福島第1原発事故後にニホンザルの胎児の頭部は小さくなった:これは風評ではなく、科学的データです

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本日は福島第1原発事故に福島第1原発から40キロ圏内にある南相馬市と浪江町で生息していたニホンザルを調べた結果が、米科学誌に報告されたのでその結果を見ていこう。

原発事故 – 福島の野生ニホンザルに放射性物質の影響か
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二つの研究チームが米科学誌に報告
福島県内に生息する野生のニホンザルについて、福島第1原発事故後、成獣の骨髄で血液のもとになる成分が減ったり胎児の成長が遅れたりしたとする研究成果が米科学誌に相次いで報告された。事故で放出された放射性セシウムを木の皮などの食べ物から取り込んだことなどによる被ばくの影響の可能性があるという。
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成獣を調査したのは、福本学・東北大名誉教授(放射線病理学)らの研究チーム。福島第1原発から40キロ圏内にある南相馬市浪江町で事故後に捕殺されたニホンザルを調べ、成獣18頭で骨髄中の成分を調べ他の地域と比べた。その結果、血小板になる細胞など血液のもとになる複数の成分が減っていた。さらに、一部の成分は、筋肉中の放射性セシウムの量から推定される1日あたりの内部被ばく線量が高い個体ほど、減り方が大きくなっていたという。福本さんは「健康への影響が表れるのかなど、長期的な調査が必要だ」と話す。
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また、羽山伸一・日本獣医生命科学大教授(野生動物学)らの研究チームは、福島市が個体数調整のため2008~16年に捕殺したニホンザルのうち、妊娠していたメスの胎児を調べた。原発事故前後の計62頭のデータを比較したところ、事故後の胎児は事故前に比べ、頭の大きさが小さく体全体の成長にも遅れがみられた。母ザルの栄養状態には変化がなく、チームは事故による母ザルの放射線被ばくが影響した可能性があると結論づけた。
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人とサル、異なる被ばく量
羽山教授は「サルは森で放射性物質に汚染された食べ物を採取していた上、線量が高い地面に近いところで生活していたため、人に比べて被ばく量が桁違いに多いはずだ」としている。
環境省が実施する野生動植物への放射線影響の調査対象にニホンザルは含まれておらず、日本霊長類学会など5学会は、ニホンザルを対象に含めることなどを求める要望書を同省に提出した。同学会の中道正之会長は「ニホンザルは寿命が20~30年と長く、定住性もある。世界的に見ても、ニホンザルへの長期的な影響を調べることは極めて重要だ」と話した。【須田桃子】
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引用:毎日新聞 2018年11月20日 10時40分(最終更新 11月20日 16時14分)



写真はイメージです(出展:ニホンザル_by 丸岡ジョー/写真AC)

Seigoの追記

南相馬市や浪江町は普通に人々が生活している地域です。

そこに住んでいたニホンザルの胎児(この新聞記事では「胎児」となっているが通常動物の胎児は「胎仔」と書きます)は頭が小さく、体全体の成長も遅れがみられたそうです。

また大人のニホンザルは血小板になる細胞など血液のもとになる複数の成分が減っていたということです。

「血液のもとになる細胞」つまりこれは「造血幹細胞」が減っているということでしょうか?

「造血幹細胞」は通常、骨髄中に存在しますが、それが減ったということは骨に放射性ストロンチウム(ストロンチウムは測れるけど測定しないが)が蓄積したことで「造血幹細胞」の数に影響を与えている可能性があるかと思われます。

ついに科学的なデーターが出てきましたね。

「直ちに影響が出ません」は「ついに影響が出た」に2018年11月20日から変わったわけです。

地産地消して線量の高い地面に暮らしている人はどうなるのでしょうか。

これは風評ではなく、科学的データです。

写真はイメージです。(Macaque monkeys by fxxu / Pixabay)


 

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