カルシウムサプリメントの副作用-死亡リスクが上がる危険な量とは? (2019年米国研究)

ニュース/レビュー

今回はサプリメントからではなく食べ物の栄養素ががんと死亡リスクの低下と関連があるという報告です。

マサチューセッツ州にあるタフツ大学が最新研究をプレスリリース(英文)を翻訳しましたのでご紹介します。

ニュースタイトル「サプリメントではなく食品からの栄養素の摂取が死亡率とがんの低下にリンクされている」

イメージ画像(出典:wrobによるPixabayからの画像)


新しい研究によれば、サプリメントからではなくて食べものから特定の栄養素を適切にとることが(あらゆる原因による)死亡率の低下と関連しています。サプリメントは死亡リスクの低下と関係ありませんでした

さらにカルシウムの過剰摂取はがんによる死亡リスクの増加と関連しており、研究者らはカルシウムの摂取量が1,000 mg /日を超えることとの関連性を見出しました。この研究は4月9日にAnnals of Internal Medicineに発表されました。

「サプリメントによるベネフィットと害はずっと研究され続けており、いくつかの研究は特定のがんのリスク増加を含む、栄養素の過剰摂取と有害な結果の関連を見出しました。」とタフツ大学栄養科学のFang Fang Zhang准教授 は言いました。「特に効果がそんなに良くない場合、栄養素とその供給源が健康状態に果たす役割を理解することが重要です。」

この研究では、20歳以上の27,000人を超えるアメリカ人を対象にサプリメントとすべての原因による死亡率、心血管疾患(CVD)、およびがんとの関連性を評価しました。研究者らは適切なまたは栄養素の過剰摂取が死亡と関連しているかどうか、また食品対サプリメントの影響も評価しました。

栄養素の摂取と死亡の危険性との関連について、研究者らは以下のことを見出しました。
  • ビタミンKマグネシウム十分な摂取 → 死亡リスクの低下と関連
  • ビタミンAビタミンK、および亜鉛の適切な摂取心血管疾患(CVD)による死亡リスクの低下と関連
  • カルシウム過剰摂取がんによる死亡のより高いリスクと関連

野菜のイメージ(出典:Jerzy GóreckiによるPixabayからの画像)


次に栄養素の摂取源(食品 サプリメント)を評価した結果です。
  • ビタミンKマグネシウム適切な栄養素の摂取に関連する死亡リスクの低下は、サプリメントからではなく食品からの栄養素に限られていました。
  • ビタミンAビタミンK亜鉛適切な摂取に関連した心血管疾患(CVD)による死亡リスクの低下は、サプリメントからではなく食品からの栄養素に限られていました。
  • サプリメントからの合計1,000 mg /日以上のカルシウム摂取がんによる死亡リスクの増加と関連していましたが、食品からのカルシウム摂取との関連はありませんでした。
さらに研究者らは、栄養が足りない人ではサプリメントが死亡リスクに影響を及ぼさないことを見出しました。またビタミンD欠乏症ではない人がビタミンDサプリメントを摂ることがんなどすべての原因による死亡リスクの増加と関連している可能性を見つけましたこれについてはさらなる研究が必要です。

サプリのイメージ画像(出典:Steve BuissinneによるPixabayからの画像)


「これらの結果は、サプリメントが総栄養素摂取量を上げる助けにはなっていますが、サプリメントからは認められない食品の栄養素との有益な関連性があるという考えを支持しています」とZhang准教授は述べました。「この研究では、死亡率の結果を評価する際に栄養素のソースを特定することの重要性も確認しています。」

この調査では、2010年までの2年毎の全国健康栄養調査を行い、6回の24時間ダイエットリコールデータを使用しました。各栄養素について、1日のサプリメントの量は頻度成分量一食当たりの成分量とユニット数(単位)に関する製品情報を組み合わせて計算しました。食品からの栄養素の食事摂取量は、24時間ダイエットリコールから評価されました。確率的一致を用いて、2011年12月31日までの全国死亡指数のリンクで各参加者の死亡率の結果を得ました。

著者らは研究されたサプリメントの使用期間などについていくつかの弱点を指摘しています。加えてサプリメント使用による有病率や投与量は自己申告されたものであるので、申告者のバイアスの影響を受けています。残存交絡(ざんぞんこうらく; 統計用語)は観察された関連性において役割を果たす可能性があります。

引用ニュース & 原著論文

🔵 英語ニュース:Nutrients from food, not supplements, linked to lower risks of death, cancerTufts University

🔵 引用原著論文 : Association between dietary supplement use, nutrient intake, and mortality among US adults: a cohort study. (Annals of Internal Medicine, 2019 )

Seigoの追記

論文では1日に、1000mg(=1グラム)以上のカルシウムを摂ると死亡リスクが上がるというデータが出ております。

この研究は端的に言うと、食品から摂れる栄養のほうが様々な病気で死ぬリスクが減りますよというものですが、サプリメント摂取量のデータを集める時にアンケートに協力してくれた方々の思い込みなども入っていくるので確実なことは言えませんというものなのでしょうね。

自然の食品から摂れる栄養は色々な栄養素の組み合わせで効果がアップしたり、栄養の化学構造など自然のものなので体に吸収されやすかったり、そのためあまり多量に摂る必要がなく安全と言えるでしょう。

ただ、よく噛まなかったり、消化に悪いもので栄養が十分に吸収されないという問題はあると思います。そうするとある一分の栄養素が不足して病気になる可能性もあるのかもしれません。そういう場合はサプリメントが有効になってきます。

カルシウムを過剰に摂取するとガンによる死亡が増えるというのは、なんとなくあり得るかと思います。ミネラルはちょっとの量がバランスよく体に存在する方が良さそうですね。

ただビタミンDは最近の傾向では、かなり多く飲んだほうがいいという風潮ですし(花粉症が軽減したというSNSの声もあります)、安全性も研究されているので、著者が「さらなる検証が必要」と言っていますし、真意のほどは疑問です。

例えばサプリの質や他の成分、製造過程で混じるものなど、サプリメントが本当に純粋かどうかという事も考慮に入れて調査すべきだと思います。(どこのブランドのサプリを摂ったかということも重要になるので情報収集の時にブランド名も必要でしょう。)

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