腸内細菌で長寿になるにはどんな食材を食べればよい?【NHK ガッテン!】2019年11月20日
NHK ガッテン!「長寿&がん予防で注目! 腸内細菌パワー覚醒術」(2019年11月20日)をまとめました。
この記事のもくじ
ヨーグルトを食べても入ってきた菌は増えない?
毎日10年以上ヨーグルトを毎日食べて続けていたある女性、体つきは全体的にぽっちゃり体型となり、ある時お腹が膨らんだみたいになってしまい、ガスを2時間おきに抜かないと仕事でしているエクササイズ講師が出来なくなってしまうほどでした。「腸内細菌外来」(愛知県山下病院)に診ていただいたところ、10年間とり続けていたビフィズス菌が2%台に落ち込んでいることが分かったのです(健康な人のビフィズス菌の割合は8〜10%)。
ヨーグルトの菌はどれくらい腸に住み続けるか?
いろいろな種類のヨーグルトを8週間食べてもらった結果、確かに腸の中にヨーグルト菌は存在しました。しかし食べるのをやめて2週間後、ヨーグルトの菌は一切いなくなってしまいました。
〔引用論文:2013年(英文)(オープンアクセス ← 論文の全文が無料で読めます)〕
「やはりお腹の中は生存競争なのです。ある意味、京都で言ったら”一見(いちげん)さん”みたいなのはお断りなわけですよ」
実はヨーグルトは持ち込んだ菌が増えるわけではなく、腸を通過するときにそこにいる常在菌にとって良い物質を出していることが分かってきたのです。ほとんどのヨーグルトの菌は住み着かないで便と一緒に通過するのが多いことが分かってきたのです。良い効果を出すには食べ続けることが大切なのです。
それでは善玉菌を増やすにはどうしたらよいのでしょうか?
京丹後の長寿者の割合がスゴイ!
100歳以上の人の割合は、全国平均を1とした割合は、– 京都市街 1.2
– 京丹後 2.7
京丹後市は全国平均の約3倍ちかくも100歳以上の長寿者が多いのです。
そして、京丹後市はギネス世界記録を持っていた(男性として最も長く生きた)故・木村次郎右衛門(116歳)が住んでいた街なのです。
京丹後の方たちに多い善玉菌
京都市と比べて京丹後の人たちが多かった善玉菌は、比率が高かったものから並べると:京都市と比べて京丹後の人たちが多かった善玉菌(多い順)
– g_Roseburia
– g_Coprococcus
– Unclassfied_Lachnospiraceae
– g_Lachnospira
〔クロストリジウム・クラスターXIVa (酪酸産生菌)〕
また大腸がんになる率が京都市街と比べて半分以下でした。
京丹後の方たちがよく食べている善玉菌を増やす食材は?
講師:髙木智久 先生(京都府立医科大学 准教授)
髙木先生「京丹後市の方が何を食べているかのアンケートをとったところ、海藻類を毎日食べていることが分かりました。」京丹後の方たちは京都市の方と比べて海藻を毎日食べる方が多く(京丹後14%、京都市4%)、また週に海藻を3〜6日食べる方の割合も多かったのです(京丹後52%、京都市40%)
※ これらのデータは論文に発表されていますので、詳しいことが知りたい方は次にリンクからご覧になれます。〔原著論文:2019年(英文)(オープンアクセス ← 論文の全文が無料で読めます)〕
髙木先生「面白い話がありまして、海藻を分解できる腸内細菌をもつ割合は、日本人は90%以上いますが、欧米人では約3%しかいないことが分かりました。」
京丹後の一般家庭の夕食にお邪魔させていただきますと、ワカメやヒジキの料理がよく見受けられ、ご飯も混ぜご飯にしてヒジキやニンジンが入っていました。
お昼ご飯もおにぎりに海苔が巻いてあり、具はワカメや梅干しが散りばめられていました。
海藻類以外に善玉菌を増やす可能性のある食材(現在研究中)
🔵 大麦
🔵 麦などの全粒穀物(日本のパンは全粒穀物ではなく漂白小麦)
🔵 イモ類
🔵 キノコ類
🔵 豆類(大豆、納豆)
🔵 根菜類
またイモ類に含まれる水溶性食物繊維は、腸内細菌が利用して体にいい成分をたくさん作ってくれます。いわゆる腸内の常在菌のエサになってくれるのです。
腸内細菌の改善に挑戦
上記でお腹のガスの発生でトラブルを起こした女性は、10年間ビフィズス菌入りのヨーグルトを食べていましたが、体調を崩した当時は水溶性食物繊維が不足していたことがわかりました。そこで腸内の善玉菌を活発にするために菌のエサを食べることを、上記で登場した「腸内細菌外来」で指導されました。
菌のエサの摂り方(愛知県山下病院 直伝)
■
おすすめ①:お味噌汁を具だくさんにすること:キノコ、山芋、昆布など
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おすすめ②:フルーツにヨーグルトをかけて食べること:菌のエサとなるフルーツとの合わせ技
そして5ヵ月後、ビフィズス菌の量が2.33%から4.69%と倍に増え、腸内環境の判定は最高の「A判定」をもらいました。
山口県の道の駅「腸内細菌コーナー」がスゴイ!
道の駅を覗いてみると「腸内細菌コーナー」があり、腸内細菌のエサとなる旬の食材がズラーリと並んでいます。
また周南市の徳山保健センターでは市民の腸内細菌を詳細に調べて意識改革を進めております。
道の駅の「腸内細菌コーナー」には腸内フローラを次の3つのタイプに分け、
① 肉食系のバクテロイデス型
② 雑食系のルミノコッカス型
③ 草食系のプレホテラ型
各タイプに適した食物繊維のエサになる食材が、道の駅のどのあたりに売っているかを丁寧にマップにしてあるのです。
例えば、肉食系のバクテロイデス型の方は「野菜、果物、海藻コーナーへ」などと食物繊維を積極的に食べることを勧めるアドバイスが書いてあり、たいへん分かりやすいのです。
これはわかりやすくていいですね〜(私も近くに訪れたらぜひ寄ってみます!)
水溶性食物繊維をとらないと腸内細菌が腸を突き破って死亡する!?(ネズミのケース)
ミシガン大学のエリック・マーテンズ博士は、マウスに食物繊維を全く与えないとどうなるかを実験したのです。すると10日後に驚きの結果が出ました。食物繊維を与えなかったマウスは死んでしまったのです。
エリック・マーテンズ博士「腸内細菌が腸の表面を食べていたのです。」
腸が食べていたのは腸の表面を覆っている粘液状のムチンで、腸を守るバリアの役目をしています。通常はムチンが腸を厚く覆い病原菌から守っています。しかしエサの中の食物繊維が不足するとバリアが薄くなってしまうのです。
エリック・マーテンズ博士「食物繊維が足りず菌が飢えてしまうと菌たちがその粘液(ムチン)を徐々に浸食してしまうのです。その結果、感染症や炎症性腸疾患、大腸がんさえ引き起こす可能性があるのです。」
筋肉を増やす腸内細菌を持つ人たち
通常は筋肉を増やしたい方はプロテインを飲んで筋トレに励みますが、プロテインなどは摂らずお芋だけで筋肉もりもりになっている人たちが発見されました。南太平洋にあるパプアニューギニアの奥地では、研究者が大注目している地域があります。
この地域の人たちは筋肉がムキムキになることに腸内細菌が関わっていると言われているのです。
というのも住民が食べているのはお芋ばかりなのです。筋肉の材料となるタンパク質の摂取量は日本人の半分だけなのです。それでもムキムキになれるのは腸内細菌が筋肉のもとになる成分を生み出しているからなのです。
20余年アメリカで遺伝子治療&幹細胞の研究者をやってきました。
特に遺伝病の間違った遺伝子をピンポイントで修復し、元に戻す技術開発です。
理学博士(Ph.D. )
アメリカ生活で学んだアンチエイジングなど健康に関する知識をシェアしたいと思います。
巷の情報もご紹介、時にはブッた斬ったりしてしまうかもしれません。
またポイントなどの節約術や生活に便利なガジェット(スマホやアプリの紹介)も記事にしますので参考になれば嬉しいです。
皆さん、ご一緒に「究極のヘルシーライフ」を楽しみましょう♪
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