【悲報】腸内細菌が放つ自然の防カビ剤が糖尿病や肥満リスクを上げる!? (2019年米国研究)
ニュース/レビュー
執筆日:2019年5月14日、最終更新日:2019年6月16日
今回はある防かび剤が糖尿病や肥満リスクが上げてしまうという研究報告がありましたので、ご紹介します。ハーバード T.H. チャン・スクール・オブ・パブリック・ヘルスのプレスリリース(英文)が発表されましたので、それを翻訳したものをここでご紹介します。(翻訳のプロではないので読みづらかったらすみません m(_ _)m )
この記事のもくじ
ニュースタイトル「人気のある食品成分は糖尿病と肥満のリスクを高めることができますか?」
ハーバード T.H. チャン・スクール・オブ・パブリック・ヘルス(Harvard TH Chan School of Public)が発表した、イスラエルのブリガムアンドウィメンズ病院(Brigham and Women’s Hospital)およびシバメディカルセンター(Sheba Medical Center)との新しい共同研究によると、焼き菓子や動物飼料、人工香味料などに広く使用されている食品成分であるプロピオン酸塩の摂取は、肥満や糖尿病のリスクに関連するいくつかのホルモンレベルを上昇させるようです。
この研究はヒトを対象とした無作為化プラセボ対照試験とマウス研究のデータを組み合わせたもので、プロピオン酸が一連の代謝イベントを引き起こす可能性があることを明らかにしています。この研究結果はまたマウスにおいて、プロピオン酸エステルへの慢性的な曝露が体重増加およびインスリン抵抗性をもたらすことも明らかにしました。
この研究は、2019年4月24日にScience Translational Medicine にオンラインで発表されます。
ハーバードTHチャンスクールのゴーカン氏(Gökhan S. Hotamisligil)、遺伝学/代謝医学部教授兼サブリウルカーセンター(Sabri Ülker Center)長のスティーブンスシモンズ氏(Stevens Simmons)は、「食品中の成分が分子レベル、細胞レベルで体内の代謝に及ぼす影響を理解すると、肥満と糖尿病の二重の進行に取り組むための単純で効果的な手段を開発するのに役立ちます」と述べています。
世界中で4億人を超える人々が糖尿病に罹患していますが、糖尿病を予防するための広範な努力にもかかわらず、糖尿病の発生率は2040年までに40%増加すると予測されています。過去50年間における糖尿病と肥満の急増は、環境的要因および食事要因がこの流行病の蔓延に影響を及ぼしていることを示しています。研究者らは、食事の調理や保存に使用される成分を含む食事構成がその一因となっている可能性があると示唆していますが、これらの要素を評価する研究はほとんどなされていません。
この研究のために、研究者たちはプロピオン酸塩に注目しました。それは食品にカビが形成するのを防ぐのを助ける天然に存在する短鎖脂肪酸です。彼らは最初にこの短鎖脂肪酸をマウスに投与し、それが交感神経系を急速に活性化し、それがグルカゴン(血糖値を上げるホルモン)、ノルエピネフリン、および脂肪酸結合タンパク質4(FABP4; インスリン抵抗性を上げるホルモン)と呼ばれる新たに発見された糖新生ホルモンを含むホルモンの急上昇をもたらすことを発見しました。
これにより、マウスは肝臓細胞からより多くのグルコースを産生するようになり、糖尿病の決定的な特徴である高血糖症につながりました。さらに研究者らは、ヒトが通常消費する量と同等の用量のプロピオン酸によるマウスの慢性的な処置は、マウスにおける有意な体重増加、ならびにインスリン抵抗性をもたらすことを見出しました。
人での臨床試験の結果
短鎖脂肪酸であるプロピオン酸塩は、腸内フローラによって細菌内で産生されるカビに対する強力な阻害剤です。なのでとても安全そうにきこえますし、30年以上前から食品に添加する防腐剤として利用されてきたので
マウスに現れたこのような所見がどのようにヒトに言い換えられるかをを確認するため、研究者らは14人の健康な被験参加者を含む二重盲検プラセボ対照試験を構築しました。参加者は2つのグループに無作為に分けられました:第1グループには添加物として1グラムのプロピオン酸塩を含む食事を与え、そして、第2グループにはプラセボを含む食事を与えました。食事前と食事を与えてから15分以内に、その後4時間で30分ごとに、血液サンプルを採取しました。
研究者らは、プロピオン酸塩を含む食事を摂取した人々は、食事直後にノルエピネフリン(ノルアドレナリンともよばれ交感神経を興奮させる)の有意な増加、ならびにグルカゴンとFABP4の増加を示したことを発見しました。調査結果はプロピオン酸塩が人間の糖尿病そして肥満のための危険を高める「新陳代謝の妨害者」として機能する可能性があることを示すものでした。プロピオン酸塩は一般に米国食品医薬品局(FDA)によって安全であると認識されていますが、これらの新しい知見からして、食品製造に使用できるプロピオン酸塩および潜在的な代替品についてのさらなる調査が必要であると、この研究者は述べています。
テルアビブ大学サックラー(Sackler)医学校部准教授、イスラエルシバ医療センター内分泌学部長, ハーバードチャン学校(Harvard Chan School)研究員のアミールティロシュ氏は「過去50年間の肥満と糖尿病の発生率の劇的な増加は、環境と食事の要因の関与を示唆しています。注意を払うべきそのような要因の1つは、一般的な食品の成分です。我々は日常的にこれらの数百の化学物質のさらされており、その潜伏している長期的の代謝効果についての詳細なテストはほとんど為されていません」と、述べています。
引用ニュース & 原著論文
🔵 英語レビュー:Could a popular food ingredient raise the risk for diabetes and obesity?(Harvard T.H. Chan School of Public Health)🔵 原著論文: The short-chain fatty acid propionate increases glucagon and FABP4 production, impairing insulin action in mice and humans.
Sci Transl Med. 2019 Apr 24;11(489). pii: eaav0120. doi: 10.1126/scitranslmed.aav0120.
Tirosh A, Calay ES,・・・ Garg R, Hotamisligil GS.
Seigoの追記
プロピオン酸は善か悪か?
この研究の原著論文のアブストラクトに記述されていますが、短鎖脂肪酸であるプロピオン酸塩は、もともと腸内フローラの細菌内で作られる「自然の防カビ剤」なのだそうで、それを聞く限りはお腹の中にいるものなので、とても安全そうに聞こえます。しかしその自然の防カビ剤が食品添加物として使われた場合は、抗カビ効果としては役立っても、体の中で副作用がでてしまい、交感神経が活性化し、血糖値が上がり、そしてインシュリン抵抗性が進行してしまうそうです(上記レビュー参照)。毎日摂れば肥満の原因となりメタボになる可能性も出てくるとは、ビックリです。
これがたった1種類の食品添加物で起きてしまうわけですが、日本の食品には何十種類の添加物が入っているか(表示義務もないようなので)わかりません。
腸内フローラの影響も考えた、添加物の法律改正を早期に望みます。(もちろん添加物の表示義務が当たり前でしょう)
プロピオン酸はどのような食品に入っているか?
日本栄養・食糧学会誌の資料によると、– 食パン, 菓子パンおよび洋菓子を中心とし, その他, 牛乳, チーズ, 味噌および醤油中のプロピオン酸塩またはプロピオン酸を定量した。次が定量したデータです。
食品中のプロピオン酸含有量 (日本栄養・食糧学会誌より、1986年)
🔴 食パン:2.5〜4.5mg/kg
🔴 菓子パン: 4.2〜48.5mg/kg ※(A社製)のものは他社製に比べ約10倍多かった
🔴 洋菓子: 2.1〜652.5mg/kg
季節によっても含有量は異なりパン類および洋菓子において, 冬期に少なく, 夏期に多かった。
🔴 牛乳:0.5〜0.9mg/kg
🔴 チーズ: 15.4〜26.1mg/kg
🔴 味噌: 0.2〜0.5mg/kg
🔴 醤油: 2.7〜6.0mg/kg
これでまた一つ、食品添加物(防カビ剤)の悪行が地道な研究によって明らかにされました。国は今後も安全だと言うと思いますが、お皆さん気をつけ下さい。
私はプロピオン酸という添加物を見たことがありません
30年以上前の資料なので、今どのような食品に入っているか正確にはわかりません(最新のデータをゲットできたら更新します)。ただ驚いたことはプロピオン酸は昔から使われているにもかかわらず、その名前を商品の袋の裏にある原材料のところで見たことがありません。
パンやチーズによく入っているそうですが、表示義務がないのでしょうか?
逆に書いてないところが恐くなりました。
皆さんも添加物が表示されていなくても、大手の食品でやたらと賞味期限が長いものは危険と見てよいでしょう。パンなどは普通は2〜3日しか持たないものなのに、1週間以上持つような物は食品添加物(防腐剤や防カビ剤)が入っていると想像していいでしょう。
腐らないから安全なのではなく、腐らないから「不自然」と考える
食品添加物(防腐剤や防カビ剤)は腐らないから安全なのではなく、長期的に見ればむしろ私たちの体に害があることが地道な研究から分かってきました。一番簡単な考え方は、食品添加物に含まれる防腐剤・防カビ剤が私たちの腸内フローラ(腸にいる細菌)にダメージを与える事を、全く今までの食品業界は考えてこなかったためだと考えられます。
今は腸内フローラはがんの発生や精神状態にも影響を与える事が分かっております。
令和からは防腐剤・防カビ剤は食べないようにしましょう。
このことが分かればフッ素入り歯磨きも、抗菌加工の家具も良くないことが分かるでしょう。
皆さん、これからは殺すという考え方から生かすという考え方に発想の転換をしてしっかり腸内フローラをいたわって、ますます若返ってしまいましょう 😄
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20余年アメリカで遺伝子治療&幹細胞の研究者をやってきました。
特に遺伝病の間違った遺伝子をピンポイントで修復し、元に戻す技術開発です。
理学博士(Ph.D. )
アメリカ生活で学んだアンチエイジングなど健康に関する知識をシェアしたいと思います。
巷の情報もご紹介、時にはブッた斬ったりしてしまうかもしれません。
またポイントなどの節約術や生活に便利なガジェット(スマホやアプリの紹介)も記事にしますので参考になれば嬉しいです。
皆さん、ご一緒に「究極のヘルシーライフ」を楽しみましょう♪
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