オキシトシン-幸せを感じるホルモンは受容体の種類によって幸福度が変わる!?【2019年最新論文】

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オキシトシンは幸せホルモンとして有名ですが、今回はそれを受け取る分子「受容体」のお話です。

イェール大学が最新研究をプレスリリース(英文)しました。今回それを翻訳しましたのでご紹介します。

ニュースタイトル:結婚の幸せ? 遺伝学が関係するかもしれません

人々は、様々なきっかけ(例えば、趣味の一致や魅力的な外見、共通の価値観など)から恋に落ちるものです。しかし、二人が結婚して一緒に暮らす場合の長期的な幸福は、各々の遺伝子、または配偶者の遺伝子に依存するかもしれないと、イェール大学公衆衛生研究所が唱える新しい学説が提示されました。

「PLOS ONE」に掲載されたこの研究では、社会的な関わりに働くホルモンであるオキシトシンに影響を及ぼす遺伝的変異との関係の調査が為されました。

筆頭著者であるエール公衆衛生大学院のジョアン・モナン准教授の率いる研究チームが、37歳から90歳までの178組の夫婦について調査を行い、彼らが感じる結婚の安定度と満足度についての調査結果と遺伝子型を調べるために唾液サンプルを提供してもらいました。

研究チームは少なくともパートナーの一方が、オキシトシン受容体遺伝子に GG 遺伝子型として知られる遺伝的変異を持っていた場合、その夫婦からは結婚において極めて大きな夫婦満足度と安心感が報告されました。これらの夫婦はそれとは異なる遺伝子型を持つ他の夫婦と比較してより大きな満足度を示していました。

オキシトシン受容体(OXTR rs53576)の多型 については、感情面の安定性、共感性、社会性といった人格特性に関連付けて以前から研究されていましたが、この新学説では先ずは婚姻の満足度における役割を検討すべきであると考えられています。

モナン准教授は「緊密な関係をどのように感じるかは、時間をかけてパートナーと共有した経験よりもOXTR rs53576 の影響を受けていることをこの調査は示します」とし、「結婚において、人は自分とパートナーの遺伝的素因によって影響を受けています」と述べています。

この研究グループはこの調査結果から、GG 遺伝子型を持つ人々は婚姻関係に対する不安型愛着 (Anxious attachment) が比較的に少ないことを発見しました。 不安型愛着とはモナン助教授によれば、身近な家族やパートナーとの過去の経験から一生を通じて発展する関係不安(relationship insecurity)のスタイルであり、自己価値の低下、拒絶反応の感度の高さ、承認を求める行動と関連しています。

研究グループは、本人のGG遺伝子型とそのパートナーのGG遺伝子型はともに婚姻関係満足度分散の約4%を占めているとしました。この割合は小さいものですが、夫婦間に表われる他の遺伝的および環境的要因に比してかなり大きな影響です。

モナン助教授によれば、この研究結果は夫婦の遺伝子型がどのように相互作用し、時間の経過とともに関係に影響を与えるかを調べる研究につながるものであって、この研究のもう一つの重要な将来の方向性は、OXTR rs53576 変異体が特定の否定的または肯定的な人間関係の経験とどのように相互作用して時間の経過とともに関係の質に影響を与えるかを、夫婦に代表的な多くの例を取り上げて調べることである、とのことです。

引用:
🔵 英語ニュース:Happy in marriage? Genetics may play a roleYale University ) February 28, 2019

🔵 原著論文:Associations between spouses’ oxytocin receptor gene polymorphism, attachment security, and marital satisfaction (ProsOne) February 28, 2019

Seigoの追記

オキシトシン受容体の遺伝子は幸福度にかなり影響しているようですね。

GG型だと相手にも自分にも満足する傾向があるらしいです。
GG型人は愛情深くて信用できる人、共感能力が高いらしいです。

オキシトシン受容体のイントロン3のrs53576に位置するポリモルフィズムはGG型、AG型、AA型があって、AG型、AA型の人はポジティブじゃないらしいです。〔PNAS(2011)の論文〕

また2011年のPNASの論文には、GG型の人を全くの他人が観察した場合、とても社会性があるという印象を持つそうです。また逆に、A型を持つ人は観察者が信頼できない人という印象を持つそうです。また、A型は自閉症リスクが高くなる可能性を示した研究もあります。
これは遺伝子のごくわずかな相違でも社会的な行動面に、目に見えるような形で影響を及ぼしうることを示した初めての発見だと思われます。

私はきっとA型を持っているでしょう。社交的ではないし。
遺伝子治療してGG型に変えようかな〜 😀

ところでオキシトシンはペットを飼ったりスキンシップでよく分泌して幸せを感じるホルモンなので、愛情ホルモンとか幸せホルモンとか言わますし、またそれによって若返るそうで若返りホルモンとも言われますね。
ハグとかヨシヨシすると子供もいい子に育つそうです。

皆さんも家族やペットとハグして、若々しくハッピーに過ごしましょう!

参考資料
〔PNAS(2011)の論文〕の日本語レビュー:「親切遺伝子」の有無、初対面でも判別可能 研究(AFP)

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