手洗いに消毒液の使いすぎは逆効果!? 耐性菌(MRSA)の発生の恐れ(英国研究)

ニュース/レビュー

MRSAとは抗生物質が効かない耐性菌で、よく病院で患者に感染して死亡などというニュースをご覧になられると思います。

今回はMRSAが実は病院で使う消毒剤で、MRSAの発生の要因になる可能性があるという英国からの大切なレポートです。

こういう外国からのニュースはなかなか日本では広まりにくいので、この記事を見た方は拡散をお願い致します。

お医者さんや看護婦さんたちは消毒するのに一生懸命で、実はそれがMRSAの発生の原因になっていることに気付きにくいかも知れません。

日本人はきれい好きですから、今回ご紹介する問題点に気付くのがかなり遅れる可能性が高いので、声を大きくしてこのニュースを発信致します。(YouTube動画でも取り上げる予定)

本研究は英国アバディーン大学によるもので最新研究がプレスリリース(英文)されましたので、その和訳を以下にご紹介いたします。

ニュースタイトル「病院での消毒剤の使用に警鐘を鳴らす研究結果」

英国アバディーン大学の研究者によると、病院で感染予防管理に使用する消毒剤は、抗生物質の処方と同じように規制されるべきです。

Nature Microbiology 誌に掲載された研究で、アバディーン大学歯学部の上級臨床講師であるカロリン ヒジャジ博士(Dr. Karolin Hijazi)は、アバディーン ロイヤル インファーマリー(Aberdeen Royal Infirmary)病院の顧問微生物学者、およびレスター大学の仲間らと共同で、特定の種類の細菌に対する消毒剤の耐性を分析しました。

この研究チームは表皮ブドウ球菌に着目しましたが、これは健康な人の皮膚に見られるバクテリアの一種で、従来は無害だと考えられています。彼らは以前に、集中治療室のような高濃度の消毒剤を使う環境では、良性であるはずの細菌が病原性および多剤耐性になり得ることを発見していました。

これが起こると、薬剤耐性株が「耐性」遺伝子を黄色ブドウ球菌に移す可能性があり、そうすると黄色ブドウ球菌が「スーパー耐性菌」MRSAになってしまいます。

黄色い球菌がMRSAです(色は見やすくするため着色してあります)。(出典:By National Institutes of Health (NIH), Public Domain, Link


これまでの研究では、MRSAに主に焦点を当ててきましたが、このことに関して表皮ブドウ球菌にはほとんど注意が払われていませんでした。しかしながらヒジャイ博士によると、これらの結果が示すものは、表皮ブドウ球菌も公衆衛生に対して潜在的に重大な危険をもたらすかもしれないということです。

グールド教授は次のように説明しています。「私たちの研究によれば、高濃度の消毒剤を含む環境では、これまで無害だった細菌が一般的に用いられる感染症の治療に対して耐性を示します。このことは潜在的に非常に重大な公衆衛生上の問題であり、これらの微生物が消毒剤に対してどのように耐性を持つようになるかを調査することの重要性を浮き彫りにするものです。」

ヒジャジ博士は付け加えて「基本的に病院で使用されている特定の消毒剤を集中的に使用することは、感染症の治療に一般的に使用されるほとんどの抗生物質に耐性を持つ微生物の蔓延に繋がります。」とし、さらに続けて、

「私たちの研究結果から、特に病院環境で消毒剤の使用について考えているものとは違う方法に変える必要があることが示唆されています。」

そして「私たちは皆、抗生物質の乱用や誤用に関する問題を認識しており、同様に病院での消毒剤の使用はより厳密に規制されるべきであるという証拠があります。」と述べています。

引用ニュース & 原著論文

🔵 英語ニュース:Study warns of disinfectant use in hospitalsUniversity of Aberdeen

🔵 原著論文:Time for biocide stewardship? ( Nature Microbiology (2019))

Seigoの追記

今回研究の対象になった消毒剤「クロルヘキシジン」

今回研究の対象に使われた消毒剤は「クロルヘキシジン(Chlorhexidine)」という物質が入っているそうで、これは日本の病院や動物病院にも広く使われているそうです。



日本でもMRSAはかなり問題になっておりますので、このような消毒剤の乱用はMRSAを防ぐのではなく、逆に増やすかもしれない可能性があるという悲しい現実に早く多くの医療系関係者を含め一般の方々にも気づいてほしいものです。

一般の方にはあまりなじみのないMRSAなどの言葉が出てきましたので、ちょっと整理しておきます。

MRSAとは

 メチシリン耐性菌の種類 

🔴 MRSA:メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Methicillin-resistant Staphylococcus aureus)

🔴 MRSE:メチシリン耐性表皮または白色ブドウ球菌(Methicillin-resistant Staphylococcus epidermidis)

菌株で名前が違いますがいずれもメチシリン耐性です。

メチシリンはぺ二シリンのような抗生物質です。

MRSAは実はメチシリンだけでなく多くの抗生物質に耐性なのでスーパーバグとして恐れられています。

MRSAは高齢者や小さい子など免疫が弱い人にかかりやすく、抗生物質が効かないので治療が難しいのです。

最初はおできや膿など皮膚の感染症からひどくなると肺炎、髄膜炎、敗血症などになってしまいます。

消毒剤というと過酢酸とかエタノールとかで菌を殺すやつですね。

消毒剤を使いすぎるとメチシリン耐性菌が増える不思議

消毒剤を使いすぎると耐性菌が耐性じゃないブドウ球菌に耐性遺伝子をプレゼントしてしまうというのがなんとも不思議な話です。

どこか不思議かというと、消毒剤に対する耐性遺伝子ではなくて、メチシリンに対する耐性遺伝子が移動するってなんか変ですよね。

消毒剤にメチシリンが入っているわけではないからです。

これでは耐性遺伝子が動いても消毒剤には相変わらず弱い菌ということになってしまいます 😅

じゃあ消毒剤の代わりはといえば、オーストラリアではティートゥリー(Tea Tree)というハーブを使うところもあるようです。

家でもティートゥリーやラベンダー、ペパーミントといったエッセンシャルオイルを消毒に使ったりタオルを頻繁に変えたり乳酸菌やビタミンDなどで免疫力をアップしたりなどして消毒剤を使いすぎないように工夫したいものですね。

Amazonで購入できるティートゥリー製品

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