マーガリンは何でできてるでしょうか? ビーガンでしょうか? 〔レビュー: 科学的根拠・論文引用あり〕

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動物性由来の物質が入っていないギルティーフリーのマーガリンについてHealthlineが特集していましたので、それを翻訳して紹介させていただきます。(翻訳のプロではないので読みづらかったらすみません

また訳文中のカッコ内の数字研究論文などの英語の参考文献のリンクです。参考文献が情報の信頼度を上げすので、情報をもっと知りたい方は、ご参照下さい。
→ 最近はGoogle翻訳性能が良くなって結構わかりやすいので(完璧ではないですが)ご活用下さい。(Google翻訳はこちら

マーガリンは何でできてるでしょうか、ビーガンでしょうか?

マーガリンのついたトースト(出典:PublicDomainPicturesによるPixabayからの画像)

英文執筆者:Alina Petre

ビーガニズム(菜食主義)は動物の搾取と残虐行為を最小限にしようとする生き方です。

そのため、ビーガン動物で作ったものや動物由来の食べ物は避け、代わりに植物性の代替を求めます。

例えばマーガリンは植物油が原料なので、ビーガンにとってバターの代わりになる得るのです。

でも、マーガリンがすべてビーガンかどうかと疑問に思うかもしれません。

この記事では、あなたのマーガリンがビーガンか見分ける方法とビーガン用にバターの代替になるものをご紹介します。

全てのマーガリンはビーガンでしょうか?

マーガリンは大豆油、トウモロコシ油、パーム油、キャノーラ油、オリーブ油などの植物油と水を合わせて作られるバターの代用です。

塩や着色料、天然や人工香料などの成分も入っていることがあります(1)。

なのでほとんどのマーガリンは動物性食品は一切入っていないので、バターの代わりにビーガン用になります。

とはいえ、ある製造業者は水の代わりに牛乳を使用したり、ラクトース、ホエー、カゼインなどの動物由来の成分を追加したりします。こう言ったものが入っているマーガリンはビーガンとは見なされません。

要点
ほとんどのマーガリンはビーガンですが、一部には牛乳や乳糖、ホエー、そしてカゼインなどの動物由来の成分が入っているものはビーガンとして適しません。


あなたのマーガリンがビーガンか知る方法

あなたのマーガリンがビーガンかどうかを判断するベストな方法は成分リストを見ることです。

ビーガンのマーガリンは、以下のような動物由来の成分を一切含みません:

乳清 – これはチーズを作る過程で牛乳から分離する液体です。

カゼイン – 牛乳を凝固させてチーズを製造した後に残った凝乳です。

ラクトース (乳糖) – このタイプの糖は牛乳や乳製品に入っています。

動物性脂肪 – マーガリンは最初は牛、アヒル、羊などの動物性脂肪から作られていましたが、今でもこのタイプの脂肪を含むものも少ないですがあります。

ビタミンD3 – このビタミンは一般的に羊毛からのラノリンから作られています。 (参考文献 2, ← オープンアクセス;論文の全文が無料で閲覧可能

マリンオイル – 魚や他の海の生き物から作られたオイルは、マーガリン、特にショートニングに使用されることがあります。

レシチン – この脂肪の物質は動物組織や卵の黄身から作られることがあります。

スエット – 動物の腰や腎臓の周りにある硬い脂肪で、マーガリンを作るのに使われることがあります。

仔牛のスエット(出典:Wikimedia Commons, by FotoosvanRobin – originally posted to Flickr as Niervet, onbewerkt., CC 表示-継承 2.0, リンク


タロー(ヘット、牛脂)– 牛や羊からの脂肪はマーガリンを作るのに使われることがあります。

ヘット(出典:Wikimedia Commons, by FotoosvanRobin – originally posted to Flickr as Niervet in potje met zout en peperkorrels, CC 表示-継承 2.0, リンク


また多くのマーガリンは、今ではパッケージにビーガンと表示があります。

要点
あるマーガリンはビーガン用と表示されています(米国に多い)。また成分表示を見て、ホエーやカゼイン、ラクトース、そして動物性脂肪などの動物由来の成分を避けられます。


もっとヘルシーなビーガンバター

ほとんどのマーガリン植物由来の成分から作られているとはいえ所詮「精製」した食品です。つまり自然の食品(野菜や穀物そのまま)ではなく、植物油のように食品から抽出されて作られています。

それゆえにココナッツやアボカド、オリーブ、ナッツや種のような未精製の植物性脂肪よりビタミン、ミネラル、他の体に良い植物成分の含有量が、マーガリンでは少ないようです (3)。

また、あるマーガリン有害なトランス脂肪(またはトランス型不飽和脂肪酸を作り出す水素化として知られるプロセスを使用して作られます。

トランス脂肪酸の一種であるエライジン酸の構造(出典:Wikimedia Commons, by パブリック・ドメイン, リンク


トランス脂肪は飽和脂肪の構造に似るように加工された不飽和脂肪の一種です(不飽和脂肪や飽和脂肪については下のSegoの追記を参照)。この構造の変化はさまざまな健康問題の原因であると考えられています。

例えば、トランス脂肪は一般に 心臓病 神経変性疾患 早死 リスク増加と関連しています (4, 5)。

そのため、米国を含む多くの国々で人工トランス脂肪の使用を制限または禁止しています。それでもこのタイプの脂肪が一食当たり0.5g未満だと0gと表示されるので少量ですがまだ入っているかもしれません(米国FDAの2003年のトランス脂肪に関するお知らせ → 6)。

なので、できればマーガリンより植物性脂肪を多く含む自然の食べ物を選んだ方がいいかもしれません。

以下にマーガリンに代わる優れた代替品になる天然食品によるビーガン用バターをあげます。

オリーブタプナード

オリーブペースト(オリーブタプナード)(出典:Christo AnestevによるPixabayからの画像)


タヒニフムス

マッシュしたアボカド

ナッツバター

ビーガンペスト(ジェノベーゼ)

ジェノベーゼ(Pesto)(出典:Bernadette WurzingerによるPixabayからの画像)


・ココナッツバター

オリーブ油またはココナッツ油などの植物油も、特に調理やベイクで、バターやマーガリンに代わる優れた代替品です。

要点
天然の食品の脂肪は、バターやマーガリンに変わる栄養豊富な代替品で、特にスプレッドとして使えます。植物油は調理やベイク用にビーガンのバターになります。


まとめ

ほとんどのマーガリンはビーガンです。

ですが、乳製品や他の動物性食品に由来する成分が含まれている場合があり、ビーガンダイエットには適さないものもあります。

フムス、アボカド、ナッツやココナッツのバターなど、ホールフードに基づいたビーガンバターがよりヘルシーな選択肢になるかもしれません。これらは精製されたマーガリンよりも栄養素や体に良い植物成分が多いです。

ーーー 翻訳ここまで ーーー


引用レビュー

🔵 レビュー記事(英語):What Is Margarine Made of and Is It Vegan?)May 17, 2019

Seigoの追記

まず最初に、マーガリンやドーナッツに入っているトランス脂肪酸米国では2018年より全面禁止になりましたが、日本では禁止する動きが全くないというところがヤバイです。米国はトランシ脂肪酸を禁止する動きが消費者から始まり、主に非営利団体「公益科学センター」(CSPI)にが国と25年間戦い続け、ようやく禁止に追い込んだのです。こういう市民からのパワーがないと(科学的に悪いと分かっていても)法律を変えることは出来ないのでしょうか? 日本のテレビや報道機関、そして学者たちも、このことにだんまりなのが恐いです。

ドーナッツやマーガリンにはお気をつけ下さい。

不飽和脂肪酸のトランス型ってなに?

トランス脂肪酸とシス型脂肪酸、そして動物に含まれている飽和脂肪酸の構造を比較すると面白いことが分かってきます。

トランス脂肪酸とシス脂肪酸そして飽和脂肪酸との構造の違い(出典:ウィキペディア「トランス脂肪酸」の図を改変したもの)〔画像をクリック/タップすると拡大できます〕


飽和脂肪酸(一番右)は炭素が18個で「水素が飽和」するとちょうどその倍の36個が脂肪酸を覆っています(白い小さな球が水素)。

これが不飽和脂肪酸になると水素の数が減って34個になっています。この不足によって2重結合が誕生し水素の位置によって屈曲の仕方が変わってきてしまいます(図の中の黒い矢印が水素の位置の違いを示しています)。

なんと直線を保っているトランス脂肪酸のほうが、飽和脂肪酸に似ていて体に優しそうですが、実はこの構造のほうが体に悪さをするようです(次のエライジン酸の例を参照)。

トランス脂肪酸とシス脂肪酸の悪行:エライジン酸とオレイン酸の場合

トランス脂肪酸の一種であるエライジン酸は(上の図で例に出ています)コレステリルエステル転送タンパク(CETP)を活性化することにより、低比重リポタンパク(VLDL)を増やし高比重リポタンパク(HDL)コレステロールを減らします[2]。 この作用によって、 虚血性心疾患 などの病気のリスクを高める可能性があります。(ウィキペディア「エライジン酸」より)

一方、シス型の不飽和脂肪酸(オレイン酸)も悪さをしないわけではなく、皮膚バリア構造を破壊しうる作用をもっています[5][6]。特に 脂漏性皮膚炎 を悪化させるそうです[5]。にもかかわらず、クリームやローション等の化粧品の原料に多く用いられているそうです。恐ろしい現代社会ですね。(ウィキペディア「オレイン酸」より)

動物性の飽和脂肪酸が見直されつつある

上記の図では飽和脂肪酸ではステアリン酸が紹介されていました。ステアリン酸ナトリウムは石鹸や洗剤として用いられるそうで、シャンプーなどの洗浄剤に入った界面活性剤(洗剤)は、肌の油分を落とすことで肌の硬さ、乾燥、バリア機能の低下、刺激や痒みを起こすことがありますが、ステアリン酸やパルミチン酸のような飽和長鎖脂肪酸を添加することで、脂肪酸が補充されバリア機能の改善に役立つそうです[3]。(ウィキペディア「ステアリン酸」より)

お肉やバターに入っている飽和脂肪酸は、上記のような不飽和脂肪酸のデメリットがなく、安全性が見直されつつあります。また栄養価にも優れ、牛乳などの熱処理をしなければAGEs(終末糖化産物)も発生しないので(2019年12月26日の記事)、アメリカでは生の(RAW, 「ロー」と読む)の牛乳がヘルシーストアーで人気が高まっています。バターももちろんRAWのバターを手に入れることができ、ヘルシーな脂質栄養素として見直されてきているのです。日本も早くRAWバターが手に入るようになるといいですね!
Seigo

 

 

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