新しい長寿遺伝子が脂質輸送に関連する糖タンパク質より見出された!? (2019年最新論文)

ニュース/レビュー

脂質を運ぶタンパク質”アポリポプロテイン”から、長寿遺伝子の存在が発見されましたのでご報告いたします。

テキサス大学サンアントニオヘルスセンターがプレスリリースしたレビュー記事(英文)を翻訳しましたのでご紹介します。(翻訳のプロではないので読みづらかったらすみません m(_ _)m )

また論文はオープンアクセスですので、どなたでも無料で全文が閲覧できます! 翻訳の下にリンクを貼っておきます。
→ 最近はGoogle翻訳の性能が良くなってスムーズな日本語に翻訳してくれます。(時々変ですが)ご活用下さい。(Google翻訳のページはこちら

APOE変異体が死亡率に及ぼす影響(38,000例の調査結果); 遺伝子のまれな変異が長寿に関連

APOEの稀な遺伝子の変異体は、死のリスクを増加させると広く研究されていたのと対照的に、ヨーロッパ系38,537人の新しい調査から別の稀なAPOE変異体が死のリスクを防ぎ寿命を延ばす傾向があることがわかりました。

テキサス大学サンアントニオ健康センター(UT Health San Antonio)のSudha Seshadri博士が率いるE2-CHARGEグループの調査結果は、「健康的な加齢と長寿を促進するために、さまざまな健康状態に対応する新しい予防と治療法に繋がる可能性のある」と新しい研究の方向性を示唆しています。

この研究結果は、PLOS ONE 誌の7月29日号に掲載されました。スシャドリ博士は、テキサス大学サンアントニオヘルスセンター(UT Health San Antonio)付属ジョーR.テレサロザノロング医科大学(Joe R. and Teresa Lozano Long School of Medicine)神経学部の教授で、同大学のグレンビッグス・アルツハイマー&神経変性疾患病研究所(Glenn Biggs Institute for Alzheimer’s and Neurodegenerative Diseases)の創立所長です。

APOEとその変異体

ヒト染色体の19番にあるAPOE遺伝子は、アポリポタンパク質Eという脂質の輸送と取り込みを調節するタンパク質を作るための遺伝子です。APOEの対立遺伝子(親から受け継がれた、または突然変異から生じた遺伝子の複数の形態)は3種類のAPOE-イプシロン2(ε2)、APOE-ε3、APOE-ε4です。

長い間APOE-ε4アルツハイマー病と死亡リスク増加との関連付けの研究が行われてきました。新しい研究でもこのことは確認されました。しかし人口のわずか1%にしか見られないまれなタイプのAPOE-ε2についてはほとんど知られていません。

さらに追及するために、E2-CHARGEは米国、アイスランド、オランダで実施された6つの地域住民をベースとした調査を実施しました。これはスシャドリ博士を主任研究員とするフラミンガム心臓研究も含まれていました。6ヵ所で実施された平均11.7年間の追跡期間中に、17,021人が死亡したことが判明しました。この調査から、APOE-ε2が長寿と関連していることが示唆されました。この結果は人口ベース6ヵ所の調査すべてに渡って類似するものでした。

研究の限界

研究者はこの保護作用のある変異体を理解するために、より大規模に研究を実施すべきだと述べました。

またこの研究はヨーロッパ系人種のみで行われたため、結果は他の人種グループには適用できないかもしれないとも研究者は述べています。

テキサス大学医学部(Department of Medicine)とサン・アン・バーショップ長寿研究所(Sam and Ann Barshop Institute for Longevity)、およびテキサス大学サンアントニオ健康センター(UT Health San Antonio)老化研究所の教授であるスシャドリ博士と韓賢林(Xianlin Han)博士は2018年、APOE-ε2が人を認知症と死から守ってくれる理由を理解するための助成金を受けています。

ーーー 翻訳ここまで ーーー


引用ニュース&原著論文

🔵 英語ニュース:APOE variants’ effect on mortality studied in 38,000; rare mutation of gene is associated with prolonged survival

🔵 原著論文 :The impact of APOE genotype on survival: Results of 38,537 participants from six population-based cohorts (E2-CHARGE),(PLOS ONE , 2019 )

Seigoの追記

アポリポタンパク質E(APOE)は、脂質の輸送と取り込みのメディエーター(仲介役)およびレギュレーター(制御)として最もよく知られている糖タンパク質です。

その3つのタイプのうちの1つにε2を持ってると長寿になる可能性が高いのだそうです。(逆にε4をというタイプのAPOEを持っているとアルツハイマー病や死亡リスクが上がる

脂質を届けるタンパク質が寿命に関連してくるということは、コレステロールがやはり重要なファクターとなってくるかも知れません。

テレビではコレステロールは悪者扱いですが、意外にも長寿の方はコレステロールが非常に高いことがあります。

そのことはテレビでは放映されませんが、長寿の方はお肉を食べていることだけは最近報じられるようになってきました。

今のところLDLが悪玉でHDLが善玉となっていますが、LDLも善玉となる可能性が出てきます。コレステロールは細胞膜やホルモンの原料ですから。

しかしお肉がいいからと言って毎日食べれば中性脂肪が上がって体も酸化し、動脈の病気になりますので注意が必要です。

理想は2〜3日に1回、少しのお肉で良いそうです。それが地球にも優しいと(牛を減らすことでその何倍にもなるエサの穀物の消費を減らせるので)、世界標準となりつつある「プラネタリーヘルシーダイエット」のコンセプトもそれに類似しております。

先日「プラネタリーヘルシーダイエット」の記事を書きましたので、ご興味のある方はどうぞ ↓

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