自閉症は農薬が原因か? 2km以内の居住で発症確率が50%上昇! (2019年カリフォルニア大報告)

ニュース/レビュー

今回はカリフォルニア州で調べられた結果に寄りますと、農薬を散布された地域から2km以内に居住していた場合、自閉症リスクが50%増加したとする論文が発表されました。

この報告はカリフォルニア大からなされEcoWatchがその結果をレビューしましたので(英文)、それを翻訳したものをここでご紹介します。このレビュー記事(英文)を翻訳したものをここでご紹介します。(翻訳のプロではないので読みづらかったらすみません m(_ _)m )

また発表された論文はオープンアクセスですので、どなたでも無料で論文の全文が閲覧できます!(ただし英語ですが 😅)
→ 最近はGoogle翻訳性能が良くなって読みやすい日本語に和訳をしてくれますので(完璧ではないですが)ご活用下さい。(Google翻訳はこちら

ニュースタイトル「自閉症リスクの増加と関連する(妊娠)初期の農薬曝露」

ダイアジノンの構造と特徴(有機リン系殺虫剤の一種)画像はクリック・タップすると拡大できます。〔出典:Wikimedia Commons, By Amir.ahrlsOwn work, CC0, Link


これまでの最大規模のある疫学的研究によれば、出生前と生後1年間における農薬への環境曝露が、自閉症スペクトラム障害発症リスクの増加と関連しています。

水曜日のBMJ〔ブリティッシュメディカルジャーナル(イギリス医師会誌)〕に発表されたこの研究は、カリフォルニアの薬剤噴霧多用農地から2,000メートル(約1.2マイル)以内に住んでいた妊婦から生まれた子供は、平均よりも自閉症を発症する確率は10〜16パーセント高く、そして重篤自閉症を発症する確率は30%高く、これが彼らの知的能力に影響を及ぼしているとしています。子供たちが生後1年間にわたって農薬にさらされた場合、彼らが自閉症を発症する危険性は50%まで上昇します。

この結果は農薬曝露が原因して子供たちに自閉症を発症したとして証明するものではありませんが、農薬曝露の影響についての懸念を引き起こしています。これは、妊娠中の女性やもしくは新参の母親とそのパートナーにとって管理することが難しい問題です。

ペルメトリンの構造と特徴(ピレスロイド系殺虫剤の一種)画像はクリック・タップすると拡大できます。〔出典:Wikimedia Commons, Link〕〔出典2:米国小児科学会での発表(2016)〕


カリフォルニア大学ロサンゼルス校のオンディーヌフォンエルネスタイン准教授(Ondine von Ehrenstein)はタイム誌に、「これらの調査結果に触発されて、行政に関連する者のいずれかによって、高度なリスクにさらされる可能性のある地域に住む脆弱な人々を保護すべく効果的な公衆衛生政策措置にが検討されることを期待する」とし、「公衆の意識を高めることは、結果的に慣行や農業政策を変えるための方法かもしれません」と語っています。

「ヘルスデイ」誌(Health Day)の報告によれば、この調査では1998年から2010年の間に生まれた自閉症と診断された3,000人近くの子供たちを調べ、自閉症と診断されなかった35,000人以上の他の子供たちとそれらを比較したとのことです。フォンエルネスタイン准教授はタイム誌に、特に動物と少数の人々にその影響が見られた11種類の農薬への曝露に注目したと述べています。

ここで試験した11種類の農薬にはダイアジノン(diazinon)ペルメトリン(permethrin)およびクロルピリホス(chlorpyrifos)が含まれます。クロルピリホスは、裁判所がその所属科学者によって有害とされた農薬を米国環境保護庁(U.S. Environmental Protection Agency/EPA)に禁止すべく命令したのに対し、米国環境保護庁がアンドリューウィーラー(Andrew Wheeler)長官の指揮の下、訴訟に持ち込んだことから、最近は論議の的になっています。

クロルピリホスの構造と特徴(有機リン系殺虫剤の一種)画像はクリック・タップすると拡大できます。〔出典:Wikimedia Commons, By Benjah-bmm27Own work, Public Domain, Link 〕


BMJの調査では、大気汚染への曝露、母親の経済状況とその居住環境が都市部であるか農村部であるかについても調べ、これらの要因をも考慮すると農薬曝露は依然として自閉症リスクを高めることが判明しています。しかし、研究に関連したBMJの論説を共同執筆したユタ大学の児童および思春期精神医学部のアマンドバキアン助教授(University of Utah child and adolescent psychiatry assistant professor Amanda Bakian)は、次のような重要な制約があると「ヘルスデイ」に明かしています。

バキアン助教授は、「この研究は、人家から2,000メートル以内の農薬曝露の影響を調べたもの」として「研究者たちの分析は、カリフォルニアの「ブレッドバスケット」エリア(穀倉地帯)として非常に農業が盛んな地域において ― その屋内空気ではなく ― 外気にさたされたところだけに限定して調査されたものです。だからこの研究結果は必ずしも、他の条件または環境に適用すべく一般化することはできません」と説明しています。

「そしてもう一つ重要なことは、この研究が以前の研究を裏付けている一方で、同じ農薬にさらされているすべての子供たちが自閉症を発症するわけではないことも示唆していることです」と彼女は付け加えています。

アメリカ自閉症協会(Autism Society of America )のスコットバデッシュ(Scott Badesch) CEOは、このような研究は自閉症とその原因を理解するのに重要であるとして、
「我々はまた、このような特定の公衆衛生措置や個人や家族への介入につながる可能性がある研究の更なる実施を促すものです」と「ヘルスデイ」誌に語りました。

引用ニュース & 原著論文

🔵 英語レビュー:Early Pesticide Exposure Linked to Increased Autism RiskEcoWatch )

🔵 原著論文 (オープンアクセス;論文全文が閲覧できます): Prenatal and infant exposure to ambient pesticides and autism spectrum disorder in children: population based case-control study
BMJ. 2019 Mar 20;364:l962. doi: 10.1136/bmj.l962
von Ehrenstein OS, Ling C, Cui X, Cockburn M, Park AS, Yu F, Wu J, Ritz B.

Seigoの追記

2年前にも農薬の空中散布で自閉症スペクトラム障害(ASD,Autism Spectrum Disorder) と発達障害(DD, Developmental disability)に対するリスクが25%上昇するという報告がありました。〔米国小児科学会(2016), ブログなど〕

その時はピレスロイド系殺虫剤が原因とされていましたが(今回の論文でも紹介されているペルメトリンがピレスロイド系殺虫剤の1つです)、今回は対象農薬は11種類に拡大されているようです。

3つの農薬については化学構造をウィキペディアより手に入れましたので、上記の記事の間に入れさせていただきました。

アメリカの場合は空中散布をするので周辺住人への影響が大きいのでしょう。その農薬でできた野菜を食べた場合はどうなるのでしょう?

妊娠中だけでなく生後1年間も無農薬が重要

今回の報告では生後1年間で農薬にさらされた場合が一番悪く、自閉症を発症する危険性はさらされていない地域に比べて50%まで上昇したとありますので、子供が生まれてからも油断はできません。

このデーターからすると、自閉症というのは脳の発達段階が重要で、生後1年間までその発達は続き、その間に脳の形成を害するような環境や食品を摂るのは厳禁ということが分かってきます。

また別の観点から気をつけなければならないことは、記事中にもあるように「農薬にさらされたことが原因で子供たちに自閉症が発症したという証拠はない」とされており、このことに対して国などは「科学的に証明されるまで農薬を散布し続ける」のような態度がこれまでの歴史から十分ありえます。

そもそも日本は農薬を特にたくさん使う「農薬大国」ですので、幼児だけではなく大人も十分に気をつけていきたいものです。

重要な問題ですので、農薬や自閉症関係の記事をこれから増やしていきたいと思います。

 追伸 :3記事ほど農薬に関連する記事を増やしましたので、ここにリストを載せておきます。

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