心臓に良い食事(地中海食など)が将来の認知機能を高めることが判明!(2019年最新調査)
ニュース/レビュー
今回は成人早期(25歳くらい)における心臓の健康に良い食事が中年期の脳機能に影響を与えるという研究報告です。
北アイルランドのクイーンズ大学の最新研究が Neurology 誌にプレスリリースされましたので、それを翻訳したものをご紹介します。
この記事のもくじ
ニュースタイトル「成人早期における心臓の健康に良い食事が中年期の脳機能に影響」
果物と野菜を豊富に、そしてナッツや魚、アルコールを適度に、そして肉や乳製品を少な目に摂取することが、中年期の認知能力(思考力と記憶力を含む)の向上につながると、アメリカ神経学会(American Academy of Neurology)の医学雑誌 Neurology(神経学) 誌に2019年3月6日のウェブ版に発表されました。
北アイルランドはクイーンズ大学ベルファスト(Queen’s University Belfast)の研究著者クレア T. マッキボイ博士(Claire T. McEvoy, Ph.D)が「私たちの調査結果は、成人期を通じて良い食事の習慣を維持することが中年期における脳の健康を維持するのに役立つことを示しています」と言いました。
この研究では、調査開始時に平均25歳の2,621人の参加者について、その後の30年間にわたって追跡調査がなされました。対象者から研究の開始時と7年後そして20年後に食事についてアンケートを回収しました。参加者の認知機能が、約50歳と55歳の時点で2回テストされました。
参加者の食事を評価して、心臓に良い3種類の食事のどれに近いかを調査しました:
① 地中海食
② DASH食〔高血圧を抑える食事法〕
③ 食事クオリティ・スコア食(APDQS)〔CARDIAを先験的食事クオリティスコアとも呼ぶ〕
DASH食は穀物、野菜、果物、低脂肪乳製品、マメ科植物およびナッツ類を重視し、肉、魚、家禽(かきん, 家畜として飼育される鳥)、総脂肪、飽和脂肪、スウィーツおよびナトリウムを制限します。
APDQS食は、果物、野菜、マメ科植物、低脂肪乳製品、魚、および適度なアルコールを重視し、揚げ物、塩味の軽食、お菓子、高脂肪乳製品および砂糖で甘味付けしたソフトドリンクを制限します。
参加者は、彼らの食事がどれに近いかを、低、中、高の度合いによって3つのグループに分けました。
研究者らは、地中海食やAPDQS食を摂って、DASH食を摂らなかった人々は、中年時の認知機能の低下が5年も少ないことを発見しました。
🔵 地中海食事に強く遵守している人々は、この食事を摂っていない人々よりも思考能力が低い割合が46%低くなっています。地中海食への傾倒度が高い868人では、9%が思考力に乏しかったのに対し、傾倒度が低い798人では29%でした。
🔵 APDQS食にに強く遵守している人々は、この食事パターンにない人々よりも思考力が低い割合が52%低くなっています。APDQS食への傾倒度が高の938人では、6%が思考力が低かったのに対し、同じく傾倒度が低の805人では32%でした。
この結果は、教育レベル、喫煙、糖尿病、身体活動など、認知機能に影響を与える可能性があるその他の要因に基づいて調整されました。
マッキボイ博士は、各食事で低群と高群の間で果物と野菜の摂取量に大きな違いがあることを指摘しました。地中海食では、傾倒度が低いグループは1日当たり平均2.3サービングの果物、野菜は2.8サーブでしたが、地中海食の傾倒度が高いグループは果物は4.2サービング、野菜は4.4サービングでした。APDQS食では、傾倒度が高いグループの果物3.7サービングと野菜4.4サービングに対して、傾倒度が低いグループは果物2.7サービングの野菜4.3サービングでした。
マッキボイ博士氏は、この研究は心臓に健康的な食事がより良い思考力をもたらすことを示すものではないとし;即ち、それは食事と思考力の2つの間の関連を示すだけのものです、と述べています。
DASHダイエットがより良い思考力へのリンクを示さなかった理由は不明です。
マッキボイ博士は「1つの可能性は、DASH食が食事パターンの一部として中程度のアルコール摂取を考慮していないことですが、他の2つの食事はそれを考慮しています」として「健康的な食事の一部として中程度のアルコール摂取が中年の脳の健康にとって重要である可能性がありますが、これらの調査結果を確認するにはさらなる研究が必要です。」と述べています。
マッキボイ博士は、「脳の健康に理想的な食事パターンはまだわかっていませんが、心臓の健康に良い食事に変えることは、年齢とともに思考や記憶に問題が生じるリスクを減らすための比較的簡単で効果的な方法になり得ます」と続けました。
マッキボイ博士によれば、思考力や記憶力に影響するかもしれない要因を調節できたとしても、同定されていない他の要因が影響するかもしれないとのことです。
引用ニュース & 原著論文
🔵 英語ニュース:HEART-HEALTHY DIETS IN EARLY ADULTHOOD LINKED TO BETTER BRAIN FUNCTION IN MIDDLE AGE( American Academy of Neurology )March 06, 2019🔵 原著論文: Dietary patterns during adulthood and cognitive performance in midlife The CARDIA study (Neurology, March 6, 2019 )
Seigoの追記
TVなどでは肉を食べると長寿になると言っておりますが、この研究報告はむしろ肉や乳製品は少なめにして野菜と果物を豊富にとり、そしてナッツや魚、アルコールはほどほどにという結果でした。私もアメリカで地中海食を食べたことがありますが、メニューは野菜中心のものが多くて良かったのですが、全体的に料理があまり美味しくなかった印象です(料理にダシ(うま味)をあまり使わないのかな?)。
TVでも最近はよくオリーブオイルが良いものとし、地中海食もやはり長寿食だといって宣伝しておりますね。
私が疑問に思うところは、オリーブオイルは結局オリーブを精製した油なのであまり摂りません。
オリーブオイルは「熱に強いから良い」みたいな宣伝をしていますが、高級なオリーブオイル(エクストラ・バージン・オリーブオイルなど)には熱をかけていいとは聞いたことがありません。熱をかければ抗酸化物質が減ってしまうからです。
つまり質の悪いスーパーで売ってようなオリーブオイルは抗酸化物質も残ってないので熱をかけても良いよTVでは言っているように聞こえてしまうのです。(2018年6月7日の記事参照)
質の良いオリーブオイルをお手軽に手に入れるには?
質の良いオリーブオイルを摂りたいのでしたら、オリーブの実をピクスルにしたものを私はよくいただきます(下の写真のような)。こういうオリーブならば自然のままのオリーブオイルが入っているので、オイルの酸化も心配する必要がないので良いです 😄地中海食は主食にパンやパスタをよく摂りますが、私はグルテンフリーを心がけているので、その点も合いません。ただ小麦とオリーブオイルを多用するところを除けば地中海食は楽しめます。
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以下のリンクは効果効能を保証するものではありません。オーガニック・オリーブ
上記のようなピクルスと全く同じものは見つかりませんでしたが、とりあえず日本でも購入できるオーガニックで質の良さそうなオリーブを見つけましたので、リンクを貼っておきます。
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20余年アメリカで遺伝子治療&幹細胞の研究者をやってきました。
特に遺伝病の間違った遺伝子をピンポイントで修復し、元に戻す技術開発です。
理学博士(Ph.D. )
アメリカ生活で学んだアンチエイジングなど健康に関する知識をシェアしたいと思います。
巷の情報もご紹介、時にはブッた斬ったりしてしまうかもしれません。
またポイントなどの節約術や生活に便利なガジェット(スマホやアプリの紹介)も記事にしますので参考になれば嬉しいです。
皆さん、ご一緒に「究極のヘルシーライフ」を楽しみましょう♪
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