user-habits: are they at increased risk of brain tumours already? A cross-sectional study(ニュージーランドの青年の携帯電話とコードレス電話のユーザーの習慣:彼らはすでに脳腫瘍のリスクが高くなっていますか?横断的研究)
Environ Health. 2013; 12: 5. doi: 10.1186/1476-069X-12-5 PDF書類

このレビュー論文に引用されているNo.31No.30の論文を以下で紹介します。

携帯電話の使用に関連する脳腫瘍のリスク:インターフォン国際症例対照研究の結果

研究背景:携帯電話の使用が急速に増加しているため、この技術による無線周波電磁界に関連する健康上のリスクが懸念されています。

実験方法:神経膠腫(2708)と髄膜腫(2409)の症例および対応する対照を用いたインタビューベースの症例対照研究が、共通のプロトコルを使用して13ヵ国で実施

結果
– 神経膠腫では、これまで通常の携帯電話ユーザーであったことに関連するオッズ比(OR)の低下が認められた

– 神経膠腫のORは、側頭葉の方が脳の他の葉よりも大きい傾向がありましたが、葉固有の推定値周辺のCIは広い

– 神経膠腫のORは、腫瘍と同じ側の頭で通常の電話の使用を報告した被験者の方が反対側よりも大きい傾向あり

結論
全体として、携帯電話の使用による神経膠腫または髄膜腫のリスクの増加は観察されませんでした。最高の曝露レベルで神経膠腫のリスクが高まるという提案がありましたが、バイアスとエラーが原因の解釈を妨げています。携帯電話を長期間頻繁に使用した場合に起こりうる影響については、さらに調査が必要です。

文献:Brain tumour risk in relation to mobile telephone use: results of the INTERPHONE international case-control study(携帯電話の使用に関連する脳腫瘍のリスク:インターフォン国際症例対照研究の結果)
Multicenter Study Int J Epidemiol. 2010 Jun;39(3):675-94. doi: 10.1093/ije/dyq079. Epub 2010 May 17.

携帯電話を使い始める年齢が若ければ若いほど脳腫瘍リスクが上がることが判明! 😱

論文タイトル「悪性脳腫瘍に関するケースコントロール研究のプール分析と、生きている被験者と死亡した被験者を含む携帯電話とコードレス電話の使用」

– 携帯電話やコードレス電話の使用と悪性脳腫瘍との関連を調査

調査方法
1997年〜2003年の間に診断された悪性脳腫瘍の患者を対象とした2つのケースコントロール研究と、研究の組み入れ時に生存していた対応するコントロール、および同じ期間に診断された死亡患者とコントロールを対象とした1つのケースコントロール研究のプール分析を実施

– 症例と対照、または死亡した被験者の親族は、構造化された質問票を使用してインタビューを実施

1,251(85%)の症例と2,438(84%)の対照データについての回答を得た

結果
– 携帯電話とコードレス電話の両方で、潜伏期間と時間単位の累積使用に伴ってリスクが増加

– 最も一般的なタイプの 神経膠腫 〔しんけいこうしゅ = 悪性の脳腫瘍の1つです。グリオーマとも呼ばれます。〕である 星状細胞腫 〔星細胞腫は脳(や脊髄)の神経細胞の働きを助ける星形の細胞(星膠細胞)から発生する腫瘍です。星細胞腫は悪性(がん)である場合もあれば、そうでない場合もあります〕で最も高いリスクが見られ、携帯電話使用オッズ比(OR)= 2.7、95%信頼区間(CI)= 1.9-3.7、およびコードレス電話使用ORの10年を超える待ち時間グループで発生(CI = 1.8、95%CI = 1.2-2.9)

星状細胞腫のリスクは、20歳より前に初めて無線電話を使用したグループで最も高い
🔴 携帯電話の使用OR = 4.9、95%CI = 2.2-11
🔴 コードレス電話の使用OR = 3.9、95%CI = 1.7-8.7

結論
携帯電話またはコードレス電話の使用で 神経膠腫 のリスクの増加が見られた

リスクは潜伏時間と時間単位の累積使用で増加し、20歳より前に携帯電話を最初に使用した被験者で最も高い

文献Pooled analysis of case-control studies on malignant brain tumours and the use of mobile and cordless phones including living and deceased subjects(悪性脳腫瘍に関するケースコントロール研究のプール分析と、生きている被験者と死亡した被験者を含む携帯電話とコードレス電話の使用)
Int J Oncol. 2011 May;38(5):1465-74. doi: 10.3892/ijo.2011.947. Epub 2011 Feb 17.

 seigoの追記

最後の論文の報告では、若い時期に携帯電話を使い始めるほど脳腫瘍の生じる可能性が高いことが統計学的に証明されています。

インターフォンは家庭内の短い距離しか電波を飛ばさないので、電磁波はそれほど強くないことが予想され、脳腫瘍のリスクは上がらなかったそうです。(下から2番目の調査)

私が5Gの危険性を電磁波測定機で実測した結果、4Gより5Gのほうが有害磁場をたくさん出していることが判明しました。さらに調べていて分かったことは、以外に家庭内のWi-Fiは速度が今の5G(sub6)より通信速度が速いのにもかかわらず有害磁場をほどんど出していませんでした。本当に広げるべき通信方法は5Gではなく光ケーブル(Wi-Fiにデーターを送っているケーブル)のほうではないかと強く思いました。

携帯電話ですでに10年以上前から危険性が明らかになっているのに、それを無視して(なんの対策も立てないので)さらに電磁波の強い4Gや5Gへ移行しているこの世界はおかしいです。

このサイトでは電磁波に対する対策法、それに対処する家庭での方法やサプリなどについても、YouTubeなども合わせて紹介していきますので、よろしく〜!

ちなみに「5G論文レビュー」の第1弾と第2弾はこちらです:



 

 

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