レスベラトロールよる筋萎縮性側索硬化症(ALS)の改善の可能性【患者由来の細胞を使った研究より】

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論文タイトル:筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者由来の間葉系幹細胞(mesenchymal stem cells;MSC)におけるSIRT1 / AMPKの減少はレスベラトロールによって回復できる

この論文は韓国の研究者によりJournal of Tissue Engineering and Regenerative Medicineに掲載されました。

レスベラトロールは筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の間葉系幹細胞(mesenchymal stem cells;MSC)を神経細胞にする能力を上げるかもしれないという結果で、ALSを治療するために患者さん自身の幹細胞移植を成功させるのにレスベラトロールが使えるかもと示唆しています。

幹細胞はがんから神経変性疾患まで色々な病気の治療に使えないかと研究が盛んです。
これらの細胞はいろんなタイプの成熟した細胞になってくれて、整体バランスを取り戻してくれるかもしれないのです。
しかし実際に治療に使うのは制限されています。

前回の研究で、ALS患者の骨髄から採った間葉系幹細胞(MSC)は幹細胞としての能力がかけており、老化に関する、例えば増殖する能力が低いなどがあります。

光州にある朝鮮大学の研究者は、レスベラトロールのすでに知られている抗酸化、抗炎症、細胞保護作用でALS患者由来のMSCが改善するかもしれない可能性について研究しました。

レスベラトロールはクランベリー、イチゴ、ブルーベリーからブドウの皮、ピーナッツ、大豆まで色の濃い野菜や果物に含まれています。
しかし特にサプリメントとして大量に摂取するのは良いかどうかまだ議論されています。

研究チームは健康な個人からの3サンプルの骨髄MSCと4人のALS患者のサンプルとを比較しました。

結果ALS由来のMSCは細胞の長寿に関係するSIRT1遺伝子レベルが低く、そのタンパク質(SIRT1)の活性が低いままであることを示しました。

細胞エネルギー源に影響を与えることが知られているAMPKタンパク質はALS由来細胞では活性が低かったです。

「SIRT1とAMPKはエネルギー代謝とミトコンドリア機能においてお互いに補い合った役割をしていると最近の研究で示しています。」と研究者らは書いている。

これらの発見はちゃんと機能している成熟な神経細胞になる能力を含めて、ALS由来のMSCに見られる問題を部分的に説明することができました。これらのタンパク質は神経細胞の代謝と加齢に伴う変性を調整するのに重要な役割を果たしています。

興味深いのはレスベラトロールはSIRT1とAMPKの両方の活性化剤であることが知られていることです。

ALS由来のMSCにレスベラトロールを与えると、SIRT1とAMPKの活性化は顕著に上がりました。

ニューロンのような細胞になった患者のMSCの数は、比べてレスベラトロールを与えた方が与えないのと比べて有意に増加したと同研究は述べている。

また、いくつかの重要な神経前駆体遺伝子 – ネスチン、Musashi、CD133、およびGFAPのレベルも調べました。

するとこれらの遺伝子がレスベラトロール処理でALS-MSCにおいて処理されていないMSCと比較してよりニューロン様分化細胞が多かったことがわかりました。

「ニューロン様分化細胞の数は、未処理の細胞と比べてレスベラトロール処理で有意に増加しました。効果的な神経変性疾患の幹細胞治療のためには、幹細胞の神経分化能力を回復することが重要です。」と研究者たちは述べています。

「レスベラトロールはMSCの治療効果を改善する可能性があるかもしれない」と彼らは考えています。

「治療が患者に使用される前に結果を確認するために、より多くのサンプルを用いたさらなる研究が必要です。」

 引用文献  
Reduced sirtuin 1/adenosine monophosphate‐activated protein kinase in amyotrophic lateral sclerosis patient‐derived mesenchymal stem cells can be restored by resveratrol
2018 Nov 26. doi: 10.1002/term.2776.
Yun YC1,2, Jeong SG1,2, Kim SH3, Cho GW1,2.

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先日にレスベラトロールの記事を書きましたので、今回は最近のニュースも取り上げてみました。

レスベラトロールがALSの治療の可能性もあるとはスゴイですね!

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