若返り物質NADがどうして老化とともに減ってしまうか判明! (最新論文2報) 老化防止サプリもご紹介
ニュース/レビュー
若返りに関する報告が立て続けに出ました〜
アンチエイジングおたくならご存知のNADがなぜ老化とともに減ってしまうのかが判明しました〜!
それから説明する前にまず基本的な事から
人はなぜ老化するのでしょうか?
原因というか仮説は3つあって、そこから説明していきます!この記事のもくじ
老化の原因(3つ+1つ)
1つはストレスや食事などによる体の「酸化」です。体がさびちゃうみたいなものですね。
2つ目は糖分をとることなどによる体の「糖化」。
現代の生活では糖分がちょっと多すぎてしまいがちです。すると糖分はメイラード反応(糖化)といって体の温かみでタンパク質や脂肪などとくっついてAGEs (Advanced Glycation End Products; エイジと読む) という老化物質を作り出して増えてしまいます。
3つ目は慢性の「炎症」です。
この炎症は体内で起こる全くわからないような軽いものです。この「酸化」「糖化」「炎症」が蓄積していってお肌がしわしわになったり、筋肉が減ったり、内臓が衰えてしまいます。
それともう1つあります。それはミトコンドリアの老化。
ミトコンドリアは私たちの細胞の一つ一つに住みついて細胞小器官として私たちのエネルギー(ATP; アデノシン3リン酸)を作ってくれているとても大切な存在です。ミトコンドリアが元気がなくなってしまうとエネルギーが足りなくなって老化してしまうようです。ミトコンドリアの老化の原因もいくつかありますが、酸化も原因の一つです。
NADとは?
ミトコンドリアがエネルギーを作るためにはNAD(Nicotinamide Adenine Dinucleotide、ニコチンアミノアデニンジヌクレオチド)という電子伝達体であり実質的には補酵素の役目を持っています。NAD はサーチュイン遺伝子を活性化もします。・ビタミンB3(ナイアシン)からNAD ができます。
・またNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)はNADの前駆体です。
・酸化型 (NAD+) および還元型 (NADH) の2つの状態がありますので、科学論文ではNAD+と表記されることが多いです。
NADは歳を取ると減ってしまうことが知られ、NAD関係のこれらの物質をサプリメントとして摂取するとマウスの寿命がちょっと伸びたという研究があり、若返り物質として脚光を浴びています。
さて前置きが長くなりましたが、今回はNAD+の低下についての論文2つが Nature Metabolism 誌 11月16日に掲載されましたので、和訳して内容をご紹介します。
1報目:免疫細胞に表面上にあるCD38の細胞外酵素は老化とともに増加しNAD+およびNMNレベルを調節している
NAD+が減ると老化で起こる代謝機能障害に関連性はありますが、NAD+の低下はCD38(細胞表面上にある多機能酵素)を無くすことで部分的に防げるということが明らかになりました。ただし、CD38が老化においてどのように調節されているか、酵素活性がNAD+ホメオスタシスにどのように影響しているかは分かっていませんでした。この研究では老化における白い脂肪組織(WAT)と肝臓のCD38の増加が、CD38+免疫細胞が増えることとの関連性を初めて示しています。
炎症↑➡️ CD38↑➡️ NAD↓
炎症によってCD38は増え、NAD+を減らすことが確認されました。さらに老化細胞でWATのCD38+細胞を増やします。老化細胞除去 ➡️ CD38↓➡️ NAD↑
老化細胞などを取り除くとCD38が減り、NADが部分的に増えることが確認されました。CD38の細胞外酵素をブロック ➡️ NMN↑ ➡️ NAD↑
そして極めつけの結果はこれです。CD38の細胞外酵素をブロックすると、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)依存プロセスを通じてNAD+を増やすことができるということです。
この発見は老化によって誘発された炎症が免疫細胞でCD38を増やし、その細胞外酵素の活性を通じてNMNとNAD+を低下させることを示しています。
参考文献:CD38 ecto-enzyme in immune cells is induced during aging and regulates NAD+ and NMN levels
Nature Metabolism(2020)。DOI:10.1038 / s42255-020-00298-z
2報目:老化細胞はCD38+マクロファージの活性化を介して老化組織のNAD+低下を促進する
NADが減ると、老化や老化に関係する病気が起こりやすくなります。ただしこの低下のメカニズムはわかっていません。脂肪や肝臓にいるM1様マクロファージ↑➡️ CD38↑➡️ NAD↓
ここでは炎症誘発性のM1様マクロファージが、老化と炎症に対する急性反応によって、内臓の白色脂肪組織と肝臓などの代謝組織で増えますが、ナイーブまたはM2マクロファージは増えないことを示します。M1様マクロファージは、NAD消費酵素であるCD38を増やし、CD38依存性NADase活性を強め、結果組織のNADを低下させます。脂肪や肝臓でSASP↑➡️ CD38↑➡️ NAD↓
また老化細胞は加齢において内臓白色脂肪組織と肝臓に徐々に蓄積し、老化細胞によって分泌される炎症性サイトカイン(老化関連分泌表現型、SASP)がマクロファージの増殖とCD38の発現を誘導することもわかりました。参考文献:Senescent cells promote tissue NAD+ decline during ageing via the activation of CD38+ macrophages.
Nature Metabolism(2020), DOI:10.1038 / s42255-020-00305-3
seigoの追記
これらの論文では、結局CD38が減ればNADは上がり、CD38は増えればNADは下がると言ってます。CD38とは、CD4⁺、CD8⁺、Bリンパ球、ナチュラルキラー細胞などの免疫細胞の表面にある膜タンパク質で、環状ADPリボースヒドロラーゼADPリボシルシクラーゼ1、cADPrヒドロラーゼ1といういつかの酵素(多機能酵素)としての働きがあります。
リンパ球が増えるようにしたり、カルシウムシグナリングなどのシグナル伝達や、細胞接着、リンパ球のアポトーシスなどに関係しているそうです。そしてこの酵素はNADを使うので、当然NADは減ります。NADは減らしてしまいますが、一応なくてはならない存在ですね。CD38を無くした (ノックアウト) マウスは、メスは子育てできなくなり、雄はメスを認識して記憶する能力が悪くなるそうで、オキシトシンの放出に必要な物質であることもわかっています(参考資料)。
でも炎症によってCD38が増えてしまい、それでNADが減ってしまうわけですから、炎症の起こらない生活を心がけ、そのような食生活(炎症を起こす砂糖や人工甘味料を別の自然な甘味料に変えるなど)にしていくことが大切です。NAD関連のサプリで補うことも大切かもしれません。
それから白い脂肪ですが(これはお腹のあたりにつく脂肪)、体温を保ったり、エネルギーを蓄えたりと重要な働きがあるので適度に必要です。しかし増えすぎてしまうと、アディポネクチンなど炎症を抑える大切な物質の分泌が減る上に、TNF-α、MCP-1などの炎症を増やしてしまう物質が分泌されたり、アンジオテンシンIIが増えて血圧が上がったりと老化が進んでしまいかねないので、白い脂肪を増やしすぎないようにすること(適度な運動&ストレッチ)もアンチエイジングにとっては大切でしょう。(参考資料)
今回の素晴らしい結果!
今回の論文で感動したのはこれです 👇CD38の細胞外酵素をブロックすると、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)依存プロセスを通じてNAD+を増やすことができるということです。
これは細胞の中ではなく外からの働きかけでNAD+を増やすことができることを示しています。これは新しい薬やもっと効果的なサプリの誕生が予想されます。
これからのキーワードはCD38を外部からどのように制御するかになってくるかも知れません!
しかもターゲットもしぼられていて、脂肪と肝臓内にいるM1様マクロファージ上のCD38です。
(他のCD38を抑えてしまうとリンパ球の数に影響するかもしれないので、注意が必要でしょう)
ネットから手に入るNAD関連サプリ
これらサプリの作用は人によって違うようです。またサプリ会社によって製法や濃度が違いますので、それによる影響もあるようです。これからも研究の動向に注目していきましょう!NMN、2ヵ所
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20余年アメリカで遺伝子治療&幹細胞の研究者をやってきました。
特に遺伝病の間違った遺伝子をピンポイントで修復し、元に戻す技術開発です。
理学博士(Ph.D. )
アメリカ生活で学んだアンチエイジングなど健康に関する知識をシェアしたいと思います。
巷の情報もご紹介、時にはブッた斬ったりしてしまうかもしれません。
またポイントなどの節約術や生活に便利なガジェット(スマホやアプリの紹介)も記事にしますので参考になれば嬉しいです。
皆さん、ご一緒に「究極のヘルシーライフ」を楽しみましょう♪
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