プロバイオティクス由来分子が致死性の脳炎に抑制効果を発揮!? (2019年最新論文)
ニュース/レビュー
今回はプロバイオティック由来分子は致命的な脳の炎症を抑制するかもしれないという研究発表がなされました。
この報告は論文に発表され、またそのレビュー記事(英文)がカリフォルニアのCity of Hope研究所のサイトにリリースされました。今回はそのレビュー記事を翻訳しましたのでご紹介します。(翻訳のプロではないので読みづらかったらすみません m(_ _)m )
またこの発表された論文はオープンアクセスですので、どなたでも無料で論文の全文が閲覧できます!(英語ですが・・・😅 )
→ 最近はGoogle翻訳の性能が良くなって読みやすい日本語に和訳をしてくれますので(完璧ではないですが)ご活用下さい。(Google翻訳はこちら)
この記事のもくじ
ニュースタイトル「前臨床試験ではプロバイオティクス由来分子が致命的な脳の炎症を抑制することを示唆している」
Preclinical study: Probiotic-derived molecule may suppress fatal brain inflammationhttps://medicalxpress.com/news/2019-05-preclinical-probiotic-derived-molecule-suppress-fatal.html
カリフォルニア州ドゥアルテ – City of Hope研究所の研究によると、致命的な脳の炎症を引き起こすことがあるヘルペスウイルスは、腸内に特定の微生物が存在することによってそのウイルスを攻撃する免疫システムが強化される可能性があるとのことです。
この知見は、ある細菌 Bacteroides fragilis(B.フラジリス)由来のエンベロープ分子が、ウイルス性炎症性疾患に対して有用である可能性があることを示唆した最初のものです。
論文著者である、City of Hope のRamakrishna Chandran博士(ウイルス学)とEdouard Cantin博士(免疫学)は、莢膜*多糖類A(PSA; polysaccharide A)と呼ばれるエンベロープ分子は、ウイルス感染時の防御的な抗炎症反応を促進するようだ、と述べています。〔※ 莢膜 = きょうまく; 一部の真正細菌が持つ、細胞壁の外側に位置する被膜状の構造物。〕
Cantin博士は次のように述べています。
「このマウスの研究は、感染による脳の制御不能で致命的な炎症反応を、B.フラジリス PSAが免疫系を強化することによって防ぐことができることを示しています。単純ヘルペス脳炎は脳の炎症性疾患としては少ないものですが、今後研究進めて行くことによって、他のヘルペスウイルス感染、例えばインフルエンザウイルス、西ナイルウイルス、あるいは炎症が健康と脳機能を危険にさらしかねないウイルス性呼吸器疾患に適用できるかもしれません」
単純ヘルペス脳炎は、米国では毎年約2,000人が罹患しており、症状が認識されず迅速な治療を受けないと、死亡率が高くなり、治癒した場合も深刻な神経系での後遺症が残ります。様々な研究によると、治療を行わない場合の死亡率は約70%に上ります。
5月14日に Nature Communications 誌に発表されたこの研究では、単純ヘルペスウイルス感染によって引き起こされる有害な炎症反応を、免疫系が過剰に促進することを抑制する調節性TおよびB細胞が、B.フラジリスのエンベロープ分子PSAによって誘導されることが見出されました。言い換えると、PSAは、IL-10分泌調節性T細胞およびB細胞の出現を促進することによって、脳幹炎症を軽減させていました。IL-10は、防御的な抗炎症反応を起こし、脳炎を予防する強力な抗炎症性サイトカインです。
Chandran博士は次のように述べています。
「適切なプレバイオティクス・プロバイオティクス・シンバイオティクスの摂取は、炎症性疾患を抑制する身体の自然な能力を高める可能性があります。我々の研究は、さらなる研究の検証を必要としますが、重要な原理の証明を与えるものであり、食べると決めたものが自身の健康と病気の撃退する力を得ることに関係するということは理にかなっているものです」
研究では、プロバイオティクス候補のB.フラジリス 、またはPSAを予め与えられていたマウスは、単純ヘルペスウイルス感染での死亡を免れた一方、プラセボ群は生存できなかったことが示されました。どちらのマウスも、単純ヘルペスウイルス脳炎の治療に用いられる抗ウイルス薬アシクロビルを投与されていました。この知見は、プロバイオティクス由来のPSAがウイルス、特に有害な炎症を誘発するものと戦うため、免疫システムを最適化することを示唆しています。
研究者らは、B細胞が炎症の消失に果たす重要な役割について報告しています。B細胞は抗体を分泌する白血球の一種です。PSA治療の前にマウスのB細胞を枯渇させると、調節性T細胞の制御と抗炎症性サイトカインIL-10の分泌が起こりませんでした。研究者らは、B細胞がPSAに結合することを証明しましたが、これは抗炎症性サイトカインIL-10を分泌する保護的調節性T細胞の誘導に必要な過程でした。そのため、B細胞を排除すると、致命的な単純ヘルペスウイルス脳炎症との闘いにおいて免疫系が無力化される結果となったのです。
ーーー 翻訳ここまで ーーー
引用ニュース&原著論文
🔵 英語ニュース:PRECLINICAL STUDY SUGGESTS PROBIOTIC-DERIVED MOLECULE MAY SUPPRESS FATAL BRAIN INFLAMMATION(City of Hope)🔵 原著論文 :(オープンアクセス;論文の全文が無料でご覧になれます)
Bacteroides fragilis polysaccharide A induces IL-10 secreting B and T cells that prevent viral encephalitis. (Nature Communications, 2019; 10 (1) )
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Seigoの追記
B.フラジリス(Bacteroides fragilis)菌といえば、先日の記事でも登場したのを覚えているでしょうか。
B.フラジリスはGABAを産生し、うつ病に関係しているという論文でした(2019年4月25日の記事 ↓)
執筆日:2019年4月25日、更新日:2021年4月16日
農薬や電磁波(5G)、そしてコロナによるストレスなどなどうつ病になる要因が増えてきております。このサイトにすでに紹介されたうつ病の大切な論文の復刻版を掲載します。
ーーー 2019年4月25日の記事より ーーー
今回は新しい...
そして今回はB.フラジリスがPSA(ポリサッカライドA)を分泌してそれが免疫系に作用して単純ヘルペス脳炎を軽減することに関与しているということでした。
今回の論文でのB.フラジリスの投与の仕方は、 (109 CFU) または精製されたPSA(2 mg/kg, カプセル使用)をマウスに経口胃管栄養法によって与えたと原著論文に書いてありました。
どちらも腸内細菌が遠い部位にある脳に影響を及ぼして、うつを改善させたり、脳内のウイルス感染に対処することもできるようなのです。どちらも腸から脳にへの関与が明らかとなり、腸内細菌の重要性がますます高くなってきたことに気づかせてくれる報告でした。
B.フラジリス(Bacteroides fragilis)菌は超注目の菌種となりました。
単純ヘルペス脳炎とフラジリス菌に関連する書籍
右の細菌の写真集にはフラジリス菌が登場します。
20余年アメリカで遺伝子治療&幹細胞の研究者をやってきました。
特に遺伝病の間違った遺伝子をピンポイントで修復し、元に戻す技術開発です。
理学博士(Ph.D. )
アメリカ生活で学んだアンチエイジングなど健康に関する知識をシェアしたいと思います。
巷の情報もご紹介、時にはブッた斬ったりしてしまうかもしれません。
またポイントなどの節約術や生活に便利なガジェット(スマホやアプリの紹介)も記事にしますので参考になれば嬉しいです。
皆さん、ご一緒に「究極のヘルシーライフ」を楽しみましょう♪
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