硫黄からプラスチック作る! 最新論文-廃棄物利用で環境問題の解決に一手

ニュース/レビュー

今回は硫黄からプラスチックを作るより良い方法を発見した研究のご報告です。

リヴァプール大学が最新研究をプレスリリース(英文)しましたので、和訳をご紹介します。

ニュースタイトル「硫黄からプラスチックを作るより良い方法を発見」

リバプール大学の科学者たちは環境に優しいプラスチックの製造が可能なポリマーを硫黄から作る新しいプロセスを発見しました。

硫黄は豊富に存在する化学元素で、世界中に鉱床として埋蔵されています。それは石油化学産業における原油およびガスを精製してできる廃棄物で、製油所の外にたくさん貯蔵してあります。

硫黄はポリマーを作るのに炭素に代わる興味深い可能性のある代替物として認識され、それ自体では安定なポリマーを形成することはできませんが、「逆加硫」と呼ばれるプロセスで明らかにされるように、硫黄を安定化にするために有機架橋剤分子と反応させなければなりません。このプロセスが高温と長時間の反応を必要とし、そして有害な副生成物を生成します。

しかし、材料化学分野で活動するリバプール大スティーブンソン研究所の再生可能エネルギーの研究者たちは、情勢を一変させる可能性のある革新的な発見をしました。

彼らは科学ジェーナル「ネイチャーコミュニケーションズ(Nature Communications)」に発表された研究の中で、有害な副生成物の発生を防ぎながら、必要な反応時間と温度を減らす逆加硫のための新しい触媒プロセスの発見を報告しています。また反応収率を高めポリマーの物理特性を改善し、そして広範囲の架橋剤を使用できるようにするものです。

現代社会では、合成ポリマーは生活の至るところに存在し、地球上で最も広く製造されている材料の1つです。しかしながら年間約3億5千万トンのプラスチックが製造されていることから、環境問題の増大および石油化学製品の使用量の減少と相まって、より環境に優しく新しいポリマーを開発することが急務なのです。

グループでこの研究を行っていた王立協会大学(Royal Society University)主任研究員のトムヘーゼル(Tom Hasell)博士は、次のように述べています。「硫黄からポリマー(プラスチック)を製造することは、形勢一変の大変革です。石油の副産物である硫黄から有用なプラスチック材料を製造できれば、石油から作られたポリマーへの社会の依存を減らすことができるでしょう。さらに、これらの硫黄ポリマーは再利用が簡単で、プラスチックの使用量を減らすのに道を開くものです。

これに加えて、これまでにない特性を持つユニークなこの新しいポリマーの用途範囲です。硫黄の特性はカーボンとは大きく異なり、これはすでに熱画像レンズや電池、浄水、そして人間の健康を含む硫黄ポリマーに可能な用途の世界を切り開きました。」と。

さらに「私たちは伝統的なゴム加硫の促進を検討することを直感で決定し、それが重要な発見につながりました。この研究は現在、逆加硫ポリマーの開発における重要な歩みを見せています。それは以前のルートよりも逆加硫にその用途を更に拡大し、環境に優しいものとして基本化学自体を広げるだけでなく、化学および材料科学の多くの分野でこれらの魅力的な新しい材料の工業化および広範な応用への扉を開いているのです。」と。

引用ニュース & 原著論文

🔵 英語ニュース:Scientists discover a better way to make plastics out of sulfurUniversity of Liverpool

🔵 元の学術論文:Catalytic inverse vulcanization (Nature Communications, volume 10,  647 (2019) )

Seigoの追記

これまでのプラスチックは炭素(C)をバックボーンとしたポリマーがほとんどでしたが(ポリプロピレンやポリエチレン)、この報告によると硫黄(S)を中心としてポリマーを作ることができるそうです。

調べてみるとこの方法はすでに2015年に発見されていて、今回の発表はそれをさらに効率よく改良し、有害な副生成物の発生も防ぎくことができたそうです。

石油系の廃棄物から硫黄を回収してプラスチックを作るということですから、完全に石油がなくなってもプラスチックが作れるかどうかは分かりません。

また、プラスチックは海の汚染の問題や、海の生物にマイクロプラスチックが混入していることが報告されておりますが、硫黄でできたプラスチックはそれを解決できるのでしょうか?

生分解性のプラスチック作成に進んでいってもらいたいものです。


 

 

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