食品添加物の危険性がまた発覚! インフルエンザへの抵抗力が低下!? (2019年最新論文)
ニュース/レビュー
今回は食品添加物を摂ることによってインフルエンザへの抵抗力が弱まるという論文が発表されましたのでご報告いたします。
ミシガン州立大学がプレスリリースを出し、そのレビュー記事(英文)をMedicalxpressが出しましたので、それを翻訳したものをご紹介します。
ニュースタイトル「よく使用されている食品添加物はインフルエンザに対する防御力を弱める」
マウスで行われた研究では、冷凍肉やクラッカー、揚げ物などの多くの食品に含まれる食品添加物 tert-ブチルヒドロキノン(tBHQ)が、インフルエンザに対する免疫反応を抑制することが示唆されました。さらにtBHQがインフルエンザの重症化を高めたり、免疫系の重要な要素であるT細胞に対してインフルエンザワクチンの効力を弱めるという証拠も見つかりました。
研究者たちは、この関係はなぜ季節性インフルエンザが世界的に大きな健康の脅威をもたらし続けているかを説明するのに役立つかもしれないと言います。世界中で推定29万〜65万人が毎年インフルエンザによる呼吸器障害で死亡しています。
ミシガン州立大学博士課程4年のロバート・フリーボーン(Robert Freeborn)博士候補は、「私たちの研究から、tBHQの入った餌を食べたマウスがインフルエンザ(感冒)感染に弱い免疫反応を示したことが確認されました」とし、「マウスモデルで tBHQ はヘルパーT細胞とキラーT細胞の2種類のT細胞の機能を抑制しました。最終的にインフルエンザ感染によって深刻な症状を引き起こしました。」と述べています。
フリーボーン博士候補は、フロリダ州オーランドで2019年4月6〜9日に開催された実験生物学会で米国薬理学会および実験療法学会年次総会でこの研究を発表する予定です。
人がインフルエンザウイルスに感染すると、ヘルパーT細胞が免疫システムの他の部分を指揮して適切に反応するように調整するように助けます。一方、キラーT細胞は感染した細胞を探し出し、それらを体から排除します。実験から、tBHQを加えた餌を食べたマウスはヘルパーT細胞とキラーT細胞共に活性化が遅れ、ウイルスの除去が遅れるという結果になることが見出されました。
フリーボーン博士候補は、「現在、有力な仮説は免疫系を抑制することが知られているいくつかのタンパク質を亢進することによって、tBHQがこれらの効果を引き起こしてしまうということです」とし、「これらのタンパク質、CTLA-4およびIL-10の発現は、我々が研究室で使っている2つのモデルにおいて亢進されました。しかし、これらの抑制タンパク質の亢進がインフルエンザ感染中にtBHQの影響で実際に起こったのかどうかを確認するにはさらなる研究が必要です」と述べています。
さらに、そのマウスが他のインフルエンザ関連株に後で再び感染すると、tBHQを食べたマウスは病気が長引き、体重がより減ってしまいました。これはtBHQが2回目の感染と戦うために免疫系を刺激する「記憶応答」を悪くしたことを示唆しています。記憶応答はワクチンがどう働くかの中心になるので、この機能の障害はインフルエンザワクチンの効力を低下させる可能性があります。
T細胞はさまざまな疾患に対する免疫応答に関わっているので、tBHQは他の感染症にも影響するかもしれないとフリーボン博士候補は加えました。
tBHQは腐らないようにするための添加剤で、食品中の最大許容濃度は200ppmです。人々がtBHQにどれくらい晒されているかはわかりませんが、模範的な食事に基づく推定によると、ある米国の消費者は、FAO/WHO合同食品添加物専門家会議によって提案されたtBHQの最大許容量のほぼ2倍を摂取していること、そして世界の一部の人々は最大許容量の11倍まで摂取していることが示唆されています。フリーボーン博士候補の研究におけるtBHQレベルは人間の暴露推定値内です。
フリーボーン博士候補は、「tBHQは食品ラベルの成分表に明記されていないので、摂取量を知るのが困難です」と述べ、揚げ物の油や調理によく使用されるということです。「tBHQ曝露を制限する最善の方法は、食べ物を選ぶことについてよく認識しておくことです。tBHQは脂肪を安定させるためによく使用されるため、低脂肪食と加工スナックを減らせばtBHQの低減になるでしょう。」と述べています。
フリーボーン博士候補は、毎年インフルエンザの予防接種を受けることが、感染を防ぐためにはベストであると強調します。ワクチン接種後に風邪にかかってしまうこともありますが、予防接種を受けることで病気の期間や重症度が大幅に軽減されることが証明されています。
マウスの研究を生かして、tBHQがT細胞活性にどのように影響するかをさらに調べるためにヒトの血液サンプルを使って研究する計画です。
ーーー 翻訳ここまで ーーー
引用ニュース & 原著論文
🔵 英語レビュー:Common food additive may weaken defenses against influenza(Medicalxpress)🔵 大学ニュース:Food additive may influence how well flu vaccines work (MSU Today)
🔵 原著論文 :The Immune Response to Influenza is Suppressed by the Synthetic Food Additive and Nrf2 Activator, tert-butylhydroquinone (tBHQ) (Experimental Biology 2019 )
Seigoの追記
tert-ブチルヒドロキノン(tBHQ)は酸化防止剤で、日本では認可されていません。アメリカなど海外では使用されているようです。日本では使っていないはずではありますが、ある大手の日本のドーナツ店(ミスタードーナツ)が販売する中国製肉まんにtBHQが混入していることが発覚しましたが、社長がその混入させた業者に口止め料6300万円を支払いそのまま販売を継続していたことが判明しました。
参考資料:
– コンプライアンス関連事件(ウェブリブログ)
– ミスタードーナツ(ウィキペディア)
このように日本でも輸入食品にtBHQが検出されることがありますので注意が必要ですし、海外旅行をすればいつでもそれを口にする危険にさらされるわけですので、このことを知っておくのは無駄にはならないでしょう。
この研究では、tBHQでインフルエンザワクチンの効きが悪くなったり、インフルエンザが治りにくくなったりするという結果がマウスで出たわけですね。
ということは、揚げ物などよく食べるアメリカ人はrBHQのせいで、ワクチンが効かなくなっているのかもしれないし、インフルも治りにくいということでしょうか・・・早く規制してほしいものです。
20余年アメリカで遺伝子治療&幹細胞の研究者をやってきました。
特に遺伝病の間違った遺伝子をピンポイントで修復し、元に戻す技術開発です。
理学博士(Ph.D. )
アメリカ生活で学んだアンチエイジングなど健康に関する知識をシェアしたいと思います。
巷の情報もご紹介、時にはブッた斬ったりしてしまうかもしれません。
またポイントなどの節約術や生活に便利なガジェット(スマホやアプリの紹介)も記事にしますので参考になれば嬉しいです。
皆さん、ご一緒に「究極のヘルシーライフ」を楽しみましょう♪
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