ネオニコチノイドがミツバチを殺す新たなルートが発見される! (2019年最新論文)

ニュース/レビュー

ネオニコチノイド殺虫剤をまいた地域ではなぜかミツバチがいなくなる現象が起きていましたが、今回は素の理由がまた1つ明らかにされました。なんと害虫が出す蜜にネオニコチノイドが濃縮されていたのです。

この結果はスペインの研究者チームが発見し、論文に出版されました。またPhysのニュースサイトにレビュー記事(英文)が掲載されました。今回はそのレビュー記事を翻訳しましたのでご紹介します。(翻訳のプロではないので読みづらかったらすみません m(_ _)m )

また発表された論文はオープンアクセスですので、どなたでも無料で論文の全文が閲覧できます! 翻訳の下にリンクを貼っておきます。
→ 最近はGoogle翻訳の性能が良くなってスムーズな日本語に翻訳してくれます。(時々変ですが)ご活用下さい。(Google翻訳のページはこちら

ネオニコチノイドは益虫に害のある未発見の伝搬ルートが存在する可能性があります

英文執筆者:Bob Yirka  (Phys.org)

スペインの複数の研究チームが、ネオニコチノイド甘露(かんろ)から益虫(えきちゅう:人類に役立つ昆虫。ミツバチなどへの有害な伝搬・暴露ルートが存在することを新たに発見しました。PNAS 誌に掲載された論文で、益虫がネオニコチノイドにさらされているとする研究と、そこから彼らが学んだことについて述べられています。

過去の研究で、殺虫剤の一種であるネオニコチノイドを農作物に使用すると、花粉から益虫に害を及ぼすことは示されています。この新しい研究では、甘露を経由して益虫に害を及ぼす可能性を発見しました。

巣にいるミツバチ(出典:David MarkによるPixabayからの画像)


甘露(かんろ;甘い分泌物)はコナカイガラムシ、アブラムシ、キジラミ、コナジラミなど、糖を含む植物の組織を食べる昆虫によって作られる粘性の液です。これらの昆虫は訪れた植物に甘露を残しますが、そこに花粉を媒介するのハナアブ、寄生スズメバチなどがやって来てそれを食べます。研究者たちはこの新しい取り組みで、ネオニコチノイドが甘露に取り込まれ、それを食べる昆虫が死ぬことを発見したのです。

問題は、汚染された甘露を食べて死ぬ昆虫は、ネオニコチノイドで殺す予定ではなかった益虫が含まれていることです。研究者はネオニコチノイドを柑橘類の木に直接スプレーしたものと土壌中の水を調べ、それを食べた柑橘コナカイガラムシが作った甘露を集めることでこの発見をしました。それから甘露を2種類の益虫ハナアブと寄生バチに与えました。

ほとんどのハナバチハナアブ約半数が甘露を食べて3日以内に死亡したと研究者は報告しています。これとは極めて対照的に、6~15%の対照群のハナアブとスズメバチが同期間内に死亡したのみでした。この研究では更に、甘露のサンプルを詳しく調べるとかなりの割合で検出可能なレベルのネオニコチノイドが発見されました。対照群の木から採取した甘露には、ネオニコチノイドは検出されませんでした。

研究者によると、この実験結果は益虫がネオニコチノイドに汚染された甘露を食べて殺されている可能性があることを示し、益虫にとっての新たな危険な汚染源として示唆されます。

ーーー 翻訳ここまで ーーー


引用ニュース & 原著論文

🔵 英語ニュース:Neonicotinoids may have an unexplored harmful exposure route to beneficial insectsPhys.org

🔵 原著論文(オープンアクセス;無料で論文の全文が閲覧できます): Neonicotinoids in excretion product of phloem-feeding insects kill beneficial insects (PNAS , 2019 )
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Seigoの追記

甘露(かんろ)はアブラムシやシラミがお尻から分泌する蜜みたいなものです。知らない方も入るかも知れないので、アリがその甘露を小さな虫からもらっているビデオがありますので、どうぞご覧下さい ↓


ネオニコチノイドは害虫に効かず益虫を殺している事実

ネオニコチノイドは殺虫なので虫を駆除するはずで、日本でもたくさん使われていますが、実際この論文によると害虫であるアブラ虫やシラミには効かず生きており、その害虫が出す分泌物(甘露)にネオニコチノイドが含まれていて益虫(ミツバチなど)がどんどん死んでいく現象が起きているというのです。

また上記の研究で恐いのは、もしかするとネオニコチノイドの生物濃縮が起きて、小さな昆虫には影響はありませんが、高次の動物ほど脳にダメージが起きるかもしれないことを示唆しています。私たちが口にするかも知れない野菜や果物に対して、このままネオニコチノイドを使い続けるのは本当にあんぜんなのかという警鐘を鳴らすものであるかもしれません。

こういう結果が出ていても、国が動くのは遅いですので、私たちはなるべく被害を防ぐために、無農薬のものや有機野菜を優先的に購入して、農家になるべく使わないように誘導していくしか手立てはないのでしょうか?

ネオニコチノイドに関しては別の記事が本サイトにはあります ↓

ネオニコチノイドの関連書籍


 

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