褐色脂肪が肥満や糖尿病を防いでいることが判明!? 褐色脂肪がない人ではBCAA摂取が危険な理由 (2019年8月Nature雑誌)
ニュース/レビュー
首や鎖骨の近くにある赤紫色の脂肪細胞(褐色脂肪細胞)が肥満や糖尿病を防いでいるという研究発表がなされました。
またその褐色脂肪細胞がない人は筋肉を作ることで人気のあるBCAAサプリをとると、肥満や糖尿病の発症につながる可能性が高まるそうです。
この研究は Nature 誌に発表され、またそのレビュー記事は米国ラトガース大学のサイトにプレスリリースされました。今回はそのレビュー記事(英語)を翻訳しましたのでご紹介します。(翻訳のプロではないので読みづらかったらすみません m(_ _)m )
この記事のもくじ
褐色脂肪が人々の健康に良い理由を科学者が発見
この研究は、糖尿病や肥満を治す薬剤の開発につながる可能性があります
米国ラトガース大学およびその共同研究者は、褐色脂肪組織とも呼ばれる(白色ではない)赤茶色の脂肪が、肥満と糖尿病を防ぐのにどのように役立っているかを発見しました。Nature 誌に発表された研究では、ヒトの健康における褐色脂肪の役割について新しい知識を加え、肥満と2型糖尿病を治療するための新しい薬につながる可能性があります。褐色脂肪は発熱器官と考えられ、ヒトでは、首、鎖骨、腎臓、脊髄などの領域に数グラムずつ存在します。低温で活性化されて、褐色脂肪は血液由来の糖と脂肪を使用して、体内で熱を発生させます。
この研究では、褐色脂肪が血液からの分岐鎖アミノ酸(BCAA; Branched Chain Amino Acid)の濾過と除去にも役立つことを発見しました。BCAA(ロイシン、イソロイシン、バリンの3種のアミノ酸のこと)は、卵、肉、魚、鶏肉、牛乳などの食品に含まれ、筋肉量を増やしたいアスリートが使用するサプリメントにも含まれています。
血中の通常の濃度では、これらのアミノ酸は健康に不可欠ですが、過剰な量では糖尿病と肥満に関連します。研究者らは、褐色脂肪をほとんど、または全く持たない人々は、血液からBCAAを除去する能力が低下しており、それが肥満および糖尿病の発症につながる可能性があることを発見しました。
この研究はまた、褐色脂肪に関する20年以上にわたる謎であった、BCAAが細胞内でエネルギーと熱を生成するミトコンドリアに入る方法を解明しました。SLC25A44と呼ばれる新しいタンパク質が、褐色脂肪が血液からアミノ酸を除去する割合を決定し、それらを使用してエネルギーと熱を生成することを発見しました。
共著者の、ラトガース大学ニューブランズウィックの芸術科学部の運動学および健康学科教授であり、生物医学および健康科学のラトガース大学ロバートウッドジョンソン医学部教授でもあるLabros S. Sidossis教授は、次のように述べています。
「私たちの研究は、BCAAサプリメントが、健康な人など、活動的な褐色脂肪を持つ人に利益をもたらす可能性があるのに対し、高齢者、肥満、糖尿病の人などには有害であるというパラドックスを説明しています」
今後、褐色脂肪によるBCAAの取り込みが、環境要因〔穏やかな寒さ(18ºC程度)の環境で過ごすことや、辛い食べ物の摂取など〕、または薬物によって制御できるかどうかを研究する必要があります。これにより、糖尿病と肥満に関連する血糖値が改善される可能性がある、とSidossis教授は述べています。
ーーー 翻訳ここまで ーーー
引用ニュース & 原著論文
🔵 英語ニュース:Scientists Discover Why Brown Fat Is Good for People’s Health. (Rutgers University) August 20, 2019🔵 原著論文:BCAA catabolism in brown fat controls energy homeostasis through SLC25A44. Nature (2019).
Seigoの追記
褐色脂肪を活性化させれば肥満や糖尿病を防ぐ?
褐色細胞が活性化すると血液中からBCAAを除去する作用が増加するので、肥満や糖尿病などを防ぐ可能性があるとのことです。テレビでアンチエイジングを実践しているお医者さんが、朝に水のシャワーを浴びる習慣があると言っておりましたが、その科学的理由は、褐色細胞を活性化するためだったのでしょう。
この褐色細胞は冬眠動物でも活性化していることが分かっており、体温を上げ作用があるので、水のシャワーでもその後にの褐色脂肪で体温が維持されて、良い効果を生むのでしょう。
褐色脂肪を持たない人がBCAAサプリなどを摂るのは危険
BCAAというサプリメントは筋肉をつけたいアスリートにとっては人気がありますが、もし首や鎖骨の周りにある褐色脂肪がない人がこのサプリを摂ると、血液中にBCAAが留まり、肥満や糖尿病の発症につながる可能性が高まるそうです。お気をつけ下さい。
20余年アメリカで遺伝子治療&幹細胞の研究者をやってきました。
特に遺伝病の間違った遺伝子をピンポイントで修復し、元に戻す技術開発です。
理学博士(Ph.D. )
アメリカ生活で学んだアンチエイジングなど健康に関する知識をシェアしたいと思います。
巷の情報もご紹介、時にはブッた斬ったりしてしまうかもしれません。
またポイントなどの節約術や生活に便利なガジェット(スマホやアプリの紹介)も記事にしますので参考になれば嬉しいです。
皆さん、ご一緒に「究極のヘルシーライフ」を楽しみましょう♪
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