ビタミンCとごく微量の抗生物質が癌幹細胞を90%抑制する!? (2019年最新論文)
今回はビタミンCと2つの抗生物質によってがん幹細胞の増殖を90%抑えられる可能性があるという研究報告です。
イギリスのサルフォード大学がその研究結果を論文に発表し、またそのレビュー記事(英文)を大学サイトにリリースしました。今回はそのレビュー記事を翻訳しましたのでご紹介します。(翻訳のプロではないので読みづらかったらすみません m(_ _)m )
この発表された論文はオープンアクセスですので、どなたでも無料で論文の全文が閲覧できます!(英語ですが・・・😅 )
→ 最近はGoogle翻訳の性能が良くなって読みやすい日本語に和訳をしてくれますので(完璧ではないですが)ご活用下さい。(Google翻訳はこちら)
ニュースタイトル「ビタミンCカクテルはがん細胞の「運動」を阻止する」
イギリスのサルフォードの研究者らは、がん幹細胞を「エンジンを持たない車」のような不完全な形で再生させる方法を見つけました。サルフォード大学のMichael Lisanti教授のチームは、細胞からエネルギー源のない新しい細胞を生み出す方法に成功しました。
「エネルギーを生成できないので増殖できません。大規模な不良品生産工場を作るようなものです」
この結果は、安価なFDA承認薬と一般的なビタミンを使用して得られたものです。
ビタミンCと、2種の標準的な抗生物質、ドキシサイクリンとアジスロマイシンの「トリプルコンビネーション」は実験室での試験で、90%以上幹細胞増殖を減らすことができました。
科学者らは、今週の Aging 誌に掲載された結果に驚いたと述べています。
がん幹細胞は、化学療法抵抗性の根本的原因であると考えられており、進行した疾患を有する患者における治療の失敗や、腫瘍の再発および転移(再発および二次がん)の引き金となります。
サルフォード大学のチームの研究は、がん幹細胞の、細胞の生存と繁栄を可能にする過程であるエネルギー論に焦点を当て、それらの代謝を破壊することを目的としています。
Lisanti教授とFederica Sotgia教授は、2018年に、病院患者のがん再発に対する抗生物質ドキシサイクリンの試験を実施し、患者のがん幹細胞を40%減少させ、90%近い奏効率を得ました。
トランスレーショナル医療長のLisanti教授は、次のように述べています。
「40%の減少という結果はなかなか良好なものですが、我々は残りの60%に興味を持ちました。ドキシサイクリンの効果を最大にする、他の薬との組み合わせを模索しました。ドキシサイクリンが幹細胞内のミトコンドリアを標的とするのに有効であることが分かったので、アジスロマイシンとの組み合わせが有効であると考えられ、さらに効果的な方法を探求したのです」
実験の結果、彼らは2つの抗生物質が、13の重要なミトコンドリアタンパク質の産生を標的とし、幹細胞内のエネルギー供給を遮断することを見出しました。
さらに、穏やかな酸化促進剤として作用するビタミンCがその効果を増幅することを発見しました。
Sotgia教授は次のように述べています。
「この組み合わせで処方すると、新しいミトコンドリアの生産が促進されますが、それらは機能的には不活性です。新しいミトコンドリアは細胞のエネルギー源であるATPを産生できません。必要なエンジン部品なしで何千もの新しい自動車を作るようなものです」
研究チームは、それらの組み合わせが安価であり、抗生物質の投与量が非常に少ない(1μM)ため、抗生物質耐性を生み出す懸念が少ないことを強調しています。
引用ニュース & 原著論文
🔵 英語ニュース:Vitamin C cocktail stops cancer cells from ‘motoring’(University of Salford)9 May 2019🔵 原著論文(オープンアクセス;論文の全文が無料でご覧になれます): Doxycycline, Azithromycin and Vitamin C (DAV): A potent combination therapy for targeting mitochondria and eradicating cancer stem cells (CSCs).
Aging (Albany NY). 2019 Apr 19;11(8):2202-2216. doi: 10.18632/aging.101905.
Seigoの追記
原著論文に上のレビューでは出てこなかったポイントが書いてありましたので以下に示します。がん幹細胞(Cancer Stem Cells)を抑制する3種類の薬剤
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🔵 ビタミンC(有効濃度:250μM)は穏やかな酸化促進剤として働き、フリーラジカルを生成し、その結果、ミトコンドリアの生合成を誘導します。
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🔵 ドキシサイクリン(有効濃度:1μM)は、副作用として小さなミトコンドリアリボソームを阻害します。
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🔵 アジスロマイシン(有効濃度:1μM)は副作用として大型のミトコンドリアリボソームを阻害します。アジスロマイシンは老化した線維芽細胞を選択的に殺して除去する老化防止剤です。
実験材料に使った細胞はヒト乳がん細胞株〔MCF7 cells, ER(+)〕です。
この3つの薬剤でがんが抑制できるなら早く実用化してもらいたいものです。
20余年アメリカで遺伝子治療&幹細胞の研究者をやってきました。
特に遺伝病の間違った遺伝子をピンポイントで修復し、元に戻す技術開発です。
理学博士(Ph.D. )
アメリカ生活で学んだアンチエイジングなど健康に関する知識をシェアしたいと思います。
巷の情報もご紹介、時にはブッた斬ったりしてしまうかもしれません。
またポイントなどの節約術や生活に便利なガジェット(スマホやアプリの紹介)も記事にしますので参考になれば嬉しいです。
皆さん、ご一緒に「究極のヘルシーライフ」を楽しみましょう♪
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