慢性炎症が思考力と記憶力を低下させることが判明! (ジョンズ・ホプキンス大最新研究レポート)
ニュース/レビュー
今回は中高年の慢性炎症は思考と記憶に支障をきたすという研究の報告です。
ジョンズ・ホプキンス大の最新研究がアメリカ神経学会(American Academy of Neurology)のホームページにプレスリリース(英文)されましたので、その和訳をご紹介します。
ニュースタイトル「中高年の慢性炎症は思考と記憶に支障をきたす」
研究によると、中高年の慢性的炎症を持つ人々は思考と記憶に関する問題が老年期に至るまでに進行する恐れがあることが2019年2月13日にオンライン出版されたアメリカンアカデミーの医学神経学雑誌 ”Neurology” で発表されました。炎症には2つのタイプがあります。急性炎症は、身体の免疫反応が感染や怪我から身を守る行動をするときに起こります。それは体の一部に起こり、短期間で健康的な免疫システムです。慢性的炎症は健康とは見なされていません。それは数ヵ月または数年間にわたって体全体に残る低レベルの炎症です。それは慢性関節リウマチまたは多発性硬化症のような自己免疫疾患、身体的ストレスまたは他の原因によって引き起こされることがあります。慢性炎症の症状には、関節の痛みやこわばり、消化器系の問題、疲労などがあります。
慢性炎症を抑える方法は、定期的な運動、抗炎症性の心臓の健康的な食事療法、および十分な睡眠を得ることがあげられています。
メリーランド州ボルチモアにあるジョンズ・ホプキンス大学の研究者であるKeenan A. Walker博士は、「慢性炎症は体にきつく、関節、内臓、組織、細胞を損傷する可能性があります」また、「心臓病、脳卒中、がんを引き起こす可能性もあります。他の研究では高齢者の慢性炎症と脳への影響について調べていますが、我々の大規模な研究は、中高年からの慢性炎症を調査し、それが原因で老人に至るまでの何十年にもわたって認知低下の一因になりうることを示しています。」と述べました。
地域社会におけるアテローム性動脈硬化症リスク(ARIC)の研究の一環として、研究者らは約20年間で平均年齢57歳の12,336人を調査しました。研究の開始時に被験者から血液サンプルを採取し、4つの炎症のバイオマーカーとしてフィブリノゲン(血液凝固因子)、白血球数、フォンヴィレブランド因子(血中の凝固因子の一つ)、および第VIII因子を測定しました。そして、4つのバイオマーカーに複合炎症スコアを作成しました。 3年後、研究者らは炎症のもう一つの血液バイオマーカーであるC反応性タンパクを測定しました。被験者はそれらの炎症の集成値およびC反応性タンパクレベルに基づいて4つのグループに分けられました。
被験者の思考力と記憶力は、研究開始時、6~9年後、そして終了時にテストされました。研究者は最も高いレベルの炎症バイオマーカーを有するグループが、最も低いレベルのグループよりも、思考力および記憶力で8%の大幅の低下を示したことを見出しました。最も高いC反応性タンパクレベルを持つグループは、最も低いレベルを持つグループよりも思考力と記憶力で12%の大幅な低下を示しました。これらの結果は、教育、心臓病、高血圧など、思考力や記憶力に影響を与える可能性のある他の要因についても考えられて導き出されたものです。さらなる分析は、言語や実行機能などの思考の他の側面と比較して、炎症に基づいた思考力の低下が記憶の分野で最も顕著であることを明らかにしました。
「全体的に見て、慢性炎症に関連する思考力および記憶力のおけるその他の変化はわずかであったが、中高年の高血圧に関連したと見られる変化よりは大きかったです」とウォーカーは言いました。
「思考力や記憶力の低下につながる可能性のあるプロセスの多くは中高年期に始まると考えられており、介入に最も反応があるのも中高年です」とウォーカー氏は述べています。 「慢性炎症は介入に重要な目的があることをこの結果は示しています。しかし、慢性炎症が原因ではなく、認知低下を招く可能性がある神経変性脳疾患のマーカー、あるいはそれに対する反応である可能性もあります。」
研究の限界は、研究開始時に高レベルの慢性炎症を有する被験者は途中でやめたり、死亡する可能性がより高いため、生き残った被験者が一般集団の代表とは言えないということでした。
今後の研究には、思考と記憶力のより頻繁な調査が行われ、血液中の多種多様な炎症マーカーを調べることができるでしょう。
引用ニュース & 原著論文
🔵 英語ニュース:CHRONIC INFLAMMATION IN MIDDLE AGE MAY LEAD TO THINKING AND MEMORY PROBLEMS LATER(American Academy of Neurology )🔵 元の学術論文:Systemic inflammation during midlife and cognitive change over 20 years (Neurology, February 13, 2019)
Seigoの追記
炎症を抑えるのはアンチエイジングにとってとても大切な事です。炎症の怖いところは知らないところで始まっているところです。
胃が炎症を起こせば、ある程度の痛みとして分かったり、胃潰瘍として痛みを感じたりできますが、腸の炎症や体全体の炎症(遅延型アレルギーなどと呼ばれる)は気づく人は少ないです(遅延型アレルギーは少し体がだるく感じたりうつ症状と似ていたりします)。
また砂糖や小麦(グルテン)を食べると炎症が増したりしますが、やはりそれに気づく人はかなり少ないです。
花粉症の人は花粉に対して炎症反応があり、すでに症状にまで出ているため、花粉に対してはアレルギーがあることは認識されているようですが、その他に見えない炎症が隠れていることが多いです。花粉の季節以外でも腸に炎症が出ていたり、食物アレルギーになっているケースがあります。花粉症の対策をするよりは、慢性炎症を直した方が花粉症の対策としては(根本的な対策として)効果があるかもしれません。
今は食物アレルギーを検査で調べられるので、どの食品にアレルギーを持ちやすいかを知るべきです。
私は米国で便の検査を通して、小麦アレルギーになりやすい体であることを知りました。また同時に遺伝子検査もして小麦に弱いDNAであることも確認できました。事前に分かったので小麦アレルギーを発症する前に対処することができました 😄
私の家系は代々胃腸が弱いので、このまま何もせずに小麦を食べていたら、胃腸が慢性的に炎症を起こし、将来「胃がん」や「大腸がん」に発展した可能性が高いです。(また私の先祖は小麦を食べるのを控えていたらもっと長生きであったのかも知れません。)
病気の予防といつまでも若い体を手に入れるために、食物アレルギー検査を全ての人にオススメします!
(例)日本で食物アレルギー検査をしてくれるところ:アンブロシア株式会社
私が受けた検査は日本ではなく米国で、その内容はこちらに記事にしてあります。
今回は米国で受けた小麦(グルテン)アレルギー検査の結果を披露致します。
なにかの参考になれば幸いです。
小麦(グルテン)アレルギーを調べる大便検査
ALCAT(アルキャット)テストでは小麦(グルテン)や牛乳に対するアレルギーが疑われたので、さらに特定するために便の検査をしてみまし...
20余年アメリカで遺伝子治療&幹細胞の研究者をやってきました。
特に遺伝病の間違った遺伝子をピンポイントで修復し、元に戻す技術開発です。
理学博士(Ph.D. )
アメリカ生活で学んだアンチエイジングなど健康に関する知識をシェアしたいと思います。
巷の情報もご紹介、時にはブッた斬ったりしてしまうかもしれません。
またポイントなどの節約術や生活に便利なガジェット(スマホやアプリの紹介)も記事にしますので参考になれば嬉しいです。
皆さん、ご一緒に「究極のヘルシーライフ」を楽しみましょう♪
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