妊婦の葉酸サプリ摂取で農薬が原因で発症する自閉症に予防効果があることが判明! (カリフォルニア大論文)
ニュース/レビュー
今回は、農薬が原因となる自閉症を、葉酸を摂取することで自閉症を減らせるという論文のです。
2年前の論文ですが、日本であまり認知されていないので、取り上げることにしました。
カリフォルニア大学デービス校のプレスリリース(英文)を手に入れましたのでそれを翻訳しました。
また原著論文は全文が閲覧可能なので興味がある方はどうぞお読みになって下さい。(下にリンクあり)
この記事のもくじ
ニュースタイトル『葉酸は農薬による自閉症のリスクを軽減する可能性があります』
(サクラメント市)カリフォルニア大学デービス校(UC Davis)や他の機関の研究者たちは、妊娠中の母親が適量の葉酸を摂取すると、その子供が農薬に由来する自閉症になるリスクを減らことが明らかになりました。UC Davisの研究によれば、母親が妊娠中に、例え家庭用または農業用の殺虫剤に曝されていても、800マイクログラム(= 0.8mg)以上の葉酸(そのほとんどは妊婦用ビタミンに含まれる)を摂取していた場合、その母親からの子供たちは自閉症スペクトラム障害(ASD)を発症するリスクが極めて低かったとされています。この研究は2017年9月18日の「Environmental Health Perspectives (環境衛生理論)」誌に掲載されています。
UC Davis 公衆衛生学科の助教で、この論文の主幹者であるレベッカシュミッツ(Dr. Rebecca J. Schmidt)は、「妊娠中の期間ママが葉酸を摂取していた場合、農薬に関連するリスクは軽減されるようでした」として、「母親は努めて農薬を避けるべきです。しかし、農薬が流入する農地近くに住んでいる場合は、この研究結果はこのような場合の影響に対抗するに適切な方法かもしれません」と述べています。
この論文では、遺伝学と環境による小児自閉症リスク(CHARGE)研究のデータを駆使、2〜5歳のASDと診断された296人の子供と典型的に発症した220人の子供を調べました。母親は、妊娠中の家庭用殺虫剤曝露、ならびに葉酸およびビタミンBの摂取についてインタビューを受けました。チームはまた、薬剤散布に関する重要な詳細情報を(州政府が)提供するカリフォルニア農薬散布報告書(California Pesticide Use Report)のデータを母親の住所とリンクさせました。
葉酸の摂取量が800マイクログラム(= 0.8mg)未満で、家庭用殺虫剤曝露がある母親は、同じく800マイクログラム以上で殺虫剤曝露がなかった母親よりも、ASDを発症した子供を産むリスクがはるかに高いと推定されました。繰り返し曝露された女性ではこのリスクは更に高まっていました。受胎前3ヵ月から3ヵ月後までの期間中に殺虫剤曝露があって、葉酸摂取量が少ない女性も推定リスクが高くなっていました。
UC DavisのMIND研究所員のシュミッツ氏は「葉酸の摂取量が中程度を下回って殺虫剤曝露がある場合、摂取量が低程度であるかまたは単に暴露のみがあった場合よりも、自閉症リスクにより高い関連性が見られました」として、「一番危険な状況は定期的に殺虫剤にさらされた母親の場合でした」と述べています。
妊婦が葉酸を摂取することによって、その子供が自閉症を発症するリスクが軽減はされたものの、完全にはリスクゼロとはなりませんでした。
「女性は妊娠中であれば、慢性的な殺虫剤曝露を避けるべきでしょう」とシュミット氏は述べています。
この研究関係者らは、この研究が参加者の記憶に大きく依存する症例対照研究であることに留意するよう指摘しています。さらにこの研究からは(妊婦の葉酸摂取とその子供の自閉症発症リスクとの)因果関係がまだ確立されていません。ただし、これらの結果は確かにそれらを検証するために大規模な研究への発展を担保するものです。この研究チームはまた葉酸の可能な保護効果に貢献するメカニズムを調査することを熱望しています。
シュミッツ氏は、「葉酸は、DNAのメチル化(遺伝子のスイッチを入れる、またはオンにするプロセス)、およびDNAの修復と合成において重要な役割を果たしています」として、「成長中の胎児のように、細胞が大量に分裂する急速な成長期には、これらはすべてが確かに重要なことです。ここに葉酸を加えることは、これらのゲノム機能の何れかに役立っているのかもしれません。」と述べています。
引用ニュース & 原著論文
🔵 英語ニュース:Folic acid may mitigate autism risk from pesticides (UC Davis – Health) September 8, 2017🔵 原著論文(全文が閲覧できます。PDF書類):
Combined Prenatal Pesticide Exposure and Folic Acid Intake in Relation to AutismSpectrum Disorder
Environ Health Perspect. 2017 Sep 8;125(9):097007. doi: 10.1289/EHP604.
Schmidt RJ, Kogan V,・・・ , Tancredi DJ, Volk HE.
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Seigoの追記
ワクチンで自閉症になるかどうかは議論が割れているところですが、農薬で自閉症が増えることについては、そんなに認知されていないような・・・この論文は2年前に出されましたが、日本のテレビやマスコミは農薬の怖さを全く報道しないところが、静かに恐いです 😓
出生率が落ちたり、自閉症が増えているのは、農薬のせいかもしれないということなど日本では耳にしたことがありません。
日本は農薬をたくさん使う農薬大国であるにもかかわらずです。
そんな中でも葉酸を摂ることは自閉症になる確率を減らすそうなので、この研究は朗報でしょう。
しかし葉酸だけでは自閉症になる確率をゼロにすることはできないと言っております。
庭仕事で使う除草剤なども厳禁ですね。
自閉症を減らすにはどのくらいの葉酸が必要か? 多すぎもダメ!?
論文では農薬の影響を排除するには葉酸を0.8mg以上(1gの1000分の8)摂取すると効果的だったそうですが、日本人は1日に1mg以上葉酸を摂ると逆に良くないといわれていますので、1日に摂る量は産婦人科医さんと相談して決めるのが良いかもしれません。論文では農薬の害を減らすために、少し多めの葉酸が必要だったのかもしれません。農薬の心配がなければ、日本で妊婦さんの摂取量は平均0.4mgのようです。
私が葉酸サプリの種類も気にする理由
一番肝心なのは一般のサプリに入っている葉酸(Folic acid)は合成なのですが、実はこれを分解するMTHFRという酵素(メチル化テトラヒドロ葉酸塩還元酵素)に変異のある日本人は結構多く、女性の67.1%はこの酵素に変異があるのだそうですなので合成型の葉酸を摂っても代謝されないので血中の葉酸値は上がらないどころが、合成葉酸が肝臓に負担をかけるようですよ。
そこでメチル化された自然型にした葉酸塩〔メチル化テトラヒドロ葉酸塩(L-5-Methyltetrahydrofolate)〕というサプリが必要になってくるのです。
海苔にはこの葉酸塩が多いですが(100gあたり1.9mg)、自然型なので問題がないのです!
ただ毎日たくさんの量の海苔を食べるのは大変なのでサプリでまかなうことのが楽ですね。
ここでは私が使っている質の良いサプリをご紹介させていただきます。身体に優しいタイプのビタミンB12(メチルコバラミン)も含まれています。
20余年アメリカで遺伝子治療&幹細胞の研究者をやってきました。
特に遺伝病の間違った遺伝子をピンポイントで修復し、元に戻す技術開発です。
理学博士(Ph.D. )
アメリカ生活で学んだアンチエイジングなど健康に関する知識をシェアしたいと思います。
巷の情報もご紹介、時にはブッた斬ったりしてしまうかもしれません。
またポイントなどの節約術や生活に便利なガジェット(スマホやアプリの紹介)も記事にしますので参考になれば嬉しいです。
皆さん、ご一緒に「究極のヘルシーライフ」を楽しみましょう♪
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