ヒスタミンを抑える菌がオーストリアの食品「チーズ」の中に発見された! (2019年最新研究)
ニュース/レビュー
美味しいチーズを作るにはやり菌の種類が大切だったという研究報告です。
アイオワ州立大学が最新研究をプレスリリース(英文)しましたので、その翻訳をご紹介させていただきます。
またこの原著論文はオープンアクセスなので全文を無料でネットからご覧になれます。(下にリンクを貼っておきます)
この記事のもくじ
ニュースタイトル「アレルギー反応を減らすチーズの微生物を特定」
アイオワ州エイムズ – 老化したチーズの中にはアレルギーのような反応を起こすものもありますが、アイオワ州立大学の科学者はこれらの不快な副作用を減らすことができるバクテリアの特定に取り組んでいます。
動物科学のステファン シュミッツ・エッサー(Stephan Schmitz-Esser)准教授は、熟成チーズの摂取から生じる不快な反応を軽減するための答えは、チーズの皮に生息するバクテリアにあるかもしれないと述べています
シュミッツ・エッサー准教授は、火曜日に Scientific Reports 誌に発表された新しい研究を主導しました。この研究は、チーズの皮で発生する微生物群集を詳しく調べたものです。そしてそれはまた、それら不快な反応を引き起こす化合物をカットすべく改善されたチーズの生産技術への道を開くものです。
コンテ(Comte)やグリュイエール(Gruyere)のような多くのハードチーズ品種は、良い味と香りにするために熟すのに数ヵ月を必要とします。チーズが熟すにつれて、バクテリアと菌類のバイオフィルムがチーズの表面に発生します。シュミッツ・エッサー准教授よると、これらの微生物群は自然に形成され、チーズ生産者の植菌を受けておらず、熟成過程において重要な役割を果たし、チーズを有害な病原体から保護します。
彼は、「私たちはチーズの皮に生息するこれらの微生物群については、まだそのほとんどを驚くほど知られていません」として「それらが機能することは知っているが、それ以上のことはなにもわかっていないのです」と述べています。
彼が言うには、これらの微生物は、発酵の副産物として、局所免疫反応に関与する化合物であるヒスタミンを産生するとのことです。高レベルのヒスタミンを含む食品は、約1%の人間のアレルギー反応に関連する発疹やその他の症状を引き起こす可能性があります。
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炭素源としてヒスタミンを利用(分解)できる菌腫のチーズの中に発見
それでシュミッツ・エッサーと彼の共同研究者たちはチーズ生産者がそれらの微生物について持ついくつかの質問に答えるべくその研究に着手しました。研究者らはオーストリア発のチーズの皮をサンプリングし、それらに含まれる細菌株を単離しました。彼らはブレビバクテリウム(Brevibacterium)属と呼ばれる特定の細菌属を同定し、そして3つの異なる種のゲノムを配列決定しました。そのデータはその細菌属がヒスタミンの分解をコントロールする可能性が高い細菌ゲノム内の経路を同定するができました。最後に、研究者らは実験培地で細菌を増殖させ、そのヒスタミン分解能力を実証しました。シュミッツ・エッサー氏は、調査対象のすべての Brevibacterium 属がヒスタミン含有量を低下させる可能性が最も高い遺伝子経路を持っているわけではないが、成熟過程でこの経路を発現する株を利用することも可能かもしれない、と述べています。
彼は「最終的には、これによりヒスタミンを分解する能力を持つ株を意図的に使用することが可能になるでしょう」として「これらのバクテリアは熟成過程を助け、同時にヒスタミン生産を減少させるでしょう」と述べています。
シュミッツ・エッサー氏によると、この研究により、ヒスタミン反応を起こしやすい人が熟成チーズを楽しむことができるようになって、またチーズ生産者が熟成プロセスを標準化して効率を向上させることもできるようになると言います。チーズが成熟するのにかかる時間は生産者による大きな投資を意味します。プロセスを最適化することで、生産者がその投資から最高の利益を得ることが保証されると、彼は言いました。
ーーー 翻訳ここまで ーーー
引用ニュース & 引用文献
🔵 英語ニュース:New research from an Iowa State University scientist identifies microbes that may reduce allergy-like reactions to some ripened cheeses( Iowa State University )🔵 原著論文 : Brevibacterium from Austrian hard cheese harbor a putative histamine catabolism pathway and a plasmid for adaptation to the cheese environment (Scientific Reports, 2019; 9 (1) )
Seigoの追記
記事の中に「コンテ(Comte)やグリュイエール(Gruyere)のような多くのハードチーズ品種は、良い味と香りにするために熟すのに数ヵ月を必要」とありますのでチーズは紛れもなく発酵食品なのですね。そして別の記述では、「私たちはチーズの皮に生息するこれらの微生物群については、まだそのほとんどを驚くほど知られていません」とありますので、その発酵の科学的な仕組みはほとんど分かっていないようです。
そこでオーストリアのハードチーズ(フォアアールベルク・マウンテンチーズ, Vorarlberger Bergkäse)の皮の上にある菌を分析して今回の研究結果を出したそうです。
私も知らなかったのですが、チーズの発酵中にヒスタミンが多くできてしまうと不快な匂いになり、またそのヒスタミンによってアレルギーを起こす人がいるようなのです。
しかし今回発見された Brevibacterium(ブレビバクテリウム)属の菌が存在すれば、この菌がヒスタミンを食べてくれるので美味しいチーズになるそうです。
このことが分かれば安全な美味しいチーズがたくさん作れそうですね!
そんな話をしていたら私もチーズが食べたくなってきました 😋
(記事中に出てきた)コンテ&グリュイエール・チーズ
スイス産のコンテとグリュイエール・チーズを楽天で見つけましたのでそのリンクを貼っておきます。20余年アメリカで遺伝子治療&幹細胞の研究者をやってきました。
特に遺伝病の間違った遺伝子をピンポイントで修復し、元に戻す技術開発です。
理学博士(Ph.D. )
アメリカ生活で学んだアンチエイジングなど健康に関する知識をシェアしたいと思います。
巷の情報もご紹介、時にはブッた斬ったりしてしまうかもしれません。
またポイントなどの節約術や生活に便利なガジェット(スマホやアプリの紹介)も記事にしますので参考になれば嬉しいです。
皆さん、ご一緒に「究極のヘルシーライフ」を楽しみましょう♪
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