オメガ3とビタミンAでストレス解消効果があることが判明!? 脳や腸内フローラに良い影響 (2019年イタリア研究)

イタリアの研究者が成長期のラットにストレスをかけても、オメガ３脂肪酸とビタミンAを組み合わせて投与するとストレスに対する弊害がキャンセルされたという報告がありました。

今回はこの論文（英文）を翻訳しましたので、その要約をご紹介致します。

論文タイトル「思春期ストレスによる認知的およびマイクロバイオーム変化の食餌による予防」

研究背景
・良い栄養状態をきちんと保つことは、脳の発達や成人以降の認知機能の維持にとっても大切です。
・オメガ３多価不飽和脂肪酸（ω-3PUFA）とビタミン補給または欠乏が神経発達に及ぼす影響は、健常な乳児および離乳後の実験動物で広く研究されています。
・しかし 成人の慢性ストレスにおける認知および神経化学的影響に対してはほとんど知られていません。
・そこで、オメガ３脂肪酸とビタミンAを補給した食事が、思春期の社会的な不安ストレスによって引き起こされる認知障害と微生物叢(びせいぶつそう；腸内フローラとも呼ばれる)の変化を防ぎ、有益な効果と神経変性疾患を撃退するという証拠を提供しました。

研究内容の要約

イタリアとブラジル、そしてアイルランドの研究チームは、ストレス環境下に置かれた若いラットにオメガ３多価不飽和脂肪酸（ω-3PUFA; 以下「オメガ３脂肪酸」と呼ぶ)とビタミンAを投与すると、ストレス状況下で起こる精神的および肉体的ダメージが減少することが認められたことをPNASに発表しました。

身体の成長段階でストレスにさらされると、記憶障害やうつ病、リスク依存症、不安などの長期的に健康への悪影響が引き起こされる可能性があります。それとともに腸内細菌のレベルの変化も起こります。

方法（実験的ストレス環境と与えられたサプリメントの種類）

ラットへのストレスの影響を知るために、研究チームは模擬的にストレスの多い環境を作り出しました。
ラットは何度もケージの中で一匹に状況に置かれたり、知らないマウスのいるケージに突然移されてストレスがかかる状況を作りだしました。

血液検査と行動テストによって実際にストレスを感じ、長期的な悪影響が起こったことがわかりました。

あるラットのグループは、３種類のオメガ３脂肪酸（エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ドコサペンタエン酸）をビタミンAとともに過量投与されました。

結果（サプリメント投与後）

オメガ３脂肪酸とビタミンAを与えられたラットは、記憶や感情テスト、そして腸内細菌レベルを含む身体テストで、ストレスがかかっていない若いラットとほぼ同じ結果になりました。

さらに、ストレス下の若いラットに見られる長期にわたる健康への悪影響のサインはありませんでした。

結論としては、栄養サプリメントの投与はストレスの多い環境で成長する若いラットの健康問題（認知障害や腸内フローラの変化）を防ぐことを示唆しています。

そして同じことがヒトにも当てはまるという証拠はまだありませんが、脂肪の多い魚でビタミンAとオメガ３脂肪酸を簡単に摂取できます。

原著論文

🔵 原著論文リンク:　Preventing adolescent stress-induced cognitive and microbiome changes by diet.
PNAS May 7, 2019, 116 (19), 9644-9651; https://doi.org/10.1073/pnas.1820832116
Gustavo Provensi, Scheila Daiane, ・・・ John F. Cryan, and Maria Beatrice Passani

 

Seigoの追記

オメガ３脂肪酸は血液サラサラになることは知っていましたが、ビタミンAと一緒に摂ると認知機能の低下を防いだり、ストレスから守ってくれたり、さらに腸内フローラも守ってくれるとは、想像もしてませんでした。目からウロコです。

イタリアの研究者は目の付け所が違いますね。

オメガ脂肪酸と言えば今ネットで評判のイヌイットが食していた「アザラシ」からとれたとオメガ３が良いということなので、そのリンクを貼っておきました　↓

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