トランス脂肪酸,WHOは2023年までに規制呼びかけ/アメリカ・カナダでは禁止/日本は?
トランス脂肪酸が危険な油だと知っている方は増えています。
アメリカでは2018年6月から全面禁止、カナダでも同年9月から禁止となります。
世界ではトランス脂肪酸を廃止する方向に向けて進んでおり、WHOもヘルプを試みているのは素晴らしいことです。
WHOはトランス脂肪酸の摂取は総エネルギーの1%未満にすべきとしています。
日本ではどうなるのでしょうか?
この記事のもくじ
食品のトランス脂肪酸、23年までの根絶を呼びかけ WHO(CNNニュース, 2018.05.21)
世界保健機構(WHO)が人工のトランス脂肪酸を2023年までに世界から無くすため、2018年5月14日ガイドラインを発表しました。
ガイドラインは6つのステップの頭文字からなる「REPLACE」と名付けられました。
Review :トランス脂肪酸の供給源と情勢をレビューPromote:健康的な油脂への切り替えを推進
Legislate:排除の法制化
Assess:トランス脂肪酸の内容を消費変化を評価
Create:トランス脂肪酸の健康の悪影響について啓発
Enforce:政策と規制の遵守を強化
トランス脂肪酸とは
マーガリンなどの固まった油を作るために水素をくっつけます。
そしてイヤな匂いを消すために200℃で高温処理すると、水素の位置がシス型だったのがトランス型の脂肪酸になってしまいます。
また高温調理や電子レンジで多く発生する油もあります。
天然には牛などの反芻動物の肉や乳の油に存在します。
トランス型とは? シス型の覚え方
シス型が自然のタイプで、それに人工的に水素を添加したもので水素が別の方向についてしまった物をトランス型といいます。
トランス脂肪酸を作るときに、トウモロコシ油や菜種油などが原材料に使われますが、これらはシス型をしています。
それに水素を添加すると無作為にシス型とトランス型が生成され、トランス型の物を「トランス脂肪酸」と呼びます。
覚え方としては、シス型が水素(Hと書く)の方向が一緒なので(上の図では下向き)、これがシズシズとしている人の姿に似ているので(落ち込んで両手が下がっている)、シズシズ→シス型として覚えます。(^^)
どんな食品に含まれているか?
マーガリン
ショートニング
マヨネーズ
ケーキ
アイスクリーム
厚揚げ
油揚げ
スナック菓子
揚げ物
クッキーなどの焼き菓子
おせんべい(米和菓子)
コーヒー用クリーム
トランシ脂肪酸 含有量
(ファクトシート、トランス脂肪酸、食品安全委員会、最終更新日:平成22年12月16日)
トランシ脂肪酸の害
肥満
2型糖尿病
心血管系の病気(心筋梗塞、コレステロールや中性脂肪の増加)
アレルギー(アトピー、花粉症)
脳の障害(認知症、うつ、ADHD)
がん
骨粗鬆症
不妊症
歯周病
など実に様々です。
油は私たちの体にとって大切な素材なので悪い油では全身に悪影響だということですね。
WHOの予測によれば年間50万人以上がトランス脂肪酸の過剰摂取での心血管疾患でなくなっているそうです。
また南アジアは揚げ物などトランス脂肪酸の摂取が多く心臓病が多いそうです。
デンマークでは2003年からトランス脂肪酸の規制を行っていますが、心臓疾患で亡くなった人は、1年間に10万人あたり14.2人の割合で減少したそうです。
ニューヨークで2007年より外食店でトランス脂肪酸を禁止にしたら、他の地域と比べ心臓発作が7.8% 、脳卒中が3.6%少なくなりました。
– トランス脂肪酸禁止のニューヨークで心臓発作が減少
このように禁止によって病気が減ったということは、国もWHOもちゃんと私たちの健康にいいことをしてくれているではないですか♪
他にもアルゼンチンでも2014年12月から全面禁止しており、医療費が年間1億ドル以上削減できるという見込みです。
もちろんヨーロッパでもオーストリアは全脂肪の4%未満、ハンガリーやアイスランドなども2%未満と規制しています。
日本の状況
2005~2008年の農水省の調査によれば日本人は総エネルギー摂取量の0.44~ 0.47%のトランス脂肪酸を摂っていて、2012年の食物安全委員会のリスク評価で総エネルギー摂取量の約0.3%と推定しているそうです。
まあWHOの1%よりずっと少ないからもうクリアしてるよっということ特に規制せず、他の問題に集中したいようですね。食塩とか・・・
で企業がお客様のニーズにお応えして「低トランス脂肪酸化」に向けて頑張ってくれてます。
例えば
明治、雪印は今年からマーガリン類をトランス脂肪酸の少ない新しい製法にリニューアル
日本マクドナルドは5分の1に削減
ダスキン(ミスタードーナツ)はトランス脂肪酸の少ない揚げ油を使用
などなどです。
今年からのチェンジということはアメリカやカナダの今年からの全面禁止に影響を受けてのことなのでしょう。
これはとてもありがたいことですね。
トランス脂肪酸の代替
さて、WHOはトランス脂肪酸の代替として、大豆油やヒマワリ油を推奨しています。
アメリカではトランス脂肪酸ゼロのマーガリンやショートニングは結構以前から普通に買えましたよ。
これは水素を添加するのではなくパーム油などで硬くするようです。
これで自由にマーガリンが食べられるっというわけではありません。
やはり大切なのはオメガ3:6をバランスよく摂ることです。
1:1から1:4が良いとされています。
現代の食生活では大豆油やキャノーラオイルなどのオメガ6を摂りすぎてアレルギーなど炎症が増えてしまっています。
植物油は減らしたほうがいいですが、
オメガ6を摂った分、オメガ3の多いフラックスシードオイルや魚油もしっかり摂りましょう。
Seigo参考資料:
- トランス脂肪酸の撲滅に向けた6つのステップ WHOが発表
- 農水省 トランス脂肪酸の摂取と健康への影響
- 農水省 すぐにわかるトランス脂肪酸
- 死を招く危険な油「トランス脂肪酸」の病気・害・多く含む食品 総まとめ!
- 脱「トランス脂肪酸」広がる=健康志向でマーガリンなど-食品・外食
20余年アメリカで遺伝子治療&幹細胞の研究者をやってきました。
特に遺伝病の間違った遺伝子をピンポイントで修復し、元に戻す技術開発です。
理学博士(Ph.D. )
アメリカ生活で学んだアンチエイジングなど健康に関する知識をシェアしたいと思います。
巷の情報もご紹介、時にはブッた斬ったりしてしまうかもしれません。
またポイントなどの節約術や生活に便利なガジェット(スマホやアプリの紹介)も記事にしますので参考になれば嬉しいです。
皆さん、ご一緒に「究極のヘルシーライフ」を楽しみましょう♪
《もっとくわしいプロフィールをみる》
この記事へのコメントはありません。