添加物の乳化剤は腸内フローラと脳に影響を与え社会行動も変化させる! (米国最新研究レポート)
ニュース/レビュー
今回は食品添加物がマウスという実験動物において、精神や腸内フローラへの悪影響が認められましたので、その報告です。
ジョージア州立大学の最新研究がプレスリリース(英文)として報道されましたので、その和訳をご紹介します。
この記事のもくじ
ニュースタイトル「一般的な食品添加物はマウスの不安関連行動を促進し、社会的行動を減少させる可能性がある 」
食品用乳化剤は食感を良くするためや保存期間を延ばすために、加工食品に広く使用されている食品添加物ですが、マウスが不安関連行動を示したり、社会的行動に悪影響を及ぼす可能性があると、ジョージア州の研究者らにより報告されました。またマウスの行動パターンに与える影響に雌雄で違いがあったことから、乳化剤が男性と女性で異なるメカニズムを介して脳に影響を与えることを示唆しているとしています。Scientific Reportsに掲載されたこの研究は、ジョージア州立大学で神経科学の副学長を務めるGeert de Vries教授と、神経科学のBenoit Chassaing助教授が中心となって行いました。生物医学科学研究所のAndrew T. Gewirtz教授も研究に参加しました。
ChassaingとGewirtzによる先行研究では、乳化剤が腸内細菌叢(以後、腸内フローラと呼ぶ)、すなわち健康に不可欠な数兆の微生物の多様な集団の組成を変えることによって、軽度の腸の炎症が引き起こされることが示されました。肥満・メタボリックシンドローム・大腸炎をはじめとする炎症性腸疾患が20世紀後半に発生率が著しく増加しており、このことが乳化剤の消費と関連づけられる、としています。同じ時期に自閉症のような行動障害の発生率も増加しており、科学者たちは現代の化学物質への曝露により脳機能が影響を受けている可能性を指摘しています。
Geert de Vriesは、「一般的な全身性炎症に対する乳化剤の影響が、脳と行動にも及ぼすかという疑問に対し、答えはイエスでした」と語っています。
研究者らは一般的に使用されている2つの乳化剤、ポリソルベート80とカルボキシメチルセルロースのそれぞれを、雌雄のマウスの飲料水に加えました。12週間後、乳化剤による腸内フローラの変化が雌雄で異なる経路によるものであることが確認されました。次に、乳化剤の行動への影響を評価するテストを実施しました。雄マウスでは不安関連行動の変化、雌マウスでは社会的行動の減少が、それぞれ起こることが観察されました。
乳化剤が行動の変化を引き起こすメカニズムを正確に特定することはできない、としながらも、Geert de Vriesは、「炎症は局所免疫細胞のシグナル伝達物質産生を引き起こし、脳を含む他の臓器に影響を及ぼすことがわかっています。迷走神経は腸にも分布しており、脳への直接の情報伝達が起こります」と述べています。
Chassaingは、「われわれは現在、食品用乳化剤が腸内フローラに影響を与えるメカニズムを明らかにすると同時に、ヒトでも同様なのかどうかを検証しています」と述べています。
Geert de Vriesによると、細菌の種類の構成に影響する免疫システムや、摂取物の消化機能など、雌雄差がある事象がいくつか知られていることから、雌雄での行動の差には複数の要因が関わっている可能性が考えられるそうです。「食事に含まれる食品用乳化剤は(腸内)フローラに対し、男女で異なる影響を与えるでしょう。(腸内)フローラに対する影響の性差が、行動の性差に関係する可能性を、今回の結果が示しています」
腸内フローラの変化はヒトの健康に深く関与するものであることから、今回の研究によって、食品添加物の影響を評価することの重要性がより高まったと、研究者らは指摘しています。また、腸の健康と脳の健康が深く結びついていること、肥満・腸の炎症・行動障害の同調的な増加には、共通のメカニズムが関与している可能性が明らかとなりました。
引用ニュース & 原著論文
🔵 英語ニュース:Common food additives may promote anxiety-related behavior and reduce social behavior in mice, research shows(Georgia State University)🔵 原著論文:Dietary emulsifiers consumption alters anxiety-like and social-related behaviors in mice in a sex-dependent manner ( Scientific Reports, volume 9, Article number: 172 (2019) )
Seigoの追記
乳化剤はドレッシングだけでなくケーキやアイス、パン、そしてチョコレートなどいろいろな食品に入っています。この研究ではポリソルベート80(別名ソルビタン脂肪酸エステルとも呼ぶ)とカルボキシメチルセルロース(別名増粘多糖類とも呼ぶ)を使用しました。増粘多糖類とか増粘剤、安定剤、ゲル化剤などと食品に表記されたりします。
毒性が低く安全ということで私たちの食べ物に添加物として使用されてきましたが、実験動物のマウスで詳しく調べていたら、腸内細菌への影響や脳への影響があったということです。
腸内細菌のバランスを崩して腸の炎症を起こし、オスは不安が強くなったり、メスは社会的ではなくなったりと脳に影響が出てしまったのです。腸の炎症ということは、アレルギーなどいろいろな病気へのトリガーになってしまう可能性もあるかもしれません。
日本では添加物はオンパレードで、ものすごくいろんな種類が入れ込んであり、乳化剤は一日にカルボキシメチルセルロースナトリウム 5.76gとか、プロピレングリコール脂肪酸エステルなど 1.95g などグラム単位で食べているようで、人体に影響はあるという結果がなかったとしてもなるべく最小限に抑えたいものです。
参考:
– 気づいたときにはもう遅い、食品添加物の危険性。(naverまとめ、更新日: 2014年09月03日)
添加物の関連書籍
20余年アメリカで遺伝子治療&幹細胞の研究者をやってきました。
特に遺伝病の間違った遺伝子をピンポイントで修復し、元に戻す技術開発です。
理学博士(Ph.D. )
アメリカ生活で学んだアンチエイジングなど健康に関する知識をシェアしたいと思います。
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