腸内細菌の種類によって薬剤の効果が変わってくることが判明! (nature誌2019年6月)

ニュース/レビュー

腸内細菌が薬に対する反応性に影響を与えるという研究報告がnature誌に発表されましたのでご報告します。

この研究はエール大学によって行われ、その研究のレビュー記事がMedical Xpressのサイトで発表(英文)されましたので、その翻訳文をご紹介いたします。(翻訳のプロではないので読みづらかったらすみません m(_ _)m )

腸内細菌は薬に対する反応性に影響を与える可能性があります

なぜ他の人に効く薬があなたに効かないようにみえるときがあるのでしょうか? その答えはあなたの腸にあるかもしれません。

150種類以上の薬物を代謝する腸内細菌が研究者によって特定されていますが、この能力を細菌に付与している遺伝子も特定されました。

エール大学のチームによると、この調査結果は、人々が薬にどう反応するかという点で、腸内細菌が果たす役割を明らかにするものです。

同研究の共著者であり、エール大学微生物科学研究所および微生物病原学科のAndrew Goodman研究室に所属するMaria Zimmermann-Kogadeeva博士研究員は、大学のニュースリリースで、

遺伝子や細菌の菌種を分析することに、特定の薬物を代謝する個人の腸内細菌叢(腸内フローラ)の能力を予測することができます。この研究は、医師が個々の患者にとって最も安全で効果的な薬を処方するのに役立つ可能性のあるバイオマーカーを特定するための最初のステップです」と述べています。

腸内細菌の一種 – 黄色ブドウ球菌(オレンジ色)(出典:skeezeによるPixabayからの画像)


研究では、271種類の薬が、76種類の腸内細菌によって化学的に修飾されるかどうか、どのような方法で修飾されるかを調べました。約3分の2の薬剤が、少なくとも1つの細菌種によって代謝されたことが、研究結果によって示されています。

次に、研究者らは細菌による薬剤代謝に関与する多くの遺伝子を同定し、健康な人々において、これらの遺伝子数が幅広く異なっていることを見出しました。こうした違いは、一部の人の腸内フローラが薬剤をすぐに代謝するのに対し、代謝がゆっくり起こる、あるいは全く代謝されない場合があることについて、部分的に説明できます。

これまで、薬物の代謝は、肝臓のような臓器においてのみ起こるものと考えられていた、と研究チームは指摘しています。

共著者である、Goodman研究室のMichael Zimmermann博士研究員は、

「この研究が、薬物代謝に腸内細菌が関わっていることを理解する上での有用な第一歩となることを願っています。これらのアプローチは、食物栄養素や環境物質などの非薬物化合物への人体の反応を、腸内フローラがどのように調節するのかを明らかにする可能性がある、と考えています」と述べています。

ーーー 翻訳ここまで ーーー


引用ニュース & 原著論文

🔵 英語ニュース:Your gut bacteria could affect your response to meds (Medical Xpress)

🔵 原著論文 : Mapping human microbiome drug metabolism by gut bacteria and their genes, (Nature, 2019 )

Seigoの追記

今回のニュースでは特にこの記述に驚きました。

「これまで、薬物の代謝は肝臓のような臓器においてのみ起こるものと考えられていた、と研究チームは指摘しています。」

いままで薬の代謝を考える時に、腸内細菌の事を全く考えていなかったことにビックリです。代謝には肝臓のような臓器しか考えてなかったと・・・。

ということは薬を開発して人に与えても、それは実は「細菌が代謝していて、細菌が作った代謝産物が人の病気を治していた」なんてことも今まであったかも知れないのですね。

または動物には聞くけど人に薬を与えたら(腸内細菌が代謝してしまって)ぜんぜん効かなかったなんてこともあったかも知れませんね。

また「細菌による薬剤代謝に関与する遺伝子の数は人によってかなり異なっている」ということなので、ある人には薬は効くけどある人には全く効かないことの説明として、腸内細菌が異なっていたからということもこれからは言えるわけです。

これからは人に薬を処方する時は、まず腸内細菌の種類を見てから、その人に合った薬の種類や量を決めていくことになりそうですね。

これからのお医者にかかる時や健康診断では「患者さんの体を診る」のではなくまず腸内細菌を見てみましょう」ということになりそうですね。

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