毎日揚げ物を食べると死亡リスクが13%増加! (米国で初の10万人規模の追跡調査結果発表)

環境&食糧問題

米国で揚げ物を毎日食べると死亡リスクが増加するという報告がありましたのでご紹介致します。

論文は英語ですがCNNが日本語でレビューしてみましたので、まずそれを貼っておきます。その後に足りない部分を補足しました。

米国の10万人の女性を対象にした調査結果

フライドチキンを1日1個、死亡リスク13%増加 米研究

(CNN) 揚げた鶏肉や魚を定期的に食べる人は、がんを除いた死亡リスクが高まるとの調査結果が明らかになった。閉経後の女性を対象とした調査が米国で行われた。

医学誌BMJで発表された調査結果によれば、1日あたり1個以上のフライドチキンを食べる女性は全く揚げ物を食べない女性と比較すると死亡リスクが13%高かったという。

揚げた魚や貝を毎日食べる女性の場合、死亡リスクが7%高まるという。

報告書の執筆者によれば、揚げ物は世界で広く食べられているものの、長期的な健康に対する影響はほとんどわかっていないという。同執筆者によれば、こうした揚げ物と死亡率との関係に注目した調査は米国では初めてだという。

2017年の研究では、フライドポテトを毎週2回以上食べる人は食べない人よりも早期に死亡するリスクが2倍になるとの可能性が示唆されていた。

今回の研究は、全米40カ所の病院で、1993年から98年にかけて、50歳から79歳の女性約10万7000人を対象に食生活を調べた。その後、平均18年にわたって追跡調査を行った。研究に参加した女性は122種類の食料品の摂取量などについて質問に答えた。教育水準や収入、エネルギー消費、食事の質など死亡率に関係する要素も考慮した。

ただし、執筆者によれば、世界各地で揚げ方が違ったり使う油が異なったりするため、今回の研究結果が世界的に適応されるわけではないという。

CNNニュースより

この研究の原著論文(無料で全文がご覧になれます。英分)

Association of fried food consumption with all cause, cardiovascular, and cancer mortality: prospective cohort study.
BMJ. 2019 Jan 23;364:k5420. doi: 10.1136/bmj.k5420.
Sun Y, Liu B, Snetselaar LG, Robinson JG, Wallace RB, Peterson LL, Bao W

PDFバージョン(ジャーナルと同じ形式)も無料でご覧になれ、ダウンロードもできます 😀

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まとめ

原著論文を見たいただくとわかりますがCNNのニュースでは抜けているところがありますので、その部分を補充するようにまとめさせていただきました。

調査の仕方

🔵 対象者:50〜79歳の女性総人数

🔵 揚げ物の摂取について次の3種類に分類して調査
① フライドチキン
② 魚・貝のフライ
③ その他のフライ(チャーハン、フライドポテト、ポテトチップなど)
(CNNのニュースでは3番目のカテゴリーに対しては言及なし)

🔵 総人数1,914,691人(平均追跡期間17.9年)中:
– 31,558人の死亡
– 心血管疾患による死亡9,320人
– 癌による死亡8358人
– およびその他の原因による死亡13,880人

どんな人が揚げ物を多く食べていたか?

揚げ物の総消費量が多い女性は次のような傾向があった:
🔴 より若い
🔴 白人でない
🔴 教育が少ない
🔴 収入が少ない
🔴 喫煙者である
🔴 身体活動レベルが低い
🔴 より多くのコーヒーを飲む
🔴 総エネルギー摂取量が多い
🔴 食事の質が低い

🔴 揚げ物の総消費量が多い女性は、炭水化物やタンパク質よりも脂肪をがより大きな割合を占めた。彼女らはより少ない野菜、果物、全粒穀物、そしてより多くの砂糖入り飲料、ナッツ類、豆類、赤身と加工肉、トランス脂肪、多価不飽和脂肪酸、そしてナトリウム(塩分)を消費する傾向がありました。

🔴 揚げ物を食べるほど2型糖尿病や心血管疾患のリスクを増やすとのこと。

アメリカでは25~36%の成人が毎日ファーストフードなどで揚げ物をしょくするとのこと。

考察と参考文献

食品を揚げこと食物の水分を失なわせ、脂肪の吸収を促します(31, 32)。これは食物のエネルギー密度を高めるでしょう。フライはまた、食品をより芳香性にして食感に訴えかけることによって過剰なエネルギー摂取をもたらし、それによって食品の嗜好性を改善する可能性がある(2, 33)。

さらに、揚げることは酸化および水素添加の過程を通じて油を劣化させ、リノール酸などの不飽和脂肪酸の損失をもたらし、トランスリノール酸などの対応するトランス脂肪酸の増加につながる(1,34)。

もう1つの可能性は、揚げ物は高レベルの食事性糖化最終産物の生成を促し(35, 36)、これは主に酸化ストレスと炎症の誘発を通して心血管疾患の発症に重要な役割を果たす可能性がある(37〜39)。

さらに高温で揚げるとフライドポテトやポテトチップスなどの一部の食品ではアクリルアミドが生成される可能性があります。食事中のアクリルアミドは心血管系、および癌による死亡のリスクを上げる因子として関連しています(39, 42)。

食用油脂を再利用すると、アテローム性動脈硬化症の病因に関与する低密度リポタンパク質(LDL)コレステロール (43) の活性を阻害する酵素であるパラオキソナーゼの活性を阻害する可能性があります (44) 。

最後に、フライドチキンやフライドフィッシュのような揚げ物の中には、通常ナトリウム(塩分)を多く含む超加工食品があり、それがこれらの食品に関連した死亡率の増加に部分的に関与する可能性があります (45) 。

一般的な揚げ物はトウモロコシ油を使用しています。いくつかの研究では、オリーブオイルの摂取が全体的および心血管系の死亡リスクの減少と関連していることが示されました(29, 30)。スペインの揚げ物に使用される油は主にオリーブオイルとひまわり油です。

参考文献

29 Guasch-Ferré M, Hu FB, Martínez-González MA, et al. Olive oil intake and risk of cardiovascular disease and mortality in the PREDIMED Study. BMC Med 2014;12:78. doi:10.1186/1741- 7015-12-78

30 Buckland G, Mayén AL, Agudo A, et al. Olive oil intake and mortality within the Spanish population (EPIC-Spain). Am J Clin Nutr 2012;96:142-9. doi:10.3945/ajcn.111.024216

35 Goldberg T, Cai W, Peppa M, et al. Advanced glycoxidation end products in commonly consumed foods. J Am Diet Assoc 2004;104:1287-91. doi:10.1016/j.jada.2004.05.214

36 Dybing E, Sanner T. Risk assessment of acrylamide in foods. Toxicol Sci 2003;75:7-15. doi:10.1093/toxsci/kfg165

37 Peppa M, Raptis SA. Advanced glycation end products and cardiovascular disease. Curr Diabetes Rev 2008;4:92-100. doi:10.2174/157339908784220732

38 Hegab Z, Gibbons S, Neyses L, Mamas MA. Role of advanced glycation end products in cardiovascular disease. World J Cardiol 2012;4:90-102. doi:10.4330/wjc.v4.i4.90

39 Huang M, Jiao J, Wang J, Chen X, Zhang Y. Associations of hemoglobin biomarker levels of acrylamide and all-cause and cardiovascular disease mortality among U.S. adults: National Health and Nutrition Examination Survey 2003-2006. Environ Pollut 2018;238:852-8. doi:10.1016/j.envpol.2018.03.109

42 Liu ZM, Tse LA, Ho SC, et al. Dietary acrylamide exposure was associated with increased cancer mortality in Chinese elderly men and women: a 11-year prospective study of Mr. and Ms. OS Hong Kong. J Cancer Res Clin Oncol 2017;143:2317-26. doi:10.1007/ s00432-017-2477-4

43 Sutherland WH, Walker RJ, de Jong SA, van Rij AM, Phillips V, Walker HL. Reduced postprandial serum paraoxonase activity a er a meal rich in used cooking fat. Arterioscler Thromb Vasc Biol 1999;19:1340-7. doi:10.1161/01.ATV.19.5.1340

44 Maiolino G, Rossitto G, Caielli P, Bisogni V, Rossi GP, Calò LA. The role of oxidized low-density lipoproteins in atherosclerosis: the myths and the facts. Mediators Inflamm 2013;2013:714653. doi:10.1155/2013/714653

45 Cook NR, Appel LJ, Whelton PK. Sodium Intake and All-Cause Mortality Over 20 Years in the Trials of Hypertension Prevention. J Am Coll Cardiol 2016;68:1609-17. doi:10.1016/j.jacc.2016.07.745

⭐️ ⭐️ ⭐️

フライにすると油を余分にとることになるし、しかも何度か使った油だと酸化した油を体に入れることになります。

テレビではお年寄りはお肉を食べている人が多いので良いイメージをつけたり、コンビニでは揚げ物が安く売られておりついつい手が出がちですが、この報告をよくご覧になって、食生活をいま一度見直すきっかけになれば幸いです。

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