アントシアニン(ポリフェノール)が腸内細菌に作用し,それが作り出す酸が炎症を抑えていることが判明! がんの抑制, 皮膚炎にも貢献【2020年最新論文】
また腸内フローラの大切さが証明されました!
色の濃いフルーツ(ブラックラズベリーなど)に含まれるポリフェノールの一種であるアントシアニンが腸内細菌に働きかけ、プロトカテク酸という酸ができることが大切であることが判明しました!
そしてブラックラズベリーに含まれる成分とプロトカテク酸の相乗効果で炎症が減少し、ガンの抑制や皮膚炎に減少に貢献するとのこと。
今回はこのラズベリーの黒い成分が炎症を抑えるというお話で、炎症を抑えることは新型コロナが重症化しないという意味でも大切なことなので、取り上げました。
オハイオ州立大学のプレスリリースの訳文を載せておきます(Google翻訳を修正しました)。
また原著論文はオープンアクセスなので全文が無料でご覧になれます。下にリンクを貼っておきますのでご活用下さい。
この記事のもくじ
マウスの研究で、ブラックラズベリーは皮膚の炎症を軽減する可能性を示す
英文執筆者:ローラ・アレンシエルド
新しい研究では、ブラックラズベリーを食べることで、アレルギーによる皮膚の炎症が軽減される可能性が示されています。
今月初めにNutrients 誌で発表されたマウスの研究で、ブラックラズベリーを多く食事に取り入れると、接触過敏症(皮膚の発赤と炎症を引き起こす状態)による炎症を軽減することがわかりました。
スティーブ・オグム教授「多くの場合、治療はステロイドなど直接皮膚になされます」とオハイオ州立大学の病理学の主執筆者のスティーブオグム助教授は言いました。
「果物を食べるだけで同じ効果が得られるのは興味深いことでした。」
研究者たちは、マウスに人の1日1回に相当するブラックラズベリーを取り入れた食事を与えたグループとブラックラズベリーを与えないコントロールグループで実験しました。
食餌療法を始めて3週間後、研究者らはマウスの耳に刺激物を付け、接触過敏症を引き起こしました。次に腫れの減少を測定し、マウスの各グループの耳を比較しました。
するとブラックラズベリーを含む食事のマウスグループは、ブラックラズベリーを食べないグループと比べて腫れが減少したことを発見しました。
研究者たちは、ブラックラズベリーが樹状細胞を調節しているように見えることを発見しました。樹状細胞は、体の免疫系へのメッセンジャーとして機能し、免疫系を活発化させるどうか、本質的には炎症を起こすかどうか伝えます。
「免疫システムは非常に複雑で複数のプレイヤーがいるので、ベリーの影響を受けている独自の細胞を特定するのは、ベリーがどのように炎症を抑えているか確認するのに役立ちます」とオグム助教授は述べています。 「私たちが目にする悪影響の多くは、常に病原体やアレルゲン自体が原因ではなく、私たちの体がこれらの引き金に反応するやり方が原因なのです。」
たとえば接触性過敏症の場合、人の皮膚がアレルゲンに触れると、炎症やかゆみを引き起こす細胞でその部分がいっぱいになることで反応します。
「したがってこれらの疾患を管理する方法は、反応をコントロールすることであり、ブラックラズベリーはそれができるように見えるということです」と彼は言いました。
オグム助教授のグループは何年もの間、ブラックラズベリーが炎症に及ぼす影響を研究してきました。ブラックラズベリーが豊富な食事は、ある種のがんに関連する炎症を軽減する可能性も示しており、他の炎症の軽減にも役立つのではないかと考えました。
この研究は、これらの利点があるかもしれない兆候であるとオグム氏は語りました。彼はブラックラズベリーの特性が炎症の減少につながるかどうかを判断するためにはさらに多くの研究が必要であると指摘しました。
引用ニュース&参考文献
🔵 プレスリリース:In mouse study, black raspberries show promise for reducing skin inflammation (The Ohio State University – OHIO STATE NEWS)🔵 参考文献(オープンアクセス;無料で論文全体がご覧になれます): Black Raspberries and Protocatechuic Acid Mitigate DNFB-Induced Contact Hypersensitivity by Down-Regulating Dendritic Cell Activation and Inhibiting Mediators of Effector Responses
Nutrients, 2020 Jun 6;12(6):1701. doi: 10.3390/nu12061701. PDF書類 [ダウンロード]
日本で手に入る「生のブラックラズベリー」を見つけましたのでリンクを貼っておきます
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seigoの追記
やはりフルーツに含まれるアントシアニン(ポリフェノール)は炎症を抑えるのに重要のようですね。フレッシュな色の濃いフルーツを食べることは、コロナの季節にも大切です。
ブラックラズベリーとブラックベリーは似ていて、普通私たちはブラックベリーのほうをよく食べていると思います。
ここで整理しておきますが、ブラックベリーとラズベリーの違いは、果実が熟したとき、果実が花托から離れて内部が空洞になっているのがラズベリー、花托がついたまま果実の芯となって詰まった形でとれるのがブラックベリーです。
原著論文の要約には、免疫オタクをくすぐるような興味深い情報が載っておりましたので、以下にそのポイントを記しておきます。
🔵 ブラックラズベリーに含まれる植物の成分は免疫調節特性を持っている
🔵 ブラックラズベリーまたはプロトカテク酸(ブラックラズベリーの成分であるアントシアニン代謝産物である腸内微生物によって主に生成される)を摂取したマウスは、脾臓への樹状細胞の蓄積を減少させ、DNFB誘発性耳腫脹も減少に導いた
🔵 ブラックラズベリーの抽出物は、Cd80発現およびインターロイキン-12(IL-12)の分泌の減少に関連する樹状細胞の成熟を減少させ、プロトカテク酸はIL-12を減少させた
🔵 ブラックラズベリーとプロトカテク酸のサプリメントは、T細胞によるインターフェロン-γ(IFN-γ)とIL-17産生を含む、IL-12駆動の接触過敏症メディエーターの差を減少させた
🔵ブラックラズベリーの抽出物とプロトカテク酸は、一酸化窒素とIL-12を介した接触過敏症を促進するマクロファージ活性を直接減衰させた
🔵 ブラックラズベリーとプロトカテク酸が接触過敏症の病態を緩和した
という感じで、ブラックラズベリーの抗酸化物質と腸内細菌のプロトカテク酸の相乗効果で色々な面から免疫をコントロールして機能をあげているようなので、新型コロナの重症化予防なども含めて日頃から積極的に色の濃いフルーツも楽しみたいですね!
iHerbのブラックラズベリーサプリ
iHerbに生(RAW)のラズベリーからフリーズドライして作ったサプリを2つほど見つけましたのでリンクを貼っておきます。ブラックラズベリー POW-der
Eclectic Institute製, 約3,890円
iHerb
Black Raspberry, 300 mg
Eclectic Institute製, 約1,610円
iHerb
20余年アメリカで遺伝子治療&幹細胞の研究者をやってきました。
特に遺伝病の間違った遺伝子をピンポイントで修復し、元に戻す技術開発です。
理学博士(Ph.D. )
アメリカ生活で学んだアンチエイジングなど健康に関する知識をシェアしたいと思います。
巷の情報もご紹介、時にはブッた斬ったりしてしまうかもしれません。
またポイントなどの節約術や生活に便利なガジェット(スマホやアプリの紹介)も記事にしますので参考になれば嬉しいです。
皆さん、ご一緒に「究極のヘルシーライフ」を楽しみましょう♪
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