ハンチントン病の発症に関係のある腸内細菌が判明!? (2020年最新論文)
新型コロナウイルスになぜ感染しやすい人としにくい人がいるかの、最も大切なファクターの1つが腸内細菌の善玉菌の割合だと私は考えています。
なぜ駆虫薬を飲むと新型コロナに抵抗性をもつことができるのか? それは寄生虫を退治することになりますが、それではなぜ駆虫薬で新型コロナにかかりにくくなるか理由が分かるでしょうか?
私はそれは駆虫薬によって悪玉菌が減り腸内細菌のバランスが整うためだと考えています。
よって腸内細菌を整えることが最も大切なファクターの1つになるのです。
またさらに、腸内細菌はガンや脳疾患とも関係しているという研究データが出てきています。
今回は精神疾患の1つであるハンチントン病も腸内細菌の乱れが原因である可能性が高いという研究結果が発表されました。
今回はどの種類の腸内細菌がその恐ろしい病と関係があったのかご一緒にみていきましょう。
情報源はモナシュ大学(オーストラリア)のプレスリリースとその原著論文(オープンアクセス)です。(リンクを下に貼っておきます)
この記事のもくじ
世界初の研究により、ハンチントン病における腸内細菌の変化が明らかになり、薬物標的となる可能性
研究の要約:
遺伝病であるハンチントン舞踏病(HD)特有の遺伝子を持っている人と持ってない人では腸内細菌の種類や数が違うことがわかりました。
特にユーバクテリウム菌( Eubacterium hallii )というグルコース糖発酵で酪酸などを産生する有用菌が少ないほど運動障害が重いという相関関係がありました。これはHDにおける腸内フローラを調べた初の臨床研究です。
ハンチントン病(HD)とは?
ハンチントン病は、手や足が勝手に踊っているような動き(不随意運動)や認知症やうつなどの精神症状や人格の変化が起こる進行性の神経疾患です。大脳の中の方にある線条体の神経細胞が死んでしまうことで起こります。運動障害が悪化していき、認知機能の低下から最終的には認知症に進行します。うつ病は健常な人よりもハンチントン病の患者には5〜10倍多いと推定されています。治療法はなく、症状が現れると平均余命は10〜25年短くなり、進行すれば生活の質に深刻な影響となります。
ハンチントン病(HD)の原因
原因は遺伝で、第4染色体短腕(4p16.3領域)にあるHTT(ハンチンチン)遺伝子の中のCAGの繰り返し配列が36回以上と長くなってしまうことです。この配列が長いほど若く発症するとも言われています。正常ならば35回以下です。CAGはグルタミンをコードするので、ポリグルタミン鎖ができ、その毒性によって起こるとされています。どちらかの親にHD遺伝子があれば、子供に50%の確立で遺伝します。調査方法
この研究は42人のHD遺伝子の人(症状のある人19人、症状のない人23人)と、遺伝子変異を持たない健常者36人(コントロール)を対象に調査を行いました。一連の認知テストと糞便サンプルの16S V3-V4 rRNAシーケンスの結果から腸内細菌がHD遺伝子のある人と異なるかどうかを分析しました。結果
男女で腸内細菌の差がありましたが、特に男性はEuryarchaeota(ユーリ古細菌門)、Firmicutes(フィルミクテス門) 、 Verrucomicrobia(ウェルコミクロビウム門) で違いが見られました。
また、 Acidaminococcaceae(ネガティウィクテス綱)、 Akkermansiaceae(アッケルマンシア属), Bacteroidaceae(バクテロイデス属)、 Bifidobacteriaceae(ビフィドバクテリウム属)、Christensenellaceae(クリステンセネラ)、 Clostridiaceae(クロストリジウム科)、 Coriobacteriaceae(コリオバクテリウム綱)、Eggerthellaceae(コリオバクテリウム綱)、 Enterobacteriaceae(エンテロバクター科)、Erysipelotrichaceae(エリュシペロトリクス綱)、Flavobacteriaceae(フラボバクテリウム科)、 Lachnospiraceae(ラクノスピラ科)、 Methanobacteriaceae(メタノバクテリア科)、 Peptococcaceae(ペプトコッカス科)、 Peptostreptococcaceae(ペプトストレプトコッカス科)、 Rikenellaceae でも有意に違いが認められました。女性はそんなに差はありませんでした。特にユーバクテリウム菌(Eubacterium hallii)が少ないことと、運動能力、認知力の悪化、発症初期の推定と関連することがわかりました。
他の病と腸内細菌の関係
🔵 ハンチントン病で見られる体重減少、栄養障害などの腸機能障害からも、腸内細菌との関連が示唆されます。🔵 パーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症などの神経変性疾患でも腸内細菌との関連が報告されています。
研究者によれば、100兆〜1000兆個もの腸内細菌(人の細胞は60兆個で腸内細菌はずっと多い)は「脳に話しかける」ことが知られていますが、この腸内細菌の変化はうつ病や認知症などのHDの症状に影響を与えているかもしれません。
HDの腸の測定は、運動障害や思考障害などの疾患の症状に関連していました。腸と脳は密接に連絡していることが知られており、つまりHDは脳だけの病気ではないことを示唆しています。
これらの調査結果は、HDにおける腸の役割と将来の治療、または疾患の進行を調べるための興味深い情報を提供しています。
この研究は、フローリー神経科学研究所とモナシュ大学のターナー脳神経精神研究所のコラボで実施され、神経心理学博士候補のCory Wasser氏とモナシュ大学臨床認知神経科学研究所所長のJulie Stout教授が主導し、Brain Communications 誌に掲載され ました。
ーーー 翻訳ここまで ーーー
引用ニュース & 原著論文
🔵 モナシュ大学(オーストラリア)プレスリリース:World first study reveals altered gut bacteria in Huntington’s Disease which may be a potential drug target in future studies.(Monash University)05 August 2020🔵 原著論文(オープンアクセス) : Gut dysbiosis in Huntington’s disease: associations between gut microbiota, cognitive performance and clinical outcomes.
Brain Communications, 2020 PDF書類 ← このPDF書類から論文の全文が無料で読めます 😄
🔵 参考資料:ハンチントン病とともに生きる(PDF書類), ハンチントン病研究グループ, 2013年6月
Seigoの追記
原著論文ではグラフィカル・アブストラクトがありましたので、その要点を以下に記します。ハンチントン病の患者にみられた腸内細菌の特徴については
🔵 腸の多様性の低下と均一性の低下
🔵 腸内フローラの種類の違い
🔵 腸の機能経路と酵素の違い
続いてハンチントン病の患者にはユーバクテリウム菌( Eubacterium hallii ) が特に少ないことが判明しましたが、その菌が少ないと以下のようなことに影響することが分かりました。
🔵 認知能力の低下
🔵 運動徴候の低下
🔵 発症前のハンチントン病の診断までの時間
また1つ腸内細菌の大切さが分かりましたね。この調子でいくと腸内細菌を整えるだけで、精神疾患もガンもそして新型コロナにもかかりにくくなってしまうかも知れませんね 😄
20余年アメリカで遺伝子治療&幹細胞の研究者をやってきました。
特に遺伝病の間違った遺伝子をピンポイントで修復し、元に戻す技術開発です。
理学博士(Ph.D. )
アメリカ生活で学んだアンチエイジングなど健康に関する知識をシェアしたいと思います。
巷の情報もご紹介、時にはブッた斬ったりしてしまうかもしれません。
またポイントなどの節約術や生活に便利なガジェット(スマホやアプリの紹介)も記事にしますので参考になれば嬉しいです。
皆さん、ご一緒に「究極のヘルシーライフ」を楽しみましょう♪
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