栄養豊富なスピルリナの12の健康効果/副作用からお勧めサプリまで【科学的根拠・論文引用あり】
先日の記事で、スピルリナやグルコサミンはインターフェロン応答を高め、自然免疫を活性化することによってコロナに対抗できる可能性があるとの論文の報告がありました。
さらにスピルリナがインフルエンザのマウスの死亡率を下げたりするなどのベネフィットもあるとのこと。
そこでスピルシナに非常に興味が出てしまったので、今回はスピルリナのことだけにしぼって、深〜く掘り下げて紹介させていただきます 😄
この記事のもくじ
スピルリナとは?
スーパーフードの王様と呼ばれるスピルリナは、これだけでも生きていかれるほどというほどNASAでも宇宙食として研究されており、食糧難の対策にもなる「未来の食料」として注目を浴びています。
スピルリナの名前の由来はラテン語で「らせんの形をした」という意味の通り、うねうねっとらせん状の細長い細菌です。もちろん目では青緑の粉にしか見えません。たったの0.3〜0.5mm、太さは5μm(0.005mm)の大きさです。クロレラ(単細胞)と違ってスピルリナは多細胞生物です。
35億年も昔に生まれたシアノバクテリア(藍藻類)という光合成する細菌で、分類は、藍藻綱ユレモ目アルスロスピラ属です。こう見えて海苔などの海藻類の仲間ではあります。
アフリカや中南米などの強いアルカリ性の塩水湖に住んでおり、淡水でも塩水でも育ちます。
古くはマヤ文明で人々が食し、現在では安く大量に培養することもできるので、アフリカのザンビアの子供達の貴重な栄養源として、マラリアにかかりにくくなったり、体重や身長が増えたりと活躍しています。
スピルリナに含まれる栄養は?
スピルリナはとても栄養が豊富です。まずたんぱく質は55%以上でお肉やお魚よりずっと多く、植物ながらも動物性のタンパク質が豊富です。そして全必須アミノ酸を含む18種類のアミノ酸のバランスが良いのです。さらにビタミン、ミネラル、抗酸化物質、オメガ6や3脂肪酸を豊富に含みます。そこがスーパーフードと言われる所以です。
食物繊維は4%ほどで、水溶性のペクチンが80%、不溶性のセルロースが20%です。
抗酸化物質としては、ベータカロテンやビタミンEにフィコシアニンという青い色素やクロロフィル、ゼアキサンチン、SOD(スーパーオキシドディスムターゼ)を豊富に含みます。
ビタミンB群やEや葉酸、鉄、マンガン、マグネシウム、ナトリウム、亜鉛が豊富です。ビタミンB12が豊富と言われることもありますが、その多くは不活性なので人には有効ではない(文献)とされていましたので成分表ではゼロのこともありますが、他の研究でメチルコバラミン(ビタミンB12)が35μg/100g存在したという報告もあります。
何と言ってもスピルリナが素晴らしいのは色々な栄養が豊富な上に、多細胞で細胞膜が柔らかいので吸収率がとても良いことです。
ですので、スピルリナは天然のマルチビタミン&ミネラルサプリ+良質のたんぱく質+抗酸化物質という完璧な食品です。
日本のスピルリナのデータを見ますと、栄養分の量は書いてあるのですが、1日の摂取目安量が書いてないので、どれくらい摂ったらいいかわかりません。それが分かるように摂取目安量をつけて表を作りました。(%:1日摂取量の目安; 100%が1日の推奨摂取量)
栄養成分 | 乾燥重量(100gあたり) | 1日の摂取目安量(%)〔70%以上をハイライトしました〕 |
ビタミン A | 29 μg | 4% |
βカロチン | 342 μg | 3% |
チアミン(B1) | 2.38 mg | 207% |
リボフラビン (B2) | 3.67 mg | 306% |
ナイアシン (B3) | 12.82 mg | 85% |
パントテン酸 (B5) | 3.48 mg | 70% |
ビタミン B6 | 0.364 mg | 28% |
葉酸 (B9) | 94 μg | 24% |
ビタミンB12 | 0 μg | 0% |
コリン | 66 mg | 13% |
ビタミン C | 10.1 mg | 12% |
ビタミン D | 0 IU | 0% |
ビタミン E | 5 mg | 33% |
ビタミン K | 25.5 μg | 24% |
カルシウム | 120 mg | 12% |
鉄 | 28.5 mg | 219% |
マグネシウム | 195 mg | 55% |
マンガン | 1.9 mg | 90% |
りん | 118 mg | 17% |
カリウム | 1363 mg | 29% |
ナトリウム | 1048 mg | 70% |
亜鉛 | 2 mg | 21% |
英語版Wikipediaより〔 Spirulina (dietary supplement) 〕
その他:水分 4.68 g、クロロフィル、フィコシアニン(青)、カロテノイド、SODスピルリナの栄養価
カロリー 290 kcal炭水化物 23.9 g
糖 3.1 g
食物繊維 3.6 g
脂肪 7.72 g
飽和 2.65 g
一価不飽和 (オレイン酸など)0.675 g
多価不飽和(ω-6とω-3、一部のω-9、共役リノール酸)2.08 g
タンパク質 57.47 g
トリプトファン 0.929 g
スレオニン 2.97 g
イソロイシン 3.209 g
ロイシン 4.947 g
リジン 3.025 g
メチオニン 1.149 g
シスチン 0.662 g
フェニルアラニン 2.777 g
チロシン 2.584 g
バリン 3.512 g
アルギニン 4.147 g
ヒスチジン 1.085 g
アラニン 4.515 g
アスパラギン酸 5.793 g
グルタミン酸 8.386 g
グリシン 3.099 g
プロリン 2.382 g
セリン 2.998 g
英語版Wikipediaより〔 Spirulina (dietary supplement) 〕
スピルリナのベネフィットは? (論文引用あり)
現代の生活でストレスや農薬野菜、加工食品などで栄養が不足になりやすいので、ミネラルやビタミンをしっかり意識して摂り、病気の予防や体が正常に機能できるように心がける必要があります。スピルリナは栄養豊富なので、以下のような作用が期待できます。論文を引用しておきましたが、これからさらに人で何々に効いたなどのエビデンスが増えるといいと思います。
① 抗酸化作用と抗炎症作用
酸化によって細胞が慢性炎症を起こすと、ガンや色々な病気の引き金となるかもしれません。スピルリナの抗酸化に対する人のインビボの研究はありませんが、抗酸化や抗炎症について言及している研究論文は結構見かけます。特にフィコシアニン(青緑色素)はフリーラジカルによるダメージから体を保護したり、炎症性サイトカインの産生を抑制したりします(論文, 論文, 論文)。
② 腸内環境の改善
スピルリナはマウスの研究で腸内細菌のバランスを改善し、腸内の善玉菌を増やすことがわかりました。結果、免疫力を上げたり、体重を減らしたり、炎症を鎮めたり、抗酸化、抗高脂血症、降圧など予防や治療の可能性があるということです(論文 ← オープンアクセス;論文の全文が無料で読めます)。スピルリナは炭水化物、ポリフェノール、多価不飽和脂肪酸などを含み、プレバイオティクスとして善玉菌のベネフィットになるのかもしれません。③ 重金属の解毒
スピルリナに含まれるクロロフィルが排毒をサポートしたり、抗酸化成分が肝臓などの重金属中毒による酸化ストレスのダメージから回復したりしてくれるようです。(論文 ← オープンアクセス)マウスでカドミウム中毒による症状の緩和(論文)、鉛の毒からラットを守ったり(論文)、水銀中毒による腎臓のダメージを改善したり(論文)、アルミニウムやフッ化アルミニウム毒の緩和(論文)などの重金属中毒へのスピルリナの影響の研究が行われています。
世界中で広がるスピルリナによるヒ素中毒の緩和
バングラデシュ、インド、台湾、チリなど何百万人もの人々が、飲料水などから慢性ヒ素中毒のリスクにさらされています。41人の慢性ヒ素中毒の患者で行った有望な研究では、各家庭に浄水器を設置し、スピルリナ抽出物(250 mg)と亜鉛(2 mg)を1日に2回、16週間の投与でメラノーシスおよび角化症を伴う慢性ヒ素中毒の治療に役立つ可能性を示しました(論文)。④ 抗ウイルス作用
スピルリナの抗ウイルス作用の in vivo 研究(生体を使った研究)はないようですが、抗酸化や抗炎症、免疫力を上げたり、重症化を防いだりなどの報告があり、今後も研究が期待されます。
スピルリナの抗ウイルス作用を示す有効成分は、スピルラン(硫酸化多糖:コンドロイチン、フコイダン、カラギーナンなど)とカルシウムスピルラン(Ca-Sp)です。Ca-Spは単純ヘルペスI型、ヒトサイトメガロウイルス、麻疹、おたふく風邪ウイルス、インフルエンザAウイルス、ヒト免疫不全ウイルス-1ウイルス(HIV-1)などのエンベロープウイルスの複製を阻害するという報告(新型コロナもエンベロープをもつ)は in virto (ラボで研究) であります(論文)。
またスピルリナの抽出物がヒトT細胞、末梢血単核細胞、ランゲルハンス細胞でHIV-1の複製を阻害したという報告があります(論文)。
前回の記事でご紹介しましたが、インターフェロン応答を高めることでマウスのインフルエンザによる死亡率が下がりました(記事)。
⑤ 抗癌作用
動物実験でガンになるリスクが減ったり腫瘍が小さくなるという報告があります(論文, 論文)。また口のガンの研究はよくされており、口腔粘膜下線維症(OSMF)のインド人87人を調べた研究では、毎日1gのスピルリナを1年服用し続けた患者は病変が45%消失しましたが、対象のグループは7%でした。服用を中止すると約半数が再発しました(論文).
⑥ LDL・中性脂肪低下や酸化防止
世界の主な死因は心臓病ですが、悪いコレステロール(LDL)や中性脂肪を下げることは心臓にとって大切なことです。スピルリナは、総コレステロール、LDL、中性脂肪を下げ、しかも良いコレステロール(HDL)を上げます。
25人の2型糖尿病患者が毎日2gのスピルリナを服用すると、コレステロール値などが大幅に改善したという報告があります(論文)。
またコレステロールが高い人が毎日1gのスピルリナで中性脂肪が16.3%、LDLが10.1%低下したことがわかりました(論文)。
他にも、毎日4.5gが高い血圧や中性脂肪を下げた(論文)とか、8gで中性脂肪や炎症性サイトカインが下がった(論文)などの報告があります。
またLDLなどが酸化すると心臓病を始め色々な深刻な病気のリスクが上がります。
スピルリナに含まれる抗酸化物質は、脂質を酸化から守るようです。(論文, 論文 ← オープンアクセス).
37人の2型糖尿病の患者が毎日8gのスピルリナで、血中の抗酸化酵素が増え、酸化的ダメージのマーカーが大幅に減りました(論文 ← オープンアクセス)。
⑦ 血圧低下作用
高血圧は、心臓発作、脳卒中、慢性腎臓病などの多くの深刻な病気の原因となります。毎日4.5gのスピルリナで血圧が下がるという報告があります(論文 ← オープンアクセス).
血圧が下がるのは、スピルリナが血管を拡張させる一酸化窒素(NO)を増やすからと考えられています(論文).
⑧ 血糖値低下作用
スピルリナの血糖値を下げる作用は、メトホルミン(よく利用される糖尿病薬)より優れている場合もあります(論文, 論文, 論文)。
25人の2型糖尿病患者に毎日2gのスピルリナを2ヵ月服用すると、血糖値が低下しました(論文)。
血糖値のマーカーのHbA1c(ヘモグロビンA1c)は、9%から8%に減りましたが、このマーカーが1%減ると、死亡リスクが21%下がるようです(論文)。
⑨ アレルギー性鼻炎の改善
アレルギー性鼻炎は花粉、動物の毛、小麦粉などのアレルゲンによって起きる場合が多いです。スピルリナはアレルギー性鼻炎に効果的であるという証拠があります(論文)。
127人のアレルギー性鼻炎の人が、1日2gで鼻汁、くしゃみ、鼻づまり、かゆみなどの症状が劇的に軽くなったと報告されています(論文)。
⑩ 貧血改善
貧血には色々なタイプがありますが、一番多いのは血液中のヘモグロビン、赤血球が減ることです。高齢者ではよく起こり、衰弱や疲労で悩まされます。
貧血の高齢者40人にスピルリナを服用してもらうと、赤血球のヘモグロビン含有量を増やし、免疫機能が改善しました(論文)。
⑪ 筋力と持久力の改善
運動によって酸化的ダメージが起こると筋肉疲労になります。スピルリナの抗酸化作用で持久力が上がったり、疲れにくくなるという報告があります。(論文, 論文)。
⑫ アンチエイジング
スピルリナは老化を加速する炎症や糖化などを防ぐ効果が期待されています。また抗酸化成分も多いので、ビタミンやミネラルと共に体やミトコンドリアを元気に保ってくれます。スピルリナの豊富なたんぱく質がコラーゲンやエラスチンなど細胞外マトリックスのバランスを維持することで、シワ防止などお肌にも効果が期待されるということです(論文 PDF書類 ← オープンアクセス)。加齢臭が減ったというコメントもネットで見かけましたがどうでしょうか。(使用上の注意)スピルリナでまれに蕁麻疹や下痢など稀に起こることがありますのでご注意ください。重金属などで汚染した水で培養された製品にもご注意ください。(安い製品を求めるのではなく、信頼された会社から購入することをお勧めします。)
アンチエイジングなスーパーフードのスピルリナ、元気で若々しい生活のサポートになってくれそうですね!
スピルリナ製品で気をつけたいこと(副作用)
スピルリナ製品で気をつけたいこと スピルリナでまれにじん麻疹や下痢などがまれに起こることがありますのでご注意ください。重金属などで汚染された水で培養した製品があるとのことです。(安い製品を求めるのではなく、信頼あるサプリ会社から購入することをお勧めします)
参考資料
🔵 10 Health Benefits of Spirulina(Healthline)🔵 Spirulina in Clinical Practice: Evidence-Based Human Applications(Evid Based Complement Alternat Med,2011)
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20余年アメリカで遺伝子治療&幹細胞の研究者をやってきました。
特に遺伝病の間違った遺伝子をピンポイントで修復し、元に戻す技術開発です。
理学博士(Ph.D. )
アメリカ生活で学んだアンチエイジングなど健康に関する知識をシェアしたいと思います。
巷の情報もご紹介、時にはブッた斬ったりしてしまうかもしれません。
またポイントなどの節約術や生活に便利なガジェット(スマホやアプリの紹介)も記事にしますので参考になれば嬉しいです。
皆さん、ご一緒に「究極のヘルシーライフ」を楽しみましょう♪
《もっとくわしいプロフィールをみる》
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