腸内フローラからヒスタミンが分泌されたり脳のドーパミン受容体を活性化できることが判明! (2019年最新研究)
腸内細菌の分泌されたものが脳まで届いて、ドーパミン受容体を活性化していることが明らかにされました。
この研究は Cell に発表され、イェール大学では学内サイトで説明記事がリリース(英文)されましたので、それを翻訳したものをご紹介します。
この記事のもくじ
ニュースタイトル「腸内細菌の研究における次のフロンティア:マイニング微生物分子」
英文執筆者:Ziba Kashef
ヒトの腸は、腸内細菌叢(腸内フローラ)と呼ばれる何兆もの目に見えない微生物の住人を抱えており、何千もの低分子化合物が分泌されています。これらの分子のほとんどにおいて、起源と生物学的機能は不明です。エール(University of Yale)の研究者たちは最近、人間の生理学に影響を与える腸内フローラ由来の化学物質の解明に新しい技術を適用し、潜在的に広範囲にわたる人間の健康への影響との相互作用の複雑なネットワークを明らかにしました。免疫生物学者のNoah Palmが率いるこの研究チームは、PRESTO-Tangoと呼ばれる化学スクリーニング技術を使用し、数千ものヒト受容体を同時に調べました。その結果、特定の受容体群を活性化する小分子を放出するヒト腸内細菌を同定しました。これらの受容体は広範囲の生理学的機能を調節すると考えられるため、低分子化合物産生細菌もまた、ヒトの生物学的反応の様々な側面に影響を与えるだろうと著者らは推論しています。
研究チームは、ヒトの受容体を活性化する分子を産生する100以上の種類の腸内細菌を培養・選別し、微生物と宿主である人との間の複数の化学物質による相互作用を明らかにしました。
彼らの発見から、次のことが明らかとなりました。
🔵 薬物反応:多くの腸内微生物がドーパミン受容体を活性化する化合物を産生していました。それぞれの腸内細菌が産生する分子が脳に到達し、抗うつ剤の効き目の個人差に影響を与えている可能性があります。
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🔵 治療のターゲット:炎症性腸疾患患者の腸内細菌は、炎症性化合物のヒスタミンを生成します。これらの細菌を定着させたマウスで、ヒスタミン受容体をブロックすると症状が緩和したことから、新しい治療法の可能性が示されました。
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🔵 食物-微生物-宿主、微生物-微生物-宿主 の相互作用:これまで活性化因子が知られていなかった数々の受容体が、腸内細菌の分泌化合物や食物由来の分子によって活性化されることがわかりました。今後さらに検証することで、「微生物」と「食事」、そして「人間」の健康の間の知られていなかった相互作用を解明できるのではないか、としています。
「腸内フローラが、人間の健康と病気に及ぼす最終的な影響を理解するには、複雑な化学的相互作用と微生物、宿主、食事との間の相互作用を深く理解することが必要です」
この研究は、Cell 誌に発表されました。
ーーー 翻訳ここまで ーーー
引用ニュース & 原著論文
🔵 英語ニュース:Next frontier in study of gut bacteria: mining microbial molecules. (YaleNews))April 18, 2019🔵 原著論文 : A Forward Chemical Genetic Screen Reveals Gut Microbiota Metabolites That Modulate Host Physiology.
Cell. 2019 May 16;177(5):1217-1231.e18. doi: 10.1016/j.cell.2019.03.036. Epub 2019 Apr 18.
Chen H, Nwe PK, ・・・Crawford JM, Palm NW.
腸内フローラに関する書籍
楽天ブックスで「腸内フローラ」に関連する書籍を見つけましたのでリンクを貼っておきます。Seigoの追記
腸内細菌の出した物質が脳内のドーパミン受容体を活性化する
ここで注目すべき点は、腸内細菌が作った分子が脳に到達し、ドーパミン受容体を活性化できることです。このことは抗うつ剤の効き目に影響してくる可能性があると研究者たちは指摘しています。
ドーパミン受容体といえば、パーキンソン病にと注意欠陥多動性障害 (ADHD) の関係も言われています。
これらの病気と腸内フローラの関連が見えてくるわけです。(→ パーキンソン病やADHDは腸内フローラを整えることで改善の期待が持てるかも知れません。)
腸に炎症を起こしている人と腸内細菌はヒスタミンを出していた
炎症性腸疾患患者の腸内細菌は、炎症性化合物のヒスタミンを生成しているとのことです。ヒスタミン受容体をブロックする薬で腸の炎症は緩和するそうです。
これも腸内の炎症の病気〔クローン病(CD)や潰瘍性大腸炎(UC) 〕の治療に腸内細菌が関与していることが示唆され、今後の治療の進歩に期待できますね。
上記の病気が「ウンコ移植」によって治ったというニュースが散見されるようになってきましたが、この研究によってヒスタミンを分泌する腸内細菌を知らないうちに除いていたおかげで、症状の改善が見られたかも知れませんね。
それが分かればヒスタミンを分泌している腸内細菌だけを狙い撃ちして、それだけ叩けばもっと早く治療できるようになるかも知れませんね 😀
関連書籍
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20余年アメリカで遺伝子治療&幹細胞の研究者をやってきました。
特に遺伝病の間違った遺伝子をピンポイントで修復し、元に戻す技術開発です。
理学博士(Ph.D. )
アメリカ生活で学んだアンチエイジングなど健康に関する知識をシェアしたいと思います。
巷の情報もご紹介、時にはブッた斬ったりしてしまうかもしれません。
またポイントなどの節約術や生活に便利なガジェット(スマホやアプリの紹介)も記事にしますので参考になれば嬉しいです。
皆さん、ご一緒に「究極のヘルシーライフ」を楽しみましょう♪
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