新型コロナウイルスの遺伝子解析完了! ヘビ型の変異なのに人へ感染できる!? (2020年最新論文)

ニュース/レビュー

今問題になっている新型コロナウイルス肺炎の最新論文が2本が発表されました。

中国の専門家チームは市場で売っていた食用のタケネズミやアナグマなどが感染源の可能性が高いと言っておりますが、遺伝子解析の結果ではヘビからヒトに直接感染した可能性が高いという報告です。

出版された2本の論文のプレスリリース(英文)がWileyのサイトで発表されました。今回はそのプレスリリースを翻訳しましたのでお伝え致します。(翻訳のプロではないので読みづらかったらすみません。

また2報の論文は現在全文が読めるようになっておりますので、翻訳の後にPDF書類のリンクを貼っておきます。ただそれは最終バージョンではないため誤字・脱字が含まれている可能性があるのでご注意下さい。

研究者は中国でのコロナウイルスの突発的な発生をヘビにまでたどりつく

今回発表された新型コロナウイルス(Wuhan-Hu-1)の遺伝子マップ(著者が遺伝子配列よりマップ化)〔画像をクリック/タップすると拡大できます〕

我々の進化分析から得られた新しい情報は、2019-nCoV誘発性肺炎によって引き起こされるアウトブレイク(大流行)の効果的な制御にとって非常に重要です。

2020年1月22日水曜日、東部標準時午後12時22分

新たに出現したウイルス感染(鳥インフルエンザからエボラ、ジカに至るまで)は、世界の公衆衛生に大きな脅威をもたらし、その起源を理解することは、いつか大発生しないための防御策に役立ちます。この新しい研究は12月中旬から中国で始まり現在香港、シンガポール、タイ、日本に広がっている流行する可能性のある新型ウイルス性肺炎の起源に関する重要な見識を提供します。調査結果は Journal of Medical Virology 誌で早速オンラインで公開されています。

コロナウイルスというウイルスの一種で、世界保健機関(WHO)によって2019-nCoVと名付けられたウイルスにかかった患者は、魚介類や鶏肉、ヘ​​ビ、コウモリ、家畜が売られている卸売市場で野生の動物に接触したことで感染したことがこの研究で指摘されています。

ウイルスの詳細な遺伝分析を行い、さまざまな地理的な場所や宿主の種類からの色々なウイルスに関する遺伝情報と可能な限り比較することにより、2019-nCoVコウモリで見つかったコロナウイルスと起源不明の別のコロナウイルスの組み合わせてできているようだと研究者は結論づけました。ウイルスは宿主の細胞の受容体にくっついて認識するウイルスタンパク質のミックスか「組換え」で変異してできました。このような認識は、ウイルスが宿主細胞に侵入できるようにする鍵であり、感染や病気に導きます。

新型コロナウイルス(Wuhan-Hu-1)の遺伝子配列の一部


最後にチームは2019-nCoV人に感染する前にヘビをすみかとしていた可能性が高いという証拠を明らかにしました。ウイルス受容体結合タンパク質で変異が起こり、ヘビからヒトという種を超えた感染が可能になったのかもしれません。

「進化分析から得られた結果は、ヘビが2019-nCoVの最も可能性の高い野生動物の宿主であることを初めて示唆します」と著者らは書いています。「私たちの進化解析から得られた新しい情報は、2019-nCoV誘発性肺炎によって起こるアウトブレイク(大流行)を効果的に制御するために非常に重要です。」

添付された著者の注意書きには、新型のウイルス感染のコントロールには効果的なワクチンと抗ウイルス薬の発見/開発が最終的に必要ですが、現在認可されている抗ウイルス薬を(新型の)2019-nCoV(感染の治療に)に試してみるべきであると述べています。

2019新型コロナウイルスの3Dコンピュータ画像(出典:Wikimedia Commons, by CDC/ Alissa Eckert, MS; Dan Higgins, MAM (PHIL), #23312, リンク

ーーー 翻訳ここまで ーーー


引用ニュース & 原著論文(2報)

🔵 英語ニュース:Researchers Trace Coronavirus Outbreak in China to Snakes) January 22, 2020

🔵 原著論文 ①: Homologous recombination within the spike glycoprotein of the newly identified coronavirus may boost cross‐species transmission from snake to human.Journal of Medical Virology, 2020 )
– 公開されている査読後の論文はこちら ↓(最終版ではないので注意)

PDF書類

🔵 原著論文 ②:Global Health Concern Stirred by Emerging Viral Infections.Journal of Medical Virology, 2020 )
– 公開されている査読後の論文はこちら ↓(最終版ではないので注意)

PDF書類


Seigoの追記

どこに変異が入ったか?

次の図のようにスパイクの部分に変異が入ったようです。

今回発表された新型コロナウイルス(Wuhan-Hu-1)の遺伝子配列解析により変異はスパイク部分に入っていたことが判明!〔画像をクリック/タップすると拡大できます〕


ウイルスが動物細胞に感染するときに、ウイルスの外に突出しているスパイクの部分が重要な役割を果たしますが、Wei Jiらの研究グループはその変異はこれまで言われていたコウモリ(哺乳類)に近いわけではなく、むしろヘビ(爬虫類)型に似ていることを発見しました(原著論文①)。

この変異は遺伝子進化からすると妙で、ヘビ型の変異がいきなり人への感染が可能になるというのは考えづらく、Wei Jiらのグループも驚きを隠せない様子です。(ふつうは変異を起こしても哺乳類の動物間でしか感染しないものなので)

すでに別の変異をしているという報告もありますので、今後の情報に注目していきましょう。
Seigo

 

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