ミートボールがトマトの抗がん作用をぶっ壊すってどういうこと? (米国研究)

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今回は実験動物ではなく、実際に健康な人の体を利用した研究結果が出たようです。

ミートボールを食べるとトマトの抗がん作用がなくなってしまうというタイトルですが、研究結果はどうなのでしょうか?
この研究はオハイオ州立大学が論文を発表し、その研究内容のプレスリリース(英文)が大学サイトで発表されました。今回はそのプレスリリースを翻訳したものをお伝えいたします。(翻訳のプロではないので読みづらかったらすみません。

ミートボールがトマトソースの抗がん効果を損なう可能性

研究では、鉄の補給でリコピンが半減したことが明らかになりました 

英文執筆者:Misti Crane (Ohio State News)

トマトソースにミートボールを乗せて食べると、驚きのマイナス面があるかもしれないことが、新しい研究によって示されました。

オハイオ州立大学の新しい研究によると、トマトのもっている抗がん効果の一部、特にリコピンと呼ばれる化合物の抗がん効果は、鉄分が豊富な食品と一緒に食べると失われる可能性があります。

研究者は医学生のグループにシェイクを飲んでテストしました。1つは鉄を含むトマト抽出物、もう1つは鉄を含まないトマト抽出物です。 飲んでもらった後に血液と消化液を分析しました。被験者が鉄分入りのシェイクを飲んだ場合、消化液と血中のリコピンレベルは(統計学的に)有意に低いものでした。このことは体に役に立つ量が減ってしまうことを意味します。

「食事に鉄分が含まれていると、摂取できるリコピンの量が時間の経過とともにほぼ半分に低下することがわかりました」と、研究の主著者であるオハイオ州立大学人間栄養学のRachel Kopec助教は述べています。

「これは人がリコピンと鉄が豊富なもの、例えばボロネーゼソース鉄分強化シリアルにトマトジュースといった組み合わせなどの食事で影響が出てくるかもしれません。鉄分なしの食事と比べると、半分しかリコピンの恩恵に預かれないでしょう」

鉄の性質

は食事において重要な要素であり、私たちの体がエネルギーを生産し老廃物を取り除くために重要な機能を果たします。同時に、サルで知られている他の細胞レベルのプロセスにとっても必要な栄養素です。

特定の成分と混ぜると、それらが破壊されることはわかっていましたが、果物や野菜に含まれるリコピンなど有益と考えられるカロテノイドを損なうかどうかは知られていませんでした」とKopec助教は述べています。

リコピンとは?

リコピンの立体構造(出典:PubChem & Wikimedia Commons, by Jeff Dahl投稿者自身による作品, CC 表示-継承 4.0, リンク)〔画像をクリック/タップすると拡大できます〕


カロテノイドは流通農産物に見られる多くの明るい赤、黄、オレンジ色の色素の元となる、抗酸化特性を持つ植物色素です。これらにはリコピンが含まれます。リコピントマトに豊富に含まれており、スイカとピンクグレープフルーツの色のもとでもあります。これまでに 前立腺がん 肺がん 、そして 皮膚がん などに対してリコピン抗がん効果が有望視されています。

7人のフランスの医学生による採血と、胃と小腸に配置されたチューブからの消化液サンプルが採取されたた小規模の研究によって、ラボ内の研究ではなく人体を利用した優れた検査が可能になりました、とKopec助教は述べています。

リコピンの利用可能量を変化させる機序については明らかになっていませんが、を含む食事はリコピン酸化し、研究で追跡されたものとは異なる代謝産物を生成する可能性があります。

は細胞がリコピンを吸収するのに重要なトマトと脂肪の適度な乳化混合物を妨害する可能性もあります。お酢と油とが混ざらないドレッシングのように、別々に分けてしまうのかもしれません」とKopec助教と述べます。

研究者はリコピンの抗がん作用、および他の化合物や栄養素との相互作用の重要性をよりよく理解するため研究を続けています。

「栄養は病気の予防に重要な役割を果たします。私たちが食べるものが、健康にどのように貢献しているかについて詳細を明らかにし、科学に基づいた信頼できる情報をお伝えしていくことが重要です」

ーーー 翻訳ここまで ーーー


引用ニュース & 原著論文

🔵 英語ニュース:Meatballs might wreck the anti-cancer perks of tomato sauce.)Sep16,2019

🔵 原著論文 : The Effect of an Iron Supplement on Lycopene Metabolism and Absorption During Digestion in Healthy Humans.(Molecular Nutrition & Food Research , 2019 )

Seigoの追記

この研究は実験動物ではなく医学生7人に参加してもらって、鼻からチューブを通して胃と十二指腸から消化液サンプルを採取して調べられたそうです。

鉄は原著論文のアブストラクトを見ると硫酸鉄を使用したと書いてありますので、タイトルのようなミートボール(鉄分が多いということで)を使って実験したわけではないようです。

またタイトルで抗がん作用の減少のことを言っています、実はリコピンの濃度が十二指腸で半減したことを測っただけなので、抗がん作用を調べていくわけではありません。

医学生7人が頑張ったオハイオ州立大学の珍しい論文なので許してやって下さい 😅💦

リコピンはシンプルな構造ですが立体構造が龍みたい?

すでにリコピンの立体構造は上記で紹介しましたが、炭素と水素のたった2種類の元素(C40H56)で出来ていることに驚きました。

赤い色素なのでベンゼン環のような複雑な構造で色が形成されていると思っていたら、なんと長細くシンプルな構造でした。

結晶構造がPubChemで見れますのでぜひそのサイトに行かれて、グルグルと立体構造を回して見ることをオススメいたします。

「Space Filling」をONにしていただくと上記のような結晶構造が見れるのですが、前から見るとまるで龍かイモムシのように見えます。

リコピンの立体構造は龍に似ている? 青い矢印は尾びれの共通部分を指している。(結晶構造の出典:PubChem & イラストの出典:by AQ-taro_imagez/イラストAC)〔画像をクリック/タップすると拡大できます〕


背中に突き出た「尾びれ」まであるんですよね。(ちゃんと背骨から上部へ突き出ているように見える)

それが反対方向から見てもやはり、顔のある龍に見えるのは私だけでしょうか?(つまり両側に顔がついている)

これでリコピンの構造は二度と忘れることはないでしょう〜 😄

 

 

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