アンモニア肥料からのPM 2.5でトウモロコシ生産者4,300人が死亡か!? (2019年米国報告)
ニュース/レビュー
今回はトウモロコシ生産による大気汚染でアメリカで早死が増加したことについての報告です。
ミネソタ大学のプレスリリースを翻訳しましたのでご紹介します。
ニュースタイトル「トウモロコシ生産によるアメリカでの早期死亡の増加」
トウモロコシ生産によって引き起こされる環境破壊が米国で毎年4,300人の早期死亡をもたらし、390億ドルの損失につながっているとの研究が発表されました。
Nature Sustainabilityに掲載されたこの論文は、初めて汚染物質の排出や風による汚染物質の飛散、そして大気汚染の増加に晒される人間についての細かな解析を行い健康被害を見積もったものです。トウモロコシは、人が食べたり、家畜の餌やバイオ燃料になる主な農作物です。
研究はまた、トウモロコシを生産する地域別の人への健康被害の違い、またいくつかの地域ではトウモロコシの市場価格が生産による健康被害額を下回ることを報告しています。
「ミネソタ州、アイオワ州、ネブラスカ州などの西部コーンベルト地帯の1ブッシェルあたりの死亡者数は、イリノイ州、インディアナ州、オハイオ州などの東部コーンベルト地帯よりも低くなる傾向があります」と、主任研究者であるミネソタ大学食糧農業自然資源科学部のJason Hill准教授は述べています。
ミネソタ大学のStephen Polasky応用経済学教授、バイオ生産およびバイオシステム工学のTimothy Smith氏・Natalie Hunt助教授・ポスドクのSumil Thakrar氏、生物科学部のDavid Tilman氏、その他研究者らは、農業の実践と生産性に関する郡レベルのデータを使用して、トウモロコシの地域を明確にしたライフサイクルにおける排出量のデータを明らかにしました。その結果、トウモロコシ生産に起因する空気の質を低下が米国における毎年の早期死亡に関連していることが示されました。米国EPAの一人あたりの死亡損失額は900万ドルであることから、総額390億ドルの金銭的損害額であると見積もられます。
微粒子状物質(PM2.5)の濃度増加は、窒素肥料の使用に起因するアンモニア(PM2.5前駆体)の排出によって引き起こされます。大気汚染による平均的な健康被害は、トウモロコシ1ブッシェル(約25.4 kg)当たり3.07ドルであり、これは過去10年間の1ブッシェル当たりの平均トウモロコシ市場価格4.95ドルの62%に相当します。この論文ではまたトウモロコシ生産の温室効果ガス排出量を概算しており、総額で49億ドル、1ブッシェル当たり0.38ドルの気候変動損害額をもたらしているとしています。
Hill氏は次のように述べています。
「栽培する作物の環境への影響を軽減するための慣行を実行できるように、農家はこうした情報を活用することが重要です。精度の高い農機具を用い、アンモニア排出量の少ない肥料に変更するだけで、トウモロコシの栽培による環境への影響を大幅に改善することができます」
肥料や農機具の変更に加え、トウモロコシ生産への戦略的介入、例えば窒素利用効率の向上、肥料が少なくても育つ品種への転換、栽培地の変更などが効果的である可能性が示されています。
慣行の変更には計画性と時間が必要であることから、Hill氏は市場や栄養面での利益を農家に提供しながら、窒素使用量の少ない作物への切り替えを奨励することを提案しています。
「肥料の使用によるアンモニアの排出は人体への悪影響だけでなく、農家が購入しただけの窒素による恩恵を受けていないため費用の無駄を生じさせています。トウモロコシ生産による死者の数は、これらのキーポイントとなる戦略によって減らすことができるのです」
引用ニュース & 原著論文
🔵 英語ニュース:Air pollution caused by corn production increases mortality rate in US( University of Minnesota )🔵 原著論文 : Air-quality-related health damages of maize ( Nature Sustainability ,2019)
Seigoの追記
え?トウモロコシ畑で大気汚染?で人が早死してしまうの?ってちょっと驚きですが、窒素肥料のアンモニアがPM2.5になっているんですねー
しかも毎年4,300人の早期死亡とは・・・アメリカは規模が違いますね。
トウモロコシといえばアメリカの食糧品店にいってもほとんどGMO(遺伝子組み換えの食品)で有機のトウモロコシはほとんど皆無でした。
農家の方への被害というのは、農薬とかの影響でなくてアンモニアってどうやって特定できたのでしょうか・・・?
そう言えば窒素系の肥料は硝酸態窒素という発がん性物質もあるようで、窒素肥料は使いすぎはよくないでしょう。有機の野菜や自然農法を扱う農家では窒素の量を以下に減らして、炭素の量を以下に増やすかが美味しい野菜を作るコツのようです。
参考資料:
– 「過剰栄養で起きること」アンチエイジングの鬼のブログより)
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20余年アメリカで遺伝子治療&幹細胞の研究者をやってきました。
特に遺伝病の間違った遺伝子をピンポイントで修復し、元に戻す技術開発です。
理学博士(Ph.D. )
アメリカ生活で学んだアンチエイジングなど健康に関する知識をシェアしたいと思います。
巷の情報もご紹介、時にはブッた斬ったりしてしまうかもしれません。
またポイントなどの節約術や生活に便利なガジェット(スマホやアプリの紹介)も記事にしますので参考になれば嬉しいです。
皆さん、ご一緒に「究極のヘルシーライフ」を楽しみましょう♪
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